5話
すみません。
まともに読み返しもせず投稿してしまっていてかなり手を加えました。内容に影響はないと思いますが、どうなんでしょうか。
時刻19時23分約35秒。
At my room.
僕と篠宮さんは机を間に向かい合って座っている。
「え~、では、よろしくお願いいたします。」
僕が目の前に座っている教師ー篠宮さんにお辞儀をすると彼女もコクリと首を曲げた。
沈黙が流れる。
しかし予想外ではない。
なぜなら普段の篠宮さんの様子と前回、数学の課題を手伝ってもらったときのことを思えばこうなるであろうと予想するのは難しくなかったからだ。
あの時僕は分からない所を手取り足取り教えてもらおうと協力を頼んだつもりだった。
彼女が引き受けてくれた時もそのようにして協力してくれるものと僕は思い込んでいた。
そして、もしかしたら少しは仲良くなれるかもしれない、そんなことまで考えていた。
しかし人生はそんなに甘くなかった。どちらかと言うと無味だったね。この件に関しては。
了承した後、彼女はワークブックを貸してと言ったので僕はすぐさまそれをとってきて彼女に渡した。すると彼女は1時間まってと言って自分の部屋に戻った。僕はもしかしたら彼女は全部仕上げるつもりなのではないだろうかと思い、彼女の部屋に行き、そこまでして貰う訳にはいかないと言うと、彼女は違うと否定した。僕は不思議に思いながらも、彼女にも何か準備やら用事があるのだろうと解釈し、暇も出来たということで、念のため部屋の中の大掃除を開始した。だって思春期の男の子なんだもん。
床を雑巾がけしていた時にチャイムがなって篠宮さんが戻ってきた。僕は急いで手を洗い、戸を開け、彼女を迎えた。すると篠宮さんは僕が先程貸したワークブックと、数枚のルーズリーフを僕に差し出してきた。僕がそれれを受け取ると彼女は軽く会釈をし、テスト勉強にもなったから礼はいらないとだけ言って去っていった。その後僕はルーズリーフに書かれていたものをワークブックにまるまる書き写して佐古田先生の度肝をぬいた。
というように、前回が前回だったため、今回勉強を教えてくれると言っても、どこか不安が僕にはあった。まぁしばらくの間こんなにも美人さんと関われるってだけでもおいしい話しじゃぁんって感じだけどね。あ、もしかしたら人生は甘いのかもしれない。
沈黙が流れること数分。彼女は動く気配が無い。
もしかしたらこのまま追試を迎えるのかもしれない。
そしたら僕はきっと追試も欠る。そしたら夏休みに補習が待っている。きっと僕はそれをサボるだろう。そして夏休み明けテストも落として、よいよ勉強に対するやる気も消失してしまって、きっと留年、果ては退学だろう。そしたらまともな就職先につけるはずも無くきっと路頭に迷うんだ。そうだ、そうなったら今ちゃんと勉強を教えてくれなかった篠宮さんに責任を取ってもらって、お婿にしてもらったらいいんだ。おお、そう考えると今回駄目になるのも良いかもしれない。って僕は何を考えているんだ。
「とりあえず今回のテストの復習から始めましょう。」
僕が妄想を膨らましていると篠宮さんがそう言った。
今の状況はいわゆる勉強会で、彼女はいわゆる僕の家庭教師みたいなものなのだから本来は会話が多少なりともあるはずなのに、それは全く予期せぬ出来事だったので僕は全力でキョトンとしていた。
「今回の数Ⅱと数Bの問題用紙と解答用紙と筆記用具とノート出してください」
そうだった。
彼女は普段は信じられないほど静かで、特に教室で彼女の声を聞いた日にはその日は記念日にもなりうるほど静かで忘れがちだったが、彼女の言葉は弱弱しいものではなく寧ろ堂々たるものなのだ。
僕は急いで通学鞄の中から言われたものを取り出す。まぁノートと筆記用具は既に出していたけどね。プププ
そして篠宮先生に僕は鞄の中に乱暴にいれられていたためクシャクシャでゴミくずにしか見えない問題用紙並びに解答用紙を手渡す。
篠宮さんはそのゴミたちを無表情で眺める。
なんと素晴らしい!人間は人のゴミをこうまで無表情で眺めることができるものだろうか!
そうか、彼女こそが女神だったのだ!!
篠宮さんが僕の紙屑達を眺めること約10分。
余りに暇すぎて変なことを心の中でシャウトしてしまった。
「そうですね。浅野君の場合やる気が無いだけのように思われます。多分元々頭は良い方なのでしょうが、勉強量が圧倒的に少ないのが今の現状を作り出しているだけだと思います。ですのでひたすら勉強してください。質問があれば可能な限り答えはします」
篠宮さんはそう言ってゴミたちを丁寧に僕に返してから本を一冊取り出した。
既に彼女は物語の世界の中のようだ。
え?どういうこと?
なんで解答用紙見ただけでやる気が無いだけって分かったの?
しかも本を読み始めたってことは篠宮さんはここにいるだけで何も積極的には関わらないってこと?
今回のテストの復習から始めるって言ってたけどそれも自分でやるの?
それってテキトーすぎやしません?
テキトー・・・・
まてよ、そうかこれで適当なんだ。
僕は元々天才の傾向にあるから別に教えなくても勝手に勉強しとけば大丈夫。
ただちゃんとやるように見張るだけ、なんだそれだけか。
そうですね篠宮先生!
・・・・・・そんなことになるだろうとは何となく予想してましたよ。
僕、天才ですから。
僕はカリカリ勉強、篠宮さんはモクモク読書。うわなんかこれ美味しそう。
気づけば10時になっていた。
「篠宮さん。そろそろ帰ったほうがいいのでは?」
篠宮さんは本から目を離し、時計を見る。
するとコクリと頷き本を閉じる。
「今日はありがとうございました。おかげで勉強も捗りました」
彼女の帰り際に僕はそう告げた。
いろいろ不満は残るがこの言葉は真実だ。
「浅野。詩織との勉強はどうだった」
僕は次の日の朝、教室に向かう途中に会った佐古田先生に声を掛けられた。佐古田先生は何やらノートを運んでいるようだった。
「順調です」
確かに勉強のほうは捗ったのでそう答える。
「そうか。で、詩織のほうはどうだった?」
「ん~、ずっと本を読んでました。」
「ははは、そうか」
佐古田先生は実に愉快なように笑った。
そしてついでといった感じで持っていたノートの束を半分渡してくる。
手伝えってことかよ。
「僕としてはもう少し家庭教師らしいものを期待してましたけどね」
どうやらこのノート達は1年から回収した物のようで返却しに行く為、僕は1年の教室の方へ行くらしい。
「それならば、何か質問すればよかったんじゃないのか?」
「僕はどうも天才なようで質問とかは生まれなくて、見張ってくれる人がいれば大丈夫なようでした」
僕はいつものように天才を強調して少しおどけた様にそう口にした。
「まぁ去年特別補修で1対1で相手したときも飲み込みは早かったな」
先生はいつものように僕の天才を否定せず、寧ろそれに乗っかる形で返答をしてきた。
その事に驚き僕は足を止める。
「先生!いつもみたいに天才を否定して馬鹿って言ってくれないとまるで僕が本当に馬鹿みたいじゃないですか!」
自分でいっちゃったよコイツ。
あ、僕か。
「ふふ、悪い。だがな浅野。馬鹿はお前の長所だよ。それに私はお前の馬鹿には少し期待もしてるんだぞ。」
どういうことですか?
そう聞こうと思ったが目的地に着いてしまった。
先生は残りのノートを僕が持っているのに重ね顎で入れとほどこした。横暴だ。
「失礼しました。」
急に知らない上級生が入ってきて驚いたのだろう、視線が一気に集まってきて少し緊張してしまい、急いでノートを置いて出てきた。
「お疲れ様」
僕はその声の発信源を少し睨んだ。
「いやいや、スマンスマン」
僕達は来た道を戻っていく。
「僕の馬鹿が希望の星ってどういうことですか?」
僕は早速先程飲み込んだ問をぶつけた。
「ん?あぁそこまでは言ってないがな」
先生はここで言葉を切り、僕はその続きを待つ。
「お前詩織のことどう思う?」
突然先生はそう聞いてきた。
「どうって・・・・・・んー」
突拍子もない質問に僕は悩んでしまう。
それと僕の馬鹿が世界を救うのとどう関係があるのだろう。
「分かんないです。」
いくら考えても分からなかったので僕は正直に答えた。
「そうか」
「でも分かってみたいと思っているかもしれないこともないと思います?ん?今のって結局どう思ってるって言ったんですか?」
ん~日本語って難しい。
「さあな。でもお前はやっぱり馬鹿だよ」
さいですか。
結局佐古田先生は何が言いたかったのですか?
僕の馬鹿が魔神ブ○から地球を守るってどういうことですか?
読んでいただきありがとうございます。
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