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初めてのプール

 4月半ばのとある日の放課後、この日はついに待ちに待ったプールの中へと入れる日である。


先日に、麻奈と菜月と同じクラスの聖が水泳部への入部を決意してくれたことにより、1名自称仮入部と言っている人はいるものの、一応部員が4人そろった為、今日から実際にプールの中に入っての初練習の日となった。


そして現在、麻奈と菜月は、聖と蘭が水着に着替え終るのをプールサイドで待っていた。


「そういや、私は仮入部って言ってるのに……」


「まあまあ、なづちゃん、そんなこと言わずに、一応体験入部だと思えばいいじゃない!」


「まあ、確かに体験入部よね。てか、部活動の本登録日が終わるまではみんな仮入部扱いよ。だから麻奈も今日は体験入部になるじゃないの!」


「あっ、そういや部活の本登録日はまだだったんだ……」


プールサイドに入るやいなや、菜月は正式に水泳部に入っていないのに、既に本入部をしたかのような扱いになってしまっている事に少々戸惑った様子でいた。


そんな戸惑った様子でいる菜月を見た麻奈は、体験入部だと思えばいいと軽い気持ちで言うと、それを聞いた菜月は麻奈に部活動の本登録日が終わるまでは正式入部はまだである事を伝えた。


 そんなこんなで、菜月と麻奈は部活の本登録日がどうたらこうたらと話をしていると、奥のプール更衣室の方から、競泳水着に着替え終えた蘭と聖が出てきた。


「おっまったせ~ 水着を着るのに少し時間がかかちゃって」


蘭と聖は、水泳初心者の麻奈と菜月とは違い、学校指定のスクール水着ではなく、以前から愛用していた競泳水着である。


蘭の競泳水着は、骨盤付近まで露出をしている鋭くきわどい黄色のハイレグタイプの競泳水着であり、聖の競泳水着は、太股まで覆い尽くされた黒のスパッツタイプの競泳水着であった。


そして、スパッツタイプの競泳水着を着用している聖とは違い、ハイレグタイプの露出面の多い競泳水着を着用していた蘭の姿を見た麻奈と菜月は、少し顔を赤面な状態になり驚いた。


「ちっ、ちょっと蘭さん、いったいなんなんですか、その露出水着は!」


「もっ、もしかして、サイズを間違えたのですか!?」


麻奈と菜月は、興奮をした状態で恥かしそうにチラっと見ながら蘭の着ているハイレグタイプの競泳水着を色々と気にした様子でいた。


「あっ、この水着の事ね。この水着はハイレグタイプの競泳水着なの。私が着ているようなタイプの水着は一世代ほど前のタイプの水着なのよ」


赤面な顔になり興奮をしている麻奈と菜月の方を見ながら蘭は、自分が着ている競泳水着の簡単な説明を行った。


「なるほど、昔の競泳水着って、物凄く露出度が高いんだね。でもさ、なんで蘭さんは聖ちゃんのようにスパッツタイプの競泳水着にしないの?」


スパッツタイプの水着が主流の時代に、未だハイレグタイプの水着を着用している蘭に、麻奈は疑問に思いながら問いかけてみた。


「なぜって、そりゃあ、この型の水着は昔から愛用しているので着慣れているのよ。それに太股が締め付けられている感じもなく動きやすいし、あと、ハイレグタイプの方がスパッツタイプと違ってトイレに行くのも楽なのよ」


麻奈の疑問に、蘭はクスッと恥ずかしそうに笑いながら答え、そしてチラッと聖のスパッツタイプの水着を見た。


「なぜハイレグタイプだとトイレが楽なの?」


「そりゃあ、ハイレグタイプだと、股布の部分をずらすだけで済むじゃない。スパッツタイプだとトイレに行く度にすっぽんぽんよ」


麻奈は答えが分っているにもかかわらず、蘭にハイレグタイプの方がなぜトイレが楽なのか理由を聞いてみると、またしても蘭は聖のスパッツタイプの水着をチラッと見ながら言った。


「そんな事より蘭さん、女性が股布の部分をずらしたらトイレが楽だとか堂々と言わないでください…… 聞いていてもなんか恥ずかしいです」


「あら、恥ずかしかったかしら? でもここには私達以外誰もいないから恥ずかしがる心配はないわよ」


「そんな問題じゃないですよ……」


蘭が、ハイレグの股布をずらしたらトイレが楽だと堂々と言ったのを聞いていた菜月は、聞いている自分までもが恥ずかしくなって来ると言った。


また、蘭が聖の方をチラッと見ながら『トイレに行く度にすっぱんぽん』と言ったせいで、聖はまるで自分がトイレに行く度に全裸になって更衣室からトイレまでを往復している変態のイメージをつけられたと勘違いをし、蘭にトイレに行くときは更衣室から全裸になっていない事を伝えた。


「確かにスパッツタイプだと、トイレに言ったら全裸になるわ。でも、それはあくまでも…… トイレの中だけだから!!」


蘭にトイレの個室の中だけでしか全裸になっていない事を伝えている時の聖は、物凄く恥ずかしいそうに顔を真っ赤にしていた。


「あらっ、そうなの。それよりもなんで顔を真っ赤にしているのかしら? まさか、私の水着姿を見てかしら」


「んな訳あるか!!」


初めから聖が常にトイレに行く時に更衣室から全裸になっているなんて考えていなかった蘭は、なぜ聖が恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらトイレの中でしか全裸にならないと言ったのかその経緯が分からなかった。


その為、蘭は聖が恥ずかしそうに顔を真っ赤にしていたのは、自分のきわどいハイレグタイプの水着を見てそうなったのかと聞いてみると、聖は速攻で否定した。


「違うの? んじゃあ、なんで急に顔を真っ赤にしたのかしら?」


「そりゃあ、トイレの中ですっぱんぽんになっているとか、まるで私がいつもそうしているような目つきをして見ながら、私の方をチラチラと見てたじゃない! なんで?」


「なんでって、この中でスパッツタイプの水着を着用しているの聖ちゃんだけじゃない。それでつい見てしまったの。気分を悪くさせてしまったらゴメンね」


蘭の余計な動作のせいで、聖が勘違いをしてしまい真っ赤な顔になってしまった事に対し、蘭は聖の気分を悪くさせてしまったと思い、誤った。


「いや、別に謝るとか良いから。そんな無駄話をやるよりも、さっさと練習をしましょ」


「あっ、そうだったわね。じゃあ早速練習をしましょっか!! じゃあまずは準備運動から」


謝罪をする蘭を見た聖は、特に気にする様子もなく、水泳部の部長である蘭にすぐに練習をしようとクールに言った。


そして、それを聞いていた蘭は、張り切った様子で練習を始める為、早速準備運動をやるように指示をかけた。

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