部屋で話
この日は、蘭が安奈に話しておきたい事があった為、安奈は蘭の家に呼ばれていた。
蘭の家は、外からも見てもハッキリと分かりぐらい、凄く大きな家であり、また、家を取り囲んでいる外壁も人の背丈よりも大きい。
そんな大きな家に、安奈は蘭に会う為、久々に蘭の部屋を訪れた。
「お~い、蘭。大事な話って、何だよ……」
安奈は、蘭から言われた大事な話の真相を聞く為、蘭の部屋へと入って行った。
安奈が蘭の部屋に入った瞬間、安奈は変なモノを見てしまった為に物凄く驚いた。
「おっ、お前!! 何やってんだよ!!」
安奈は、赤面な顔になって凄く驚いた。
安奈が蘭の部屋に入って真っ先に目に入って来たのが、股を全開に広げた状態で陰部をドア側に向けて、全裸の状態でブリッジをやっている蘭の姿であった為である。
「あら、安奈ちゃん、もう来たのね。早かったわね」
「早かったじゃねーよ!! 何してんだよ!!」
「何って、見ての通り、ブリッジよ」
「だから、そうじゃなくて、なんで全裸なんだよ!!」
全裸で身体中に汗を流した状態でブリッジをしていた蘭に対し、安奈はツッコミを入れるような感じで、なぜ全裸でいるのかを聞いてみた。
「だって、服を着てストレッチをしていると、その分汗をかいて、無駄に洗濯物が増えちゃうでしょ。だからこそ、無駄の削減の為に裸なのよ」
安奈のツッコミに対し、蘭はストレッチを行う際に出る汗で服が汚れるのを防ぐ為に、全裸でいると言った。
「洗濯なんて、いつも出るじゃないか。そんな事気にしてんなよ」
「だからこそ、私はいつも出る洗濯を少なくしているのよ。その証拠に、部活がある時は。下に競泳水着を着用して、下着を身に着けない事にしているのよ」
「てことは、部活終わりは、いつもノーパンノーブラかよ!?」
「そうね。その方が楽じゃない。部活終わりにシャワーを浴びるけど、家に帰ってからもシャワーを浴びたいでしょ。だからこそ、無駄に下着の洗濯物を増やしたくないの」
更に、蘭は無駄に洗濯物を増やさない為に、部活がある時は下着を身に着けていない事まで言った。
「でもさ、家でシャワーを浴びた後に、どうせ下着を身に着けるんだったら、あまり変わらないと思うけど?」
「そう思うでしょ。でも残念ね。実は私は、家でシャワーを浴びた後も全裸で過ごすのよ。それこそ、洗濯物を出さない、究極のエコよ!!」
「エコじゃねーよ!!」
そして、蘭が全裸で過ごす事が洗濯物を出さない究極のエコだとブリッジをした状態で胸を張って言うと、安奈から否定をされるようにツッコまれた。
その後、蘭はブリッジを止め、全身の汗を拭き始めた。
「そう言えばさ、蘭……」
「何、どうしたの?」
「お前、あそこの毛を生やし始めたな」
安奈が蘭の身体をジロジロと見始めた為、蘭がどうしたのかと聞いてみると、安奈は陰毛を生やしていた蘭の陰部を少し珍しそうに見ていた。
「そりゃあ、大会が終われば毛は伸ばすわよ」
蘭の陰毛は、陰部の割れ目だけを隠す様に、物凄い細い形の陰毛をしていた。
「そう言うってことは、やっぱり毛無しは恥かしいって事か?」
「当たり前でしょ!!」
「そこは胸張って言うなよ!!」
そして、蘭が胸を張って無毛は恥かしいという事を言うと、それを聞いた安奈から、またしてもツッコミを入れられた。
そんな感じで話をしていると、蘭の部屋に1人の少女が、お菓子と紅茶を持って来た。
「おねーちゃん。お菓子と紅茶を入れて来たわよ」
「おっ、ありがとう。わが妹よ!!」
お菓子と紅茶を持って部屋に入って来たのは、蘭の妹であった。
「おっ、凛じゃねーか。久しぶりだな」
「あっ、金井さん、お久しぶりです」
蘭の妹は凛といい、学年は蘭よりも2つ年下の中学3年である。
凛も蘭と同様に金髪であるが、蘭の様なくせ毛はなく、金髪のストレートロングである。
言うまでもないが、凛は蘭とは異なり、きちんと服を着ており、青と白のワンピースを着用している。
「お前も大変だよな。こんな姉がいて」
「えっ、どうしてですか? おねーちゃんは、凄く優しくていい人ですわ」
突然、安奈から情けをかけられる様に言われた凛は、キョトンとした表情をした。
「そうよ。安奈ちゃん、そんな風に見てはダメよ!! ねっ」
それを聞いた蘭は、安奈の方を見ながら注意をした後、妹の凛の後ろから優しく抱きついた。
その後、お菓子と紅茶を置いた凛は、蘭の部屋を出ようとした。
「それじゃあ、おねーちゃん。私行くわね」
「うん、ありがとう」
そう言いながら、凛は蘭に手を振って部屋から出て行った。
その後は、凛が持って来てくれたお菓子と紅茶を食べながら、本題の話が始まった。
「そう言えばさ、今日は何の為に私を呼んだんだよ」
「そうそう、これを見せようと思ってね」
お菓子を食べながら安奈はこの日、蘭に呼ばれた本題の話を行うと、それを聞いた蘭は机の上に置いてあったスケッチブックを取り出した。
「ん、何だいこれは?」
蘭からスケッチブックを受け取った安奈は、何が書かれているのか疑問に思いながら、スケッチブックの中を見てみた。
そのスケッチブックに書かれているのは1枚のイラストであった。
「この絵は何?」
安奈がスケッチブックで見たイラストは、夏服のセーラー服の様な服であった。
そのセーラー服の様な服は、全体は白っぽい色になっており、一部に水色のラインが引かれ、それ以外のスカートとスカーフ部分は水色になっていた。
また、セーラー服にしては露出が凄く、袖はなく腰の肌だけが露出している状態の少し変わったセーラー服であった。
「ああ、これね。これを着て今度の文化祭で行うシンクロをやろうと思うの」
「これを着るのかよ!?」
「そうよ。この絵は麻奈ちゃんが忙しい中、考えに考えて描いてくれた絵なんだから」
スケッチブックに書かれていた絵が、文化祭のシンクロで着る服である事を知った安奈は、うっすらと赤面な顔になって言った。
「にしても、この服、変なところが露出していないか?」
「どこがよ?」
「ほらっ、この腰のところとか」
そう言いながら、安奈はスケッチブックに描かれている絵の腰の部分を指で指した。
「あぁ、それね。スカートと首周りのヤツは取り外せるようにしているの」
「んでまた、そんな事してんだよ」
「その方が、水中で動きやすくなっていいじゃない」
「要は、白いハイレグを着てシンクロをやれって言うのかよ?」
「そうよ」
その後、スケッチブックに描かれているセーラー服みたいな服に露出が多い理由を知った安奈は、嫌そうな顔をした。
「てことは、当日は私もこれを着るのかよ」
「当たり前でしょ!! みんな一緒の水着でやらないと意味がないでしょ」
「そうだよな…… てことは私も蘭みたいに毛を剃らないといけないって事か」
「そうなるわね。それだったら、今から私が剃ってあげようかしら?」
「遠慮しとく」
安奈が嫌そうな顔をしたのは、ハイレグを着用する為に陰毛を剃らなければいけないという事であり、それを聞いた蘭が剃ってあげようかと聞いてみたところ、安奈はキッパリと断った。
その後、文化祭当日に着る服を安奈に見せた後、蘭はこの最近の聖の事について、安奈に聞いて来た。
「そう言えば聞いて欲しい事があるの」
「今度は何だよ?」
「ここ最近、聖ちゃんが何か思いつめた様な感じでいるでしょ」
「確かに、以前とは異なり、何か考えている様子だな。一体、何があったんだ?」
「それがね……」
蘭は、ここ最近の聖の様子について、安奈からも意見を聞こうと思い、思い切って安奈に話しかけた。
しばらくその話は続き、その話が終わった後、安奈は少し納得をした様に頷いた。
「なるほどね。それで聖はここ最近、何か考え込んでいる様子だったのか」
「そうなのよ。私も以前に顧問の先生からその話を聞かされた時に知って、凄くビックリしたわ」
「それって、麻奈と菜月には言っているのか?」
「まだ言っていないけど、文化祭までには言おうと思うの」
「早いうちにした方がいいぞ。結局決めるのは、聖自信なんだから……」
ここ最近の聖の話題に入った途端、安奈と蘭の様子は、深く考えこむ様にすっかりと暗くなってしまった。




