こっそりと練習……
太陽が昇らない、まだ空が薄暗い明け方頃、旅館の部屋の布団の中で寝ていた聖は、ふと目が覚め、海が見える窓側へと歩いて行った。
部屋の中の布団の中では、蘭と菜月は、グッスリと眠ったままの状態であったが、菜月の隣に敷かれている布団の中には、麻奈の姿は見えなかった。
その時は、聖は麻奈がいない事を、特に気にする事はなかった。
そして、窓側に行くと、そこには広い砂浜と夜の暗い海が広がっていた。
「ん~ 意外と、明け方の海って、結構綺麗なのね……」
そう言いながら、聖は両腕を伸ばしながら、外の景色を見ていた。
すると、外の海の方をよくよく見てみると、誰かが泳いでいる姿が見えた。
「こんな時間帯にも、海で泳ぐ人がいるのね……」
その時は、聖も特に気にはしなかったが、同時に部屋に敷かれている布団の中に寝ているはずの麻奈の姿がなかった事に気が付いた。
「もしかして、あの海で泳いでいるのって……」
聖は、もしもの事を思い、更によくよくと海で泳いでいる人を見てみた。
すると、そこで泳いでいた人は、明らかに麻奈の様な姿をした人であった。
その証拠に、そこで泳いでいた人は、赤いハイレグタイプの競泳水着を来た人であった。
「あそこで泳いでいるのって、もしかして麻奈かしら?」
そう感じた聖は、旅館の浴衣を着たままの状態で、急いでその部屋の窓から見える海辺へと走って行った。
そして、海辺の方へと行ってみると、先程の部屋で見た時に泳いでいた人が、未だにその海で泳いでいた。
そして、須磨浜の上に立った聖は、確認の為、その海の中で泳いでいる人向かって叫んだ。
「麻奈ー!! そこで何してるの!?」
聖は、少し大きな声を出して言ったおかげか、その海の中で泳いでいる人は、海中で立ち止まり、砂浜の上に立っている聖の方を向いた。
「あっ、聖ちゃんじゃないの。どうしたの?」
「やっぱり、麻奈だったのね。どうしたのじゃないわよ!!」
聖の予想通り、海で泳いでいたのは、確かに麻奈であった。
麻奈であったのを確認した聖は、心配をした様子で、大きな声を出した。
「一体、こんな時間に何やってたの!?」
「何って…… 泳いでいただけだよ」
「泳いでいた? こんな暗い海の中を!?」
心配をした様子の聖は、麻奈に何をしていたのか理由を聞いてみると、麻奈はただ泳いでいただけだと、あっさりと答えた。
その為、聖は、暗い海の中を泳いでいた麻奈に驚いた。
「そうだよ。泳いでいたのだよ」
「なんでまた、こんな時間に泳いでいたのよ!?」
更に、なぜ麻奈が暗い海の中を1人で泳いでいたのか気になった聖は、麻奈に1人で泳いでいた理由を聞いてみた。
「それは…… 私って、蘭さんやなづちゃんよりも、泳ぎが遅いじゃない。その為に、少しでも練習をして、遅れをとらない様にしていたの」
麻奈が1人で暗い海の中を泳いでいた理由は、遅れをとらない様にする為の練習であった。
「そんな事の為だけに……」
「そんな事だけじゃないよ! 昼間の練習だけでは追いつけないからこそ、こうやって夜の間に、こっそりと練習をしているんだよ」
麻奈が1人で練習していた理由を知った聖は、少し溜息をついた。
と、同時に、麻奈は海辺に立ったままの状態で、聖の方を見ながら、気合のガッツポーズを行った。
そんな麻奈のヤル気を見た聖は、自分自身もこの場で練習をしようという気になった。
「なるほどね…… 1人でやるよりも、2人でやった方が、より良い練習になるわ……」
「でも、聖ちゃんは、今、水着は部屋に置いたままだよね。取りに行くの?」
「別に、その必要はないわ……」
そう言って、聖は着ていた浴衣を脱ぎ出し、更に履いていたパンツまで脱ぎ、砂浜の上で、全裸の姿をなった。
「聖ちゃん…… まさか、裸で海に入るつもり?」
「そうよ。それに今なは暗くてまだ誰もいないし、裸で泳ぐ方が、水着を取りに行くよりも楽で良いわ」
突然、全裸になった聖を見た麻奈は驚きながら、聖が全裸になった理由を聞いてみた。
「なんだか、蘭さんみたいだね」
「全く、確かにそうだけれども、あの蘭さんとは一緒にしないでほしいわ」
突然全裸になった点が、まるで蘭の様だと思い、麻奈は、クスッと笑った
「それにしても、聖ちゃんって、身体が物凄く細いね。胸も全くと言っていいほどないし」
「あぁ、この胸ね。少し色々とあって、胸は小学生の時から膨らまない様になっているの」
「えぇ!? そうなの? だから、聖ちゃんの胸はほぼペッタンコだったんだ!!」
聖の裸体を見た麻奈は、聖の細い身体に関心を言った以上に、ほぼ膨らんでいない胸にも目が行ってしまった。
その胸を押さえながら聖が、胸が膨らんでいない理由を言うと、それを聞いた麻奈は、物凄く驚いた。
「なんか、理由を聞いてはいけない様な気がするが…… 胸が膨らまない様にしているのは、やっぱり、水泳の為?」
「確かに、そうね」
「そうねって…… でも、そのせいで、女性の証である胸がないなんて、あんまりだよ……」
同時に、聖の胸がほぼ膨らんでいない理由を知った麻奈は、聖を哀れな目で見てしまった。
「でも、そのおかげで、胸部分の水の抵抗がなくて、意外と泳ぎやすいわよ」
「確かに、胸がない分は、水の抵抗が少なくて泳ぎやすそうだけれども…… 聖ちゃんは後悔しないの?」
「公開? なにを」
「胸が膨らまない事」
「確かに、もう少しあった方が、見栄えも良くなるとは思ったりもしているけど、この方が蘭さんとかと比べると、身が楽で良いわよ」
麻奈は、心配をした様子で聖に胸が膨らまない事を聞いてみると、聖は特に後悔はしていない様子であった。
「確かに聖ちゃんは、胸だけでなく、下の毛も全部剃っているから、ホント、水の抵抗を受けない身体作りをしているね」
その後、麻奈は、聖の毛がないピタリと閉じた割れ目スジが丸見えの陰部に目が行った。
「まぁ、これも、昔からの癖で、ついつい全部剃ってしまうのよね」
そう言いながら、聖は毛がない割れ目スジの陰部を触りながら言った。
「でも、私って、元々陰部の毛が濃いのか知らないけど、こう、触っていたら、常に剃り跡のジョリジョリ感があるのよね」
「もしかして、一度剃ってから、今までずっとまともに生やした事がないの?」
聖が陰部の剃り跡をなでながら言っているのを聞いた麻奈は、聖に陰部の毛を剃り出してから、一度も生やした事がないのかを聞いてみた。
「実を言うと、ないのよ……」
「そうだったんだ!!」
「恥かしい話だけどね。一応、私の水着は、麻奈や蘭さんの様なハイレグタイプではないから、毛を剃るという必要はないのだけれども…… つい、昔からのクセで毛を全部剃っちゃうのよ。その方がなんだか、タイムも上がっている気がして」
その後、聖は自分の陰毛を剃っている理由を、麻奈に語った。
「って、さっきから、私の身体に関する話ばかりやっているけど、そろそろ練習をやるわよ」
「そうだったね」
そして、聖は練習をやると言いながら、全裸のまま、麻奈がいる海の中まで歩いて来た。
「とりあえず、私が泳ぎ方などを教えてあげるわ」
「ホント!? ありがとう、聖ちゃん!!」
海の中に入って来た聖が、麻奈に練習を教えると言うと、麻奈は嬉しさのあまり、海の中に両足を付けている状態からのジャンプをした。
そして、麻奈と聖は、まだ夜が明けない薄暗い海の中での、2人だけの秘密のマンツーマンの練習が始まった。