今夜は寝かせない!
合宿当日、日中は海水浴場で練習という名の遊びをした後の夜は、海水浴場のすぐ目の前の旅館でゆっくりと過ごしていた。
「はぁ~ いい湯だったわね」
「ホント、気持ちよかったわね~」
旅館の温泉へと行っていた蘭と菜月は、この日就寝をする部屋へと戻って来ていた。
「にしても、温泉に浸かっていたせいか、まだまだ身体が熱いわね……」
そう言いながら、蘭は着ていた旅館の浴衣の帯を取り外してし始めた。
そして、旅館の浴衣の帯を外し、帯を巻いていない状態で旅館の浴衣を着ていた蘭は、胸や陰部が丸出しとなった。
「あの…… 蘭さん、何しているんですか?」
「何してるって? 涼しくしただけよ」
そんな姿の蘭を見た菜月は、何をしているのか遠い目で見る様な感じで聞いてみると、蘭は単に温泉で温まった身体を冷やしているだけであった。
「そう言えば、蘭さんはパンツを穿いていないのですか?」
そんな中、はだけた浴衣姿の蘭の身体を見た菜月は、蘭が下着を身に付けていない事に気が付いてしまった。
「パンツなんて穿かないわよ」
「え!?」
蘭の予想外な発言に、菜月は脳内に電気が走る様に驚いた。
「勘違いしているかもしれないけど、再度言うわ。普通、浴衣とか着るのに、パンツとか穿かないでしょ? だから、私も今はパンツを穿いていないだけよ」
「そっ、そうですよね……」
そんな菜月の様子を見て、蘭がパンツを穿いていない理由を言うと、菜月は自分が勘違いしていた事に気が付いた。
その後、少し遅れて温泉から戻って来た麻奈と聖が、部屋へと戻って来た。
「にしても、聖ちゃんったら、真っ黒になったわね~」
部屋に戻って来た聖の姿を見た蘭は、身体が真っ黒に日焼けをしている姿を、驚いた様子で見ていた。
「確かに、聖ちゃんは、私達以上に日焼けをしているね」
「私達と一緒にいてたのに、私達以上に黒くなったわね」
すると、麻奈と菜月も、真っ黒に日焼けをした聖の姿を見て驚いていた。
「全く…… そんなにジロジロと見るほど珍しいモノでもないでしょ」
そんな様子に、聖は少々うんざりした様子でいた。
「いやっ!! 普通に珍しいよ!!」
すると、蘭はツッコむ感じで言い返した。
「まぁ、単に私は他の人よりも日焼けをやりやすいだけですよ。そんな事よりも蘭さんはどうして浴衣の前を開けてるの?」
「あぁ、これね。この方が涼しいからに決まってるじゃない!!」
その後、聖が日焼けをやりやすい体質である事を言ったあと、蘭の浴衣が前を開いた状態になっていた為、どうして開いているのか疑問に思い聞いてみると、蘭は前を開いて浴衣を着ている状態を言った。
そして、部屋に全員集合をした後、今度は寝る場所を決める事となった。
部屋に敷かれている布団は、左側に3つ布団が隣同士に敷かれているのに対し、右側のもう1つだけはまるで離されたかのような感じになっていた。
「そう言えば、1つだけ隣同士になっていなくて、離された感じのヤツがあるわね…… ここは誰が寝る?」
「そこは、蘭さんが寝たらどうですか?」
「そうですよ。蘭さんは部長ですから」
「隣に人がいない方が、ゆっくりと寝られるわ」
そんな中、その1つだけ離された感じになっている場所に誰が寝るのか蘭が聞いてみると、菜月も麻奈も聖も、揃って蘭に寝てもらう事をススメた。
「そう? でも、1人だけだと寂しいわね…… せっかくだし、麻奈ちゃん、一緒に寝ましょ!!」
特に否定をする事はなかった蘭であったが、さすがに隣に人がいないのは寂しいと思い、反対側から枕を取り出し、1つだけ敷かれている場所の布団の上に置いた。
「さぁ、麻奈ちゃん、今夜は私の抱き枕になるのよ。そ・し・て、同じ布団の中で一緒に温まりましょ」
「えっ、えぇぇ!!」
そして、蘭はセクシーな表情をしながら一緒に寝る様に言うと、それを聞いた麻奈は凄く驚いた表情をした。
「はいはい、ダメですよ。1人分の布団があるのですから、布団は1人で使いましょ」
「そっ、そんなぁ~」
せっかく置いた枕を、菜月によって元の場所に戻されると、蘭はまるで何かの別れの様に悲しんだ。
その後、皆が布団の中に入ったのを確認した菜月は、消灯を行う為、部屋の真ん中にある蛍光灯のヒモを引っ張りに行った。
「それじゃあ、電気を消しますよ」
そう言いながら、菜月は蛍光灯に付いているヒモを引っ張ると、部屋は一気に暗くなった。
そして、部屋が暗くなり、菜月も寝る為に布団の中へ入ろうとした時、突然、菜月の目の前で何かが光り始めた。
「バッ!!」
「うぁわ!!」
その光は、蘭が暗くなった部屋で菜月を驚かす為に行ったイタズラであり、自分の顔にスマホのライトを当てていただけであった。
「どうしたのですか?」
「せっかく寝ようとしていたのに、大きな声を出さないで下さい……」
突然の菜月の声に反応をした麻奈と聖は、その声のせいで起きてしまった。
「突然、驚かさないで下さい!!」
「何言ってるの、こんな時の夜はたっぷりと楽しい事をやらないとね。それに、今夜は寝かせないわよ!」
菜月は蘭の行動に対し、怒った様子で注意をすると、蘭は特に懲りた様子もなく、逆に張り切った様子でいた。
そして、蘭の言葉通り、布団の中に入りながら、寝れない夜が始まった。
「じゃあ、聖ちゃんの恥かしいお話ぃ~」
「本当に喋らなければダメですか?」
「当たり前よ」
先程、蘭が強引に行う中のジャンケンで、見事に負けてしまった聖は、とっておきの恥かしいエピソードを喋らなくてはいけなくなってしまった。
「じゃあ、語るわよ……」
そして、聖は少し恥かしそうな様子で、とっておきの恥かしいエピソードを語り始めた。
「へ~ 聖ちゃんが下の毛を剃っていたのは、オーストラリアに留学をしていた時に、チームメイトの人に剃られたからだったの?」
「うん…… 郷に従えって感じで、見事にツルツルにされてしまいました……」
語り終えた後、蘭に確認の様に聞かれた聖は、少し恥かしそうな様子でいた。
「じゃあ、せっかくだし、こんな時の定番の話でもやりましょ」
「定番の話とは?」
その後、蘭が次の話題に切り替えると、菜月はどんな話をするのか疑問に思った。
「その話とは、もちろん恋バナよ」
「恋バナですか!?」
「そうよ、恋愛の話よ」
菜月の疑問に答える様に、蘭は再びテンションを上げながら、恋バナをやると言った。
「せっかくだし、菜月ちゃんの恋バナでも聞かせてもらおうかしら?」
「私ですか? そうですねぇ…… 私の好きな人は、背が私よりも低くて、凄く元気で前向きな何事にも諦めない気持ちを持った可愛い子よ」
蘭に強制的に恋バナをさせられた菜月は、場の雰囲気のせいか、特に恥かしがる様子もなく、スラスラと好きな人の特徴を語り出した。
「へ~、意外と可愛いタイプの子が好きなのね」
その話を聞いた蘭は、物珍しいモノを見る様な目で菜月を見た。
「その恋、叶うといいね。私、応援してるよ」
「うん、ありがとう。麻奈」
その後、菜月の恋を応援すると言った麻奈の顔を見た菜月は、顔を赤く照らしハートがときめいている気分で言った。