表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/56

いざ部室へ①

 高校の入学式も終わり早一週間近くが過ぎた今日、麻奈は水泳部の部室があると思われるプール更衣室前に立っていた。


「運動部の部室がある場所には、水泳部の部室がなかったから、水泳部の部室は多分ここね」


麻奈は、緊張と少々の不安心を抱いていた。


そして、麻奈は緊張をした様子で水泳部の部室があると思われるプール更衣室のドアノブをギュっと握りしめながら開けた。


そのドアは、緊張をしている麻奈にとっては、物凄く分厚く厚く重みのある鉄板のようであった。


「しつれ~いしま~す、どなたかいませんか~」


緊張をした様子で開けたドアの向こうにある水泳部の部室と思われる場所であるプール更衣室の中は、明かりはなく薄暗いせいで不気味な空間を作り出していた。


「こんな暗い部屋だと、だれも居そうにないわね。もしかしたら春は練習やっていないのかな?」


薄暗く不気味な様子を漂わせていたプール更衣室の中に誰もいないと分かった麻奈は、そのプール更衣室のドアをゆっくりと閉めた後、そのドアの前にもたれてため息をついた。


「も~う、どこに行ったら、水泳部の部員に会えるのよ……」


プール更衣室のドアにもたれながらため息をついた麻奈は、どこに行けば水泳部の部員に会えるか考え込むように悩んだ。


こうしてしばらくの間、プール更衣室のドアにもたれながら悩むように考えながら、水泳部の部員が来るのを待った。


しかし、いくら待っても水泳部の部員が表れる気配はなく、ただ時間だけが過ぎていくばかりであった。


「今日は練習休みなのかな? また今度出直してみよ」


プール更衣室のドアにもたれながら部員が来るのを待っていた麻奈であったが、誰もプール更衣室に来る気配がないと感じた麻奈は、勝手に今日は休みだと自分に言い聞かせてこの場を去ろうとした。


 そして、麻奈が先ほどまでもたれかかっていたプール更衣室のドアから背中を離し、この場を離れようとした時、一人の女子生徒がこちらに向かって歩いて来る光景が麻奈の目に飛び込んできた。


「あら? あなた、もしかして水泳部の入部希望者?」


少し離れた場所から声をかけてくる女子生徒の外見は、髪の先部分がバネのようにクネッとした長い金髪の持ち主であり、水泳を行うのには邪魔なほどデカい胸を持っていた。その見た目は少しばかり高貴な方というオーラを漂わせていた。


その女子生徒は、麻奈がいるプール更衣室の方へとニコッと笑顔を見せながら近づいてきた。


そして麻奈は、緊張をした様子で、プール更衣室に向かってくる女子生徒に水泳部の入部希望者である事を伝えた。


「はい! 私、この水泳部の入部希望者です!」


「あらっ、入部希望者なのね。待たせちゃってごめんなさいね。詳しい話は中で行いましょ!」


その女子生徒は、緊張をしている麻奈を見るやいなや、その緊張を和らげるように麻奈の片手をやさしく握りながら、プール更衣室のドアを開けて薄暗い更衣室の中へと入った。


 プール更衣室の中へと入った女子生徒は、まず初めにこの更衣室の電気を付け、先程まで薄暗く不気味であったプール更衣室に明かりをもたらした。


明かりが入り、そこで初めて見たプール更衣室の中は、スポーツクラブなどで使われる更衣室のようであったが、またほとんど使用されていないような更衣室でもあった。


「さっ、遠慮せずにここに座って」


「あっ、ありがとうございます。それでは遠慮なく座らせていただきます」


水泳部の部員らしき女子生徒から、着替えの際にカバンを置いたりする事が出来る細長いイスへを座るように言われた麻奈は、緊張をした様子でその女子生徒の指示に従った。


麻奈が細長いイスに座ると、女子生徒も麻奈の隣にくっ付くぐらい近い距離に座ってきた。


「まだ、緊張が解けないみたいね」


「はっ、はい。憧れの水泳部の部室の中に入ってさっきよりも緊張がしてきました」


緊張をしている麻奈を顔を見ながら、麻奈の両手の上に手を置いてきた女子生徒は、やさしい表情をしながら麻奈に話しかけてきた。女子生徒に両手の上に手を置かれたせいもあり、麻奈は頬を赤くしながら顔をジッと見つめてくる女子生徒から顔を反らそうとした。


「そう。なら、緊張を解くにはコレよ」


緊張をしている麻奈の緊張を解こうとした女子生徒は、隣に置いていたコンビニのビニール袋から、ペットボトルのお茶を取り出した。


「えぇ!? もしかしてくれるの?」


「そうよ。気にしないで飲んでみなさい。きっと緊張は解けるから」


「う、うん。ありがとうございます」


女子生徒から差し出されたペットボトルのお茶を、麻奈は少し遠慮をしながらゴクゴクと飲み始めた。


そして、お茶を一気に全部飲んでしまった麻奈の様子を見た女子生徒は、ニコッとした表情をとりながら再び麻奈に話しかけてきた。


「あらっ、一気に飲んだわね。そんな事はさておき、あなたのお名前は?」


「あっ、私の名前ですか? 私の名前は阪野麻奈さかのまなです!」


「あらっ、阪野麻奈さんね、はじめまして。私はこの水泳部の部長を務めさせていただいている蝶蘭ちょうらんと申します。よろしくね!」


「初めましてって…… えぇ!! この水泳部の部長だったんですか!!」


麻奈の隣に座ってた女子生徒が、まさかの水泳部の部長であった事を知った麻奈は、驚きを隠せずに先ほどまでの緊張が一気に吹っ飛んでしまうくらい驚いた。


「そうよ、そんなに驚かなくても」


「おぉ、驚きますよ……」


驚いている麻奈の様子を見た部長は、キョトンとした様子になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ