テスト勉強!!
この日は、中間テストが近いという事もあり、水泳部の皆で近くのファミレスへ、テスト勉強をしに来ていた。
「全く、勉強くらい、1人でも出来るじゃないの」
しかし、聖だけは皆で勉強をするという楽しさが分からないようなのか、少し不満な様子でいた。
「まぁまぁ、聖ちゃんそんな事言わずに、勉強もみんなでやった方が楽しいよ」
「そうよ。もし分からない所があれば、私が教えてあ・げ・る」
「別に良いです」
そん聖を見た麻奈と蘭は、皆でテスト勉強をやった方が楽しいという事を言った。
「そんな事よりも蘭さん、さっきから全く勉強をしていないじゃないですか。ケーキばかり食べて」
「だって、今日はここのファミレスのケーキが食べ放題なんだもん」
「だから、ここでテスト勉強をしようと言ったのね」
「バカバカしい」
「そこまでいう事ないじゃないの!!」
自分からテスト勉強をしようと部員達を誘った蘭であったが、肝心なテスト勉強をせず、店内にある美味しそうなケーキばかりを食べていた。
それには、さすがに菜月と聖も呆れかけていた。
「うん、蘭さんの言うとおり、ホントにこのケーキは美味しいよ」
「でしょ! 麻奈ちゃんはやっぱりわかる人ね!」
菜月と聖が呆れ返る中、麻奈は蘭が食べていたのと同じ種類のケーキをモグモグと食べていた。
「もう、麻奈ったら。ケーキばかり食べてないで、今は勉強に集中するのよ。テストも近いんだし」
「そうよ。それにケーキばかり食べていたら、身体に脂肪がついて太るわよ」
美味しいケーキに夢中になってしまっている麻奈を見た菜月と聖は、考えは違えど、食べ過ぎないよう注意をした。
「あら? 聖ちゃんたっら、脂肪がつくとか気にしちゃうタイプ? そんな事だから、おっぱいが膨らまないのよ。ほらっ、食べさせてあげるから、ア~ンしなさい」
「余計なお世話よ。水泳をやるのに脂肪がついている方が、水の中では浮かんで良いとかよく言われてるけど、私からしたら、脂肪なんてただの無駄なゼイ肉でしかないわ。それに私は、胸なんて膨らんでほしいと思ってないわよ。だって、胸があったら、水の抵抗を受けて泳ぐのに邪魔になるじゃないの」
「そんな事言っちゃって~ 本当は、私の大きなおっぱいを見て、嫉妬しているのね」
「嫉妬なんてしてませんから」
大きなおっぱいの谷間を強調しながら、フォークに一口サイズのケーキを持って、テーブル越しから近づいてくる蘭に、聖は迷惑そうな様子でいた。
「ほらほら、口を開けるの」
「そんなことしたって、私はたべ……」
そして、蘭が一口サイズのケーキが刺さったフォークを聖の口元まで持って来ると、聖の口を開ける様に上手い事声をかけ、ついそれに返事をしてしまい、口が開いた途端、蘭は一口サイズのケーキが刺さったフォークを、聖の口の中へと入れた。
蘭によって、口の中にケーキを入れられてしまった聖は、モグモグと不思議そうな顔をしながらケーキを食べ始めた。
「うん…… 美味いわね」
一口のケーキを噛み終え、飲み込んだ後、聖はケーキの予想外の美味しさに少し驚いた。
「でしょ! この私がオススメする物には、ハズレはないのよ」
その様子を見た蘭は、自慢気そうに言った。
「あぁ、聖までもが誘惑に負けそうになってるわね」
「菜月ちゃんも、我慢をせずに食べてみたら?」
「そうだよ。甘いものを食べると、頭もさえて、テスト勉強に集中できるよ!」
「一口しか食べてないからあまり言えないけど、美味しいと言うのは嘘ではないわ。一度は食べてみるのもオススメするわ」
蘭の誘惑により、テスト勉強よりもケーキに夢中になってしまった麻奈と聖を見て菜月は少々呆れた様子でいると、蘭と麻奈と聖がケーキを食べるように進めてきた。
「全く! 菜月ちゃんは相当頑固ね。少しは甘いものを食べて、頭をリフレッシュしたらどう?」
「余計なお世話です!! そんな事よりも、今はテストべ……」
しかし、それでも全くケーキを食べずにテスト勉強の方を優先しようとしている菜月の頑固さを見た蘭は、先程、聖にケーキを食べさせた時と同じやり方でケーキを口の中に入れた。
すると、菜月も先程の聖と同様に、不思議そうな顔をしながら美味しい物を食べていると言う感じであった。
「うん…… ここのケーキ、本当に美味しいわね……」
蘭に無理矢理食べさせられ、ケーキの美味しさに気付いた菜月は、なにかに負けたような気分になっていた。
「でしょ! だから私の言う事には間違いはないのよ! さっ、一緒に新しいケーキを取に行きましょ! 今日はどの種類も全部食べ放題よ」
「そうだね。他はどんな種類があるのだろう?」
「それは、見てからのお楽しみよ。私は今度、チョコケーキにしようかしら?」
「あっ、じゃあ私はチーズケーキにしようかな?」
そして蘭と麻奈は、次に食べるケーキを取に行く為、次にどのケーキを取るかの話を楽しそうにやりながら席を離れた。
それからしばらく時間が経過すると、先程までケーキの食べ放題に夢中になっていた蘭と麻奈もお腹いっぱいになったのか、すっかりとテスト勉強モードに入っていた。
「ねぇ、蘭さん、ここの問題はどうやって解くの?」
「この問題わね……」
テスト勉強中、分からない問題があった麻奈は、隣の席に座っていた蘭に問題の解き方を聞いていた。
「なるほど! こうやって解けばいいんだね。ありがとう」
問題の解き方を知った麻奈は、喜んで再び問題の続きを解き始めた。
「分からない問題があったら、遠慮なく私に聞いてね!」
「悪いけど、遠慮しとくわ。自分で勉強をするので」
「も~う、菜月ちゃんったら、遠慮しなくてもいいのよ」
その後、蘭は分からない問題があったら聞きに来るように声をかけたが、菜月だけはあっさりと遠慮をした。
そして数日後――
「ねぇ、みんなテストはどうだった?」
「蘭さんに教えてもらったおかげで、テストはバッチリだったよ」
「とりあえず、日本の英語ってのは簡単だったわね。とでも言っておこうかしら」
「聖ちゃんの英語の点凄かったんだよ。クラスで一番だもの」
「ちょっと麻奈、そういう事は言わないの……」
「凄いわね、聖ちゃん。ちなみに私なんて学年で1番だったわ」
「蘭さんこそ凄いよ!!」
テスト期間が終わり、答案が帰ってきた日の放課後、麻奈達は部室であるプール更衣室に集まり、テストの結果報告を行っていた。
「あれ? 菜月ちゃんだけさえない顔をしてどうしたの?」
そんな中、菜月だけはテストの結果報告の話の輪に入る事なく、1人で帰された答案を見て落ち込んでいた。
「なるほど、この点数だと落ち込むのも仕方がないわね」
「ちょっと、勝手に見ないでよ!!」
後ろからコッソリと蘭に恥かしい点数の答案を見られた菜月は、顔を真っ赤にし、恥ずかしながら答案を抱きかかえるようにして隠した。




