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競泳水着を買いに

 水泳部への入部からほんの少し時間が経った、5月のGWの頃、この日は麻奈と菜月が部活内で着る競泳水着の購入の為、蘭と一緒に街中にある繁華街に来ていた。


「せっかく水泳部に入部したんだし、いつまでもスク水じゃあカッコ悪いでしょ? そこで今日は、私が部活内で着るお似合いの競泳水着を選んであげるわね!」


「こんな連休の時に、ありがとうございます。蘭さん!」


「まあ、いいのよ。この際私も新しい競泳水着を見ておこうかなっと思って」


GWという連休の時を使い、麻奈と菜月が部活内で着る為の競泳水着の買い物について来てくれた蘭に、麻奈は軽くお辞儀をした。


「それはそうと、菜月ちゃんも色々と言っていた割に、結局は水泳部に入部する事にしたのね」


「そりゃあ、蘭さんが勝手に私の入部届を提出してしまったからじゃないの」


「でも、勝手に出されていたんだから、クーリングオフぐらいは出来たはずよ?」


「別にそこまでする必要はないわよ。私だって大げさに言うほど泳ぎが嫌いな訳じゃないし、それに入部届提出日の最終日に入部届を家に忘れてしまった私が悪いんだから」


競泳水着が売っている店に着くまでの間、蘭は先日の勝手に提出をした水泳部の入部届の件について、菜月がなぜあの後クーリングオフを行わなかったのか今になって問いかけてみた。


すると菜月は、落ち着いた様子で水泳部に入部をする決意を決めた理由を答えた。


「なるほどね。言うほど嫌いってわけでもなかったのね」


「まっ、そういう事よ」


菜月がクーリングオフを行わず、このまま入部をする決意を決めた理由を聞けた蘭は、納得をしたように頷いた。



 そして、そんなこんなで話をしながら繁華街の中を歩いていると、本日の目的地である競泳水着を取り扱っている専門店の前まで来ていた。


「さっ、ここよ。本日の目的地は」


目的地である、競泳水着を取り扱っている専門店に着くなり、蘭はそのまま店の中に入って行った。その後を追うように、麻奈と菜月も店の中へと入って行った。


「いらっしゃいませ~」


店内に入るなり、店員の勢いの良い元気な声がした。と同時に、店内を見渡してみると、専門店とだけに数多くの男性用の競泳水着や女性用の競泳水着をはじめ、数多くの競泳で使用するアイテムが無数に置かれていた。


「しっかし、競泳水着って、たくさん種類があるわね。どれを買おうか迷ってしまうくらいに」


「そうだね。確かに迷っちゃうよ」


店内に置かれている数多くの種類がある競泳水着を、菜月と麻奈はキョロキョロと店内を見渡す様に見ていた。


「そういや麻奈は、どんな競泳水着を買うか決めているの?」


「う~ん、そうだね、聖ちゃんが着ていたような感じの競泳水着にしようかなって思うの」


「まあ、今はほとんどあのようなタイプの競泳水着しか売ってないと思うわよ」


店内に置かれている競泳水着を見ながら菜月は、麻奈にどんな水着を買うのか聞いてみると、麻奈は聖が着ていたスパッツタイプの競泳水着を買おうとしていた。


麻奈と菜月が話をしながら歩いていると、突然、蘭の足がピタリと立ち止まった。


「そうねぇ~ 麻奈ちゃんと菜月ちゃんには、ここに置いてある競泳水着が良いわねぇ~」


そして、目の前にある競泳水着を見ながら、蘭はニヤッとした表情をした。


そんな蘭の表情を見た菜月は、どこかあまり良い思いはしなかった。


「あのっ、ここにある水着って、在庫処分って書いてあるんですけれども……」


「こっちの方が安くていいじぁないの! いきなり高い競泳水着を買うよりも、まずは着やすい競泳水着の方がきっといいわよ」


「着やすいって、まさか……」


「そう、私が着ている競泳水着と同じハイレグタイプの競泳水着よ!」


そこに置かれていた競泳水着は、売れ残った一世代程前に使用されていたハイレグタイプの競泳水着が無数、在庫処分用のカゴの中に入った状態で置かれていた。


そこに置かれている競泳水着を見るなり、蘭は早くハイレグタイプの競泳水着を着た麻奈と菜月を見てみたいと言うような顔をしていた。


「こんなの今時着ている人なんて、蘭さんぐらいですよ」


「なに恥ずかしがってんのよ。菜月ちゃんと麻奈ちゃんが着れば、私だけじゃなくなるわよ!」


カゴの中に入っているハイレグタイプの競泳水着を手に取ってみた菜月は、赤面な顔になった。


「迷うのであれば、私が良いのを選んであげようかしら?」


カゴの中に入っているハイレグタイプの競泳水着を驚きながら見ていた麻奈と菜月に蘭は、どの競泳水着が良いか選ぼうかと言った。


「わぁ、本当に! だったら私は蘭さんにお任せするわ」


麻奈は、喜んで蘭にこれから部活内で着る競泳水着を選んでもらうのをお願いした。


「で、菜月ちゃんはどうする?」


「…… あまり、変なのは選ばないでね……」


「分かってるわよ。心配しなくても変なのは選ばないわよ」


麻奈の返事を聞いた後、蘭は菜月の方を見た。そして、菜月はどうするのか聞いてみると、菜月はモジモジとしながら、蘭にこれから部活内で着る競泳水着を選んでもらうようお願いをした。


「そうねぇ。形はどれも同じような物だから、色で選ぶとしたら、コレとコレね!」


在庫処分用のカゴにたくさん入っている競泳水着の中から蘭が選んだ競泳水着は、赤と青のハイレグタイプの競泳水着であった。


「まさか、私達にこれを着ろとでも言うんですか!?」


「そうよ、ちなみに赤は麻奈ちゃん、青は菜月ちゃんね。更衣室はあそこにあるから、早く着替えて私に水着姿を見せてちょうだい」


「あっ、ありがとう。じぁあ着てくるね」


蘭から渡された競泳水着は、下半身部分が鋭い逆三角形の先端の様にきわどいハイレグタイプであり、それを見た菜月は本当にこんな水着を着なければいけないのか疑問に思った。


しかし、そう思っている間にも、赤いハイレグタイプの競泳水着を手にした麻奈は、更衣室の中へと何のためらいもなく入っていた。


その為、菜月も麻奈に合わせる為に、とりあえず更衣室の中へと入って、蘭に渡された競泳水着を着てみることにした。


そして蘭は、麻奈と菜月が着替えを行っている更衣室の前に立ちながら、着替えが終わるのを首を伸ばしながら待つ事にした。

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