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第六十四話

 「たくさん、いますね…」


 思わず顔をしかめてしまうほど、あちらが数で有利なはずなのに、不思議と押しつぶされない気がしていた。


 「よっと」


 撒いた闇の砲撃が、相手を捕縛、まるで網を張ったように撒き散り、ファミリー達の移動を制限させ。


 その上…


 「はあっ!!」


 ファミリー達の死角を道なりに、まるで導かれるかのように、レフィーユが飛び込んでサーベルを降り下ろす。


 「うわっ」


 視線が武器を自然に追うのは、まさに人間の防御本能だった。


 あえて大きく降り振り下ろされた武器は、ファミリー達に『痛み』を与え、個の二人は、多を圧倒していた。


 「固まれ陣形を作れ!!」


 あっという間に数人がやられて、ようやくファミリー達は三人で陣形を組んでいくと、いつもの戦略に余裕が出来たのだろうが、彼女にはさらに余裕があり。


 「ふっ」


 笑みを漏らすほどだったのが、単純に強がりとでも思ったのか、今度はうって変わってレフィーユと距離を積め始める。


 だが、この意味がわかるのは自分だけだった。


 言葉はない、ただ自然に隊列を変えて、ファミリー達の前に立つと両手で闇の帯を引っ張るような姿勢をとる。


 「う、うわああ!!」


 三人での陣形を取ったファミリー達は抱き合う形で、拘束が完成して締め付けられ、それを見守っていた、もう一つの陣形に向かって放り投げる。


 「この男は、何度、私の前に立ちはだかったと思っている?」


 「何なんだよ、あの二人は…。


 どうしようも出来ないじゃないか…」


 バラけて行動するワケもいかず、まとまって行動するワケもいかなくなったファミリー達は戸惑うばかりにだった。


 「どうやら陣形は、それしか習ってないようだな」


 レフィーユはゆっくりとファミリー達に歩み寄っていく、ファミリー達は一人の彼女に対し、明らかに後ずさる。


 こうなると視線は自然と二階に向いていた。


 「おいおい、こういう時だけオレを頼るなよ…」


 「ふっ、仲間じゃないのか?」


 「仲間…。


 オレだって、いつか、こういう時がやって来るかもしれないから、色んな事を教えたかったんだが…。


 こいつ等は聞く耳なんか持たなかったからな。


 二人陣形なんて、高等技術にもなる…。


 簡単な方向に、さらに数増やして、まとまっちまえば、魔法使い、お前の餌食だ…」 


 「そこで、お前の出番じゃないのか?」


 レフィーユは挑発でそういう事を言うが、ペインは見抜いているのか、


 「そういう問題じゃないだろう?


 所詮、二人だ、粘ればどっちが疲弊するくらいわからないほど、バカだと思うか?」


 そう言って、まるで動こうとしないペイン、彼の言い分は確かに正論だったが、どこか違和感があったが、ファミリーはそれを隙だと感じたのか、なおも自分に襲い掛かろうとするが。


 まずはレフィーユが武器を要して受け止め、自分が顔面に手刀を振る。


 ただダメージを与えるためじゃない。


 口と鼻を塞ぐため、闇がその男の呼吸を許さなかった。


 「…んんぐう!?」


 本能的に今までの行動をやめ、闇を取り払おうとする。


 この程度なら取り払う事は出来る、だが、その隙は致命的だった。


 「ふん」


 レフィーユの放つみね打ちが脳天に決まり、彼を意識を完全に遠のかせた。


 受け止めて、止めにいたるまで約5秒しかたたない間に倒す様は、さらにファミリー達の士気を下げる結果になっていたが、その時、二階のペインのいる別の辺りから声がした。


 「た、大変だ。


 ち、治安部が、治安部が来やがった!!」


 そのファミリーが慌てて入ってきたドアのカギを閉めた途端、大きく揺れる。


 「おいおい、警告もないのかよ…」


 ペインは、その光景を見ながら言うが、それには少し別の意味で共感出来ていた。


 「行くのか?」


 その様子に気付いた、彼女そう言う。


 「ええ、まあ、仕方ないですね」


 「まだ方法があるかも知れないぞ?」


 自分の法衣のフード部分の上から、手を沈ませて取り出したのはボロボロになった通信機だった。


 内容を聞かせていると、それは言うまでも無く、彼女にとって最悪の内容だったのだろう。


 だが、そんな事よりも気になったのがあったらしい。


 「ふっ、ミクモの通信機だな…」


 「前に踏み潰してしまいましたが、直すほどの時間はありましたからね。


 確かにここに立ち止まって良いのかも知れませんが…。


 多分、これが直ったのは…」


 「まだ、やるべき事があるとでも言いたいのか?」


 「私は、これ以上の犠牲者を出す気はありませんよ」


 「ミクモも良い先輩に持ったモノだな」


 通信機を耳から外し、レフィーユは自分に手渡そうとするのではなく、フードの中に手を入れて、自分の耳につけてくれた。


 そして、ぐるりと様子を伺うように、お互いの周りを一周して聞いてみた。


 「一人でやれます?」


 「ふっ、私を誰だと思っている? 


 私は時と場合によっては、ラスボスより強いというのを知らんのか?」


 「そういう便利設定、知りませんよ」


 ファミリー達は外から来る圧力で、ここには注意は向けてはいるのだろうが、構っていられない状態だったが…。


 彼女は自分を見て、優しく言った。


 「行って来い…」


 自分の向かうべき道は少し気が滅入っていた。


 しかし、自分の決断を促してくれたので、少し気が楽になった。


 パリンッ!!


 一気に二階まで飛び上がりそのまま窓ガラスをぶち破って出て行った。



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