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第四十六話

 そこにすかさず横転した車の周りにファミリーの数名が取り囲み、通信に激が入る。


 「レフィーユ(ヤツ)に構うな!!


 ボスが最優先だ!!」


 輸送車の扉は、あっという間に壊され、ミチコが焦りながら聞いて来た。


 「ちょ、ちょっと、約束はどうするのザマス?」


 「知るか、こっちはコレが大事なんだ!!」


 「レフィーユが死んじゃったら、意味がないじゃない!!」


 「うるさい、それがなんだ!!」


 ミチコは自分のしでかした事に顔が真っ青になった。


 もしかして、とんでもない事に加担したのではないのか、そんな心境だったが、ミチコには、ある算段が浮かんでいた。


 「そんな事より、連絡は取れたのか?」


 「まだ、取れないザマス…。


 一体、何をしてますの…」


 レフィーユがいなくなった状態で、自分の息子が功績を上げたらどうなるのか?


 頭の中にはそれで一杯になったミチコは、携帯ではなく、通信機で連絡し続けていたのは、幸いだった。


 「まったく、もっとマシに助けられないのか?」


 一方、ペインはファミリーに抱えられながら脱出を果たしていた。


 そのファミリーが刃物で拘束着を斬って来ようとしてきたが、それを遮る。


 「先に逃げるぞ…。


 あの女、避けやがった…」


 バンッ!!


 突然、破裂音がしたので、ペインの言葉は途中でかき消された。


 何の音だろうとファミリー達は、音のした方を見た。


 いち早く、事態に気付いたペインは、呆れるように答えた。


 「全く、どっちが悪者なんだよ…」


 エアバックをサーベルで切り裂いた音に、ファミリー達は逃げるように輸送車に駆け込み、扉を開けるとミチコとペインが目が合った。


 「おいおい、先客か…」


 ファミリーの一人が事情を説明すると、ペインはそのまま言った。


 「捨てろ」


 「でも、大切な人質だ」


 「どうせ、てめえの事しか考えてない馬鹿共だ。


 邪魔になるだけだ」


 「失礼な、子供の事を思ってやってますのよ」


 そのまま止まってるわけにも行かないので、車が発信する中、ペインは笑って言う。


 「まったく、お前等、協力なんて言ってるが、どうせ、どこかのタイミングで俺たちを捕まえる算段でもしてるんだろ?」


 「な、何を根拠に…」


 「狙いがバレバレなんだよ。


 残念だったな、まあ、子供の成長を感じたいのなら、次の機会にする事だな」


 レフィーユのいる位置よりある程度離れたところで車は止まり、ミチコ達は下ろされた。


 半ば睨んでくるモンスター達にペインは言った。


 「あと、お前の仕出かした事を良く考えるこったな…」


 そう言って、ようやく拘束着から手が自由になったペインは、ゆっくりと…。


 東方術で多節鞭を作り出していた。


 車が再発進する中、幹部がペインに聞いてきた。


 「いいのか、コレで俺たちに守る盾が無くなったぞ?」


 「別にかまわねえだろ。


 ちと、借りを返したかっただけだ」


 「借り?」


 「ああ、あそこでの食事係がさ。


 いろいろと面倒を掛けてくれてな」


 「だからってな…」


 「お前の言いたい事はわかるさ。


 だが、どうせ、ババアのやる事だ。


 指示は変えられえだろうし、俺たちはそこで子供達を人質にとればいい話だ」


 少し呆れられたが、窓を開けて調節するバックミラーからは、まだモンスター達が映っていた。


 「そこまで馬鹿じゃねえ事を祈りたいがな…」


 横転した車の上部と扉がまるでハッチのように開いて、そこからレフィーユの身体が出て来た時には、ペインの姿はもうなかった。


 「レフィーユ!!」


 突然、背後から猛スピードでもう一度の輸送車がやって彼女に叫んできた。


 「ガトウ、どこに行った!?」


 「この道を右だ!!


 配備の中だ、まだ間に合う!!」


 「危ない!!」


 次の瞬間、バイクがガトウの輸送車の前輪に挟み込むような形で走りこんできた。


 「うおっ!!」


 衝撃で車体が揺れ、ガトウが慌てて飛び出してバイクを運転していたファミリーを見るが、どうやら、足止めを狙っただけだったらしく、別の方向からやって来たファミリー車で逃走していった。


 「大丈夫か!?」


 「くそっ、車をやられた」


 助手席に乗っていたサイトが、バックでどかせようとしたが挟み込んだバイクが抜けない様子を見たガトウは、サイトに聞いて来た。


 「サイト、アレは大丈夫か?」


 「大丈夫、揺れただけや!!」


 「レフィーユ、中に入れ!!」


 「何?」


 「ヤツから、送りモンだ」


 言うのが早いか、助手席から出て行ったサイトが輸送車の後部の扉を開いていた。


 「これは…」


 「アラバに言われてな。


 少し大袈裟と思ったが…」


 「ふっ、アイツには誰にも敵わんさ」


 レフィーユと同じ事を感じただろうかガトウは笑みを浮かべて、白い手袋をつけ終わったレフィーユにインカムを差し出す。


 そして、一台のバイクがペインを追って行った。


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