第三十三話
「さて、一息入れようか?」
私はミクモに、そう言うと彼は戸惑っていた。
「で、でも、まだ全然…」
曖昧ながらだが、彼の言うその通りだろう。
「ふっ、不安なのはわかるが、所詮一日だからな。
あと2時間もすれば、日付も変わる。
この状況で大切なのは、後は健康管理だ」
実質、彼に教え込んだのは一手だけ。
私が見た限りでの、ロウファが得意とする攻撃方法をミクモに行い。
それをいかに反撃するのか、というモノだった。
「ミクモ、何度も言うようだが、長い武器を持った相手には、私のような剣を持つモノにとって迂闊には近づけない。
それ故にいかに距離を縮めるのかが課題になるというのは、わかってもらったかな?」
「は、はい、その飛び込んで来る事に気を付ける事。
それに戸惑わない事。
で、でも、付加能力を使って来たら?」
「ふっ、それは私が許可しないさ。
ロウファとて、評価を盾にされれば頷かずにいられんだろう」
するとミクモは友達がそんな風に言われたのが理由か黙ってしまった。
「…大切な友達なのだろう?
お前はアイツのために何かやらないといけないと思ったから、だから戦う事を選んだ。
冷酷に感じるかも知れないが、そこはどうかわかってほしい」
ミクモは頷くが、いい気分ではないだろう。
遠まわしに『実力差がある』と言われているのだから。
仮面をしていたからわからないだろうが、自分でも嫌な事を言っているなと思ったが、私は何度も手合わせしている内に気付いた事がある。
「どうやら、お前は自分の才能を知らんようだな」
「じ、自分の才能ですか、そんなのありませんよ…」
「ふっ、あるさ。
その才能をあの男は、どこかで感じたのだろうよ。
きっとあの男なら、お前を勝利へと導いてくれるだろう」
「あ、あの、あの人はいったい?」
ついミクモの質問に、じっと見つめてしまい。
呆れるように答えてしまった。
「ふっ、こういう場合、私はアイツを評価するしかないだろう。
大切なのはお前はどう思うかなのだがな?」
ミクモは考えながら答えた。
「す、凄いなって、思います」
「ほう何処が?」
「あ、あのボク、いつも隠れて走ってるんです。
それで初等部の見回りの先生に見つかりそうになったりして、止まったりするんですけど…。
でも、あの人が走って来た道は、誰にも見つからずに走り続ける事が出来るんです」
そう言って、ミクモはとある道を見つめていた。
そこはミクモが走って来た道だった。
「ふっ、2回でわかるのか?」
「な、なんていうか、走り込みって環境が大事なんです。
明かりとか人とか、ボクは見回りを見つける事でどこか安心するトコロがあったと思うけど。
でも、あの人が走って来た道は、明かりがあるのに誰もいない道を走ってて、そんな中を、どんな気持ちで走って来たんだろうなって思ったら…」
「ふっ、どうやら、ミクモ、お前は何かしらを感じれられたようだな?」
「レ、レフィーユさんは、気付いてたのですか?」
「まあな、アイツの行き着く答えは、いつも『孤独』だからな」
「こ、孤独…?」
「ワケは言えんがな。
アイツは強い孤独を味わった事があるのさ」
「強い、孤独…」
「そうだ、私が出会った人間の中で、アイツの苦しんだヤツを知らんほどの苦しい孤独だ。
だからこそ、孤独な人間を見つける能力がアイツには備わったのだろうな。
そして、ミクモ、アイツにはお前は自分が思っている以上に孤独な人間に見えたのだろう。
孤独を知っているから、強くあろうとする人間だというのがわかるのだ」
「そ、そんなボクは…みんなに追いつきたい一心で…強くなんて…」
「強くあろうとする姿だ。
ふっ、それがお前の才能でもある…」
ちょうど、十二時を回ったチャイムが鳴った。
もう一日が終わるのだとわかったので、解散する意味を込めていった。
「それが次の日にわかるだろう。
そして、私が仮面を付けているにもワケがある」
「ワケ?」
「レフィーユ・アルマフィという女は、ロウファにも期待はしているからだ…」




