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第二十六話

 「我々の邪魔をするのは、いい加減にしていただこう!!」


 学園に帰って来るなり、レフィーユの怒声が響くが、しかし、モンスター達、ミチコも黙っていない。


 「親が自分の子供を信頼して、何が悪いザマス!!


 いい加減にするのは、そちらの方じゃございません事!?」


 「その結果が、先ほどの結果だ!!」


 「でしたら、次に期待して欲しいザマスわ!!


 ロウファちゃんだけじゃない、今度は皆さまのお子様も活躍しますわ!!」


 ミチコは振り返って、その他、保護者一同、いや、モンスター達に同意を求める。


 それが何の号令だったのか騒がしくなって言った。


 「そうよ、今度はシンヤちゃんだって、やれるハズよ」


 「ネムも、きっとお宅のロウファちゃんの役にたてますわ」


 「いやですわ、奥様」


 子供を盾に社交辞令の飛び交うなか、レフィーユは…。


 バンッ!!


 思い切り机を叩いて言った。


 「下手すれば怪我ではすまない事だってある、思い上がるな!!」


 一喝され、保護者一同は怯むがまだこう答えるモノもいた。


 「私は昔、治安部でしたけど、その頃は、もう少し無茶な事もやらせていたわ」


 「そ、そうですわ、まるでレフィーユさん、あなたが大袈裟すぎるだけなのでは?」


 周囲がその保護者の意見に頷き「そうよ」と連呼が始まりだすが、レフィーユはそれに静かに答えた。


 「確かにわからなくもない。


 だがな、お前たちの時代にはスーパーペインはいたか?


 確かに時代が違うと言いたいのはわかる…」


 保護者を睨み付けるように見えるが、レフィーユは顔を曇らせて答える。


 「スーパーペインだけではない…。


 現在、この町には漆黒の魔道士だっている。


 ペインの部下であるファミリー達、その他、犯罪者。


 …現に指名手配犯である漆黒の魔道士に襲われ、いつでも倒せただろうに手加減されて見逃された。


 それが事がどういう事なのか、何故わからん…」


 ようやく終わった治安部室は、すでに他の部員を下がらせていたせいか自然と静かになった。


 コンコン…。


 そんな中を、ノックが鳴り響いてドアを開ける人物がいた。


 「すいません、自室で料理をしていましたら、包丁で手を切ってしまいました」

 

 「医務室に行ってほしいモノだな…おや?」


 するとレフィーユはわざとらしく自分の軽く切れた傷口を見て、切った方向から切れた方向を指先でなぞりながら言う。


 「逆さに切れている…。


 お前は包丁を逆さに握って、料理をするのか?」


 そして、レフィーユはその指を見ながらこうも言った。


 「ふっ、なるほど、その隠ぺい工作の過程で、料理がうまくなるワケか…」


 「出来なかったら、ごまかせませんからね」


 そういうとレフィーユは微笑んで、救急箱を取り出しながら言った。


 「すまない、手間をかけさせたな」


 「まあ、あんな事態になるのは予想は出来たとはいえ、モンスター達の動きを少し上手だったという事でしょうかね。


 確かに貴女は、学園にも警察にも口止めをしてました。


 ですが、いざ事件発生した途端に、警察から避難目的で情報を仕入れて来ましたからね。


 一般人を装おって行動なら警察もまず教えないといけませんから、警察としては迷ったのでしょうが…」


 「警察も市民の安全が義務だからな。


 そして、それを知ったお前は、出撃して今に至るという事か…。


 ふっ、認めたくはないが、少し侮りすぎたようだ」


 「まあ、問題はその後だった。


 とは、思いもよりませんでしたがね」


 「何か問題があったのか?」


 「さっきあのモンスター達の一団を見かけましてね」


 「ふっ、一団か…。


 何か言われたのか、別に気にする事はないだろう?」

 

 消毒液を取り出し、それを軽く『ブシュ』とさせて聞いてみた。


 「誰も見てないと思って、出入り口付近で子供に向かって説教ですよ。


 東方術って、説教にも使えるのですね?」


 そう言って、ミチコの東方術が『ムチ』だと教えていると、レフィーユは深いため息をついた。


 「反省の色もなし…か…」


 キンコーン…♪


 チャイムが鳴った。


 それは仕切りなおすように授業の開始を伝える予鈴、この後、10分後に授業は再開した。



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