表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/80

第十五話

 ロウファが強いだろうとされているのは、別に前の立ち回りを見たからではない。


 『魔法が使える』この時代、彼が秀でていると言われるのには、大きな理由があった。


 彼の東方術『十手』という簡単な武器に、付加能力である『衝撃波』その二つがあまりにも基本的だからだった。


 凡庸性に優れているというのは教本にも載りやすく、指導する人間にしても簡単に教え込め、自分の戦術を早い時期に叩き込める。


 そのおかげが彼、ロウファの自惚れる理由なのは言うまでも無いのだが…。


 完成された戦闘能力が相応の成績をたたき出す内は、彼がこの自惚れを自覚出来るのは難しいだろう。


 「おっと…」


 食堂の洗い場にて思わず収めようとしたスプーンを落としそうになるが、ようやく片付けが終わった。


 そこを出たのは深夜に差し掛かろうとしていた。


 「アラバ」


 後ろからレフィーユの声が聞こえてきたので振り向くと、どうやらちょうど彼女も帰りらしい。


 そして、やはり気になる事なので彼女に聞いてみた。


 「挑戦を受けるのですか?」


 「ふっ、おそらく今日中、明日には受けざるおえなくなるだろうからな。


 たとえ仕組まれているとしても、目星くらいは付ける必要があるだろう」


 「やはり気付いていましたか?」


 「ふっ、『負ければお前は、モンスター(わたし)たちの言う事を聞け』と言っている様なモノではないか。


 これほど滑稽な話はないが、私とて実戦に行動できない生徒を現場に出す気など毛頭ない…」


 そうは言うが難しい検索条件の中で、初等部の生徒を探しださなければならないのは間違いない。


 それならレフィーユと手合わせさせて、自信を無くしてしまえば良いのではないかという、自分達側の白鳳学園生徒達にも、そんな意見も出始めているが誰が燃え盛る油に水を注ぐだろう。


 「受けざる負えなくなりますよね…」


 そう言っている内に、自分の部屋に着いたのでカギをクルリと回していると、自分の表情が変わった。


 「どうした?」


 「カギが開いてまして…」


 「なんだと…」


 自分が魔道士だからだろうか、すぐさま彼女は警戒する。


 お互いに頷きあって、隙間を少し開けると電気も付いていた。そのおかげで誰かがいると言うのがわかった。


 さらにゆっくり中を覗き込むと…。


 「…セルフィ?」


 話し声が聞こえて来たのである。


 「まったく姉さんといい、どうして…答えなさいよ」


 誰かと話しているのだろうかとさらに覗き込もうとするが、セルフィのいるであろう位置には、彼女の東方術であるハルバートの柄が見えたからので、それがさらに警戒を強める結果になったのだが…。


 ようやく異変に気付いたのは、彼女の立ち位置から話し声が聞こえるのなら、相手いる位置には自分のPCがあったからだからだろう。


 「ふん、私なんか、いぃぃぃったいい、何なのさぁぁ」


 確信に至れたのは、ろれつの回らない声と机の上のある飲み物だった。


 「あぅ、何してんのよぉ。


 アタシぁ、アンタに言いたい事があんのぉ。


 こっちに、座んなさい!!」


 そんな酔っ払ったセルフィに、見つかってしまった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ