第十二話
「グズグズすんなや!?」
ロウファにとって、突然、大声で叫ばれたかのようにびっくりする中、その集団はロウファに向かってきていた。
だが、幸い、いち早くイワトの投げた戦斧が間に割り込むように、地面にめり込んだので敵の進行を妨げ。
「!?」
すかさずレフィーユ、レオナがロウファの前で身構えた。
「レフィーユ、コイツらは?」
「スーパーペインの部下だ。
徒党を組んで行動しているというのを聞いたことがあるだろう?
消耗戦を仕掛けにやってきたのだろう」
「消耗戦、何のために?」
「ふっ、決まっているだろう、スーパーペインの移送を確実に妨害するためだ」
レオナは舌打ちをするのと、同時だった。
「ぐおっ!!」
ちょうどレフィーユ達と後ろの辺りで、戦斧を拾った体勢のイワトに別の集団が襲いかかり、イワトは一人は何とか凌いだモノのさらにやって来た、もう一人の攻撃に対しては何とか抱きついていた。
「踏ん張れ、ゲンゾウ!!」
鉄棒を握ったレオナが自らの付加能力『軽減』で、敵の体重を軽減させて集団の位置に放り投げるように、イワトから引き剥がすが、それに驚くのはレオナだった。
「なんだと?」
「ふっ、三人陣形…。やはり敵もこう来たか…」
「どういう事だ、どうして俺らと同じような陣形を?」
レフィーユは、スーパーペインの過去の経歴である、元治安部のリーダーだというのを説明すると、レオナは何となく納得したのだろう。
「どおりで元治安部仕込みの治安部陣形か、レフィーユ、打開策は?」
「ボクたちに任せてください!!
ボク達は訓練でも三人陣形を行った事があります。ボク達で兵力差を埋めます!!」
ロウファは意気揚々としていたが、
「駄目だよ、ロウファ、駄目だよ」
ミクモは気が動転しながら何とか言葉にして、ロウファを止めていた。
「いつもボクに負けているお前にはわからないだろうけどな。ボク達はこの時のために訓練をしたんだぞ。
日ごろの成果を、剣術を習った先生にだって『実践にも通用する』なんて言われてるんだ。
勇気が自体を克服するんだ。自信がないなら、隠れてろよ」
『なあ、みんな、やろう!!』
そう言って、ロウファは初等部の方に振り向くが、今度は驚く事になる。
「み、みんな…?」
「さっきから、みんな、こんな調子なんだよ…」
ミクモも少し声は震えていたが、他はもっと酷く震えていた。
いや、言い方が悪い。
ホントに命を奪おうとしてやってきている相手に、純粋に恐怖を感じているのだから。
セルフィはそこの防御要員として、加わっていたのを見てレフィーユは言う。
「…ミクモの言うとおりだ。
お前達は他の連中を誘導させろ、退路は私が切り開く…」
「ですが、ボクはまだ動けます!!
このまま隊列に加わって…」
「言うとおりにしろ!!」
つい声を荒げ、敵味方の周囲の注目を集める中、レフィーユは静かに答えた。
「戦えない人間を放っておくのが、お前の治安部としての在り方か?
避難経路確保も、大事な仕事ではないのか…」
そう言って、ロウファを下がらせようとした。
ミクモも『行こう』と促したが、まったくロウファは動こうとしなかった。
さらに…。
「ボ、ボクは…。
ボクはボクはボクは、戦えるんだっ!?」
彼の東方術である『十手』を作り出し、敵の集団の中に飛び込んでいった。
「やああっ!!」
彼の付加能力の『衝撃波』が、相手の出鼻をくじき、文字通り習ったような戦法で、十手で相手を叩き伏せて一人を倒した。
「やりやがったな!!」
すぐさま陣形をとっていた相手がロウファに怒声を浴びせ飛び掛ってきた。
だが、この時、多分だがロウファも動けて、相手に対してすぐさま間合いをとれると思ったのだろう。
しかし…。
ガクガクガク…。
足が物凄く、震えていた。
「危ない!!」
レフィーユも陣形を崩しながらも駆け寄る。しかし、さらに早い人影がそこで叫んでいた。
「ミクモ!!」
防御本能独特の火花が、そこで飛び散った。そして、地面には飛び散った火花と共に、飛び散った血が多くアスファルトを目立たせた。
「くそが!!」
レオナが何とか、レフィーユにようやく追いつき。ロウファを睨みつけたが、レフィーユは冷静に言った。
「…レオナ、二人を安全なところ、多少強引でも構わん、イワトと一緒に二人を頼む」
防御本能の反応に遅れたミクモは蹲っていたが、まだ、致命傷というワケじゃなかったのがレオナは見て取れた。
でも早めに行動した方が良いと判断したのか、ゲンゾウを呼びながらレフィーユに聞いた。
「レフィーユ、アンタは?」
「私は遊撃に移り、3対3の体勢を、4対3の有利で敵陣を壊す。
それに、ヤツが来る可能性がある」
『ヤツ』という表現でレオナは何が来るのか、察したのだろう。
「わかった、とっとと安全な場所に行ってくる。
気をつけろ…。
アンタが傷つくと、今度はヤツが哀しむからな」
そう言うとみんなが上を見ていた事に気が付いたレフィーユは呟いた。
「ヤツ…か…」
漆黒の法衣を被ったヤツがそこに現れていた。




