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第十一話


 「アッラバさーん!!」


 すると突然、そんな素っ頓狂な声で自分を呼ぶ声がした。


 「何?」


 先に気付いたセルフィがその声に振り向くのに遅れてついて行くと、手をブンブンと振っている怪しげな中華系の男がいた。


 「薬品店も兼ねている、中華料理店の店主だ」


 「名前は『ヨウ』、気軽に呼んでYO。


 アラバさん、聞いてYO、また私のミィが逃げたYO」


 「あの()ですか、確かここに来て間もありませんでしたね。


 それは確かに心配でしょう」 


 「そうYO、私、彼女、愛してるYO。


 でも伝わらない、探してほしいYO~」


 哀しそうにヨウは目頭を押さえていたので、コレにはロウファが意気揚々として言う。


 「レフィーユさん、事件の発生ですね!?


 おじさん、ボク達にその子の特徴を教えてください!!


 ボク達が探して見せます!!」


 思わずヨウはキョトンとしたのを、レフィーユは笑いながらロウファに言った。


 「待てロウファ、お前は少し勘違いをしているようだ」


 彼女とて、このヨウと面識があったらしいが、彼女の足元に擦り寄って来た猫を抱え上げて言った。


 「ヨウの探しているのは、この気まぐれモノの事さ…」


 それに答えるように猫のミィは『ニャ~』と答え、喜ぶヨウを尻目に当然、不機嫌になるのはロウファだった。


 「ボク達は街の治安を守るための組織です。


 そんな人騒がせな事で使役しないでください!!」


 思わずヨウと目が合うので、頭を下げると軽く笑顔で頷いてくれたので、少しホッとしていた。


 「じゃあ、キミ、治安守るなら、世間話も禁止と言いたいのかYO~。


 これ『治安維持』に、一番大事YO?」


 軽くあしらい始めるので、レフィーユもそれに賛同する。


 「ふっ、確かに世間話、挨拶の有効性は治安維持に高い効果をもたらせているのは有名な話だな」


 「そうYO、警察では出来ない治安維持もするの治安部の仕事YO~。


 アラバさん、この点、レフィーユより凄いYO。


 ねっ、アラバさん!!」


 そう言って、自分に同意を求めるが…。


 「私は治安部ではありませんよ?」


 「おう、そうだったYO」


 ヨウは大袈裟に笑い、撫でて欲しいと猫を差し出してきた。


 するとセルフィが何かに気付いたように呟いた。


 「だからこの人を、パトロールに同行させたかったわけね…」


 『にゃ~』と猫を撫でていると、さらに人がやって来た今度はレフィーユに様があったらしい。


 「あのAB放送のモノですが、本日、初等部とのパトロールをするとありましたが、取材をしてもよろしいでしょうか?」


 アナウンサーらしい服装の男が、レフィーユに話しかけていた。


 後ろの方で、機材を抱えた3人の男女がこちらを見たいた。


 「ほう、私は別に構わん…。


 だが、この子たちはどうか…」


 ロウファはしばらく黙ったが、はっきりと答えた。


 「別に僕たちは、問題ありません!!」


 その解答に何かしらの違和感を感じてならなかったが、レフィーユは頷いたので、アナウンサーは承認ととったのだろう。


 「では、準備いたしますので、子供達は…」


 そして、ロウファ達に近づこうとした時、レフィーユは視線を細めて呼び止めた。


 「ちょっと待て…」


 「はい…?」


 「証明証を見せてもらえないだろうか?」 


 「ああ、申し訳ありません…。


 撮影の際は、外しておくのが決まりでして…」


 レフィーユは自分に目配せをして、セルフィにも目配せをした。


 ヨウを後ろに下げさせたのを頷きながら、そのスタッフ達を見渡した。


 「ふっ、それは変だな、なら、どうして全員がスタッフである証明書を外しているのだろうな?


 これも『決まり』だとでも言うのか?」


 「レフィーユさん、どういう事でしょうか!!


 ボク達は全然、問題ありません!!」


 ロウファは前に出たが、セルフィがすぐさま引っ張ったので尻餅をついた。


 「まったく、どうして私の周りには、こんな輩ばかり集まるのだろうな…」


 その様を見たのか、ため息をつきながら、その台詞の最中、刀がレフィーユの向かっていた。


 「っ!?」


 『死ねや』の語尾の辺りまで言った勢いのまま、その男は刀でレフィーユのけさ切りにしようとしたのだろうが、彼の表情は驚いていた。


 彼は自らの東方術で作り上げた刀を失っていたからだ。


 「はあっ!!」


 掛け声と共に、男の顔面に刀の柄が当たり、思わずのけぞるが、それを見るとレフィーユが白羽取りをしたまま。


 彼の武器を放り投げていた。


 一体、何が起きたのか?


 まだ周囲には、そんな空気すら漂っていた。


 「ヨウさん!!」


 いち早く行動できた自分は、誰かが作り上げたのであろう西方術の氷塊を猫を抱きかかえたままのヨウを伏せさせて避けていた。


 「アラバ、大丈夫か!?」


 解答しようとしたが、それは出来なかった。


 「今だ、掛かれ!!」


 そんな声に注意を引かれてしまったからだ。


 見るとスーパーペインの育て上げた部下達が、こちらに向かって来るのが見えた。

 

 「アラバ、お前は彼を安全なトコロに!!


 セルフィ、イワト、ガトウ、立て直すぞ!?」


 ようやく、この一声で何が起きたのか周りにもわかった。


 「えっ、えっ…?」


 そして、まだ、事態を飲み込めてない、ある人物は、明らかに『浮いていた』。

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