「落ちていた小さなものが、突然世界を変え始めた日」
お題に沿って即興で小説を書くものです。昔やっていたのを思い出して久しぶりに筆を取りました。
AIにお題を出してもらっています。
即興小説 制限時間:45分
あるところに鳥がいた。鳥は飛び、食べ、飛び、フンをした。
フンは乾いた地面に張り付いて、焼けつく日差しはそれをちりにしてチリチリにした。白いフンは黄ばんで縮んで、砂と変わらない姿になった。
乾いた地面には死が横たわっていた。鳥は高く速く飛ぶためにそれから逃れられたが、地を這う生き物は何者もそれからは逃れられなかった。
もしも堕ちれば、鳥もまた例外ではなかった。だから、鳥はそこにフンだけを残して過ぎ去る。
命はそこには生えなかった。雨は死を過ぎ去り、留めるものなく命の海へ大地を通り過ぎて逃げ流れた。
しばらくすると、もう一度鳥が来た。姿は同じだが同じ鳥かはわからなかった。鳥はみんな似たような姿をしているから、誰がどれなのかは誰も知らないのだった。
死の大地は生の搾りかすであるフンがたまるにはうってつけの場所だった。空を飛び過ぎる鳥たちのいくつかは、ここでフンを落とすことにしている。
旅する鳥は豊かな大地で腹を満たす。次の場所でたくさんの果実を口にするためには、腹の中をきれいにしておかなくてはならない。
そして鳥は、飛び立って消化が進んだ頃に、この大地に辿り着く。自然とこの場所にはフンが溜まるのであった。
風と太陽と雨がフンを吹き飛ばし、焼き固め、粉々にして流した。だからこの地に土は生まれなかったので、鳥はフンをし続けた。
繰り返し繰り返し、出しては流された。しかしそれも続くとちりでもカスでも山となるらしい。いつか大地はまだらで汚らしい姿になった。
ところでこの土地には年に数回雨が降る。雨は土に染み込んで、少しだけ風が巻き上げる砂を留めおく。砂となったフンも、雨の降る季節には少しだけ吹き飛ばされずに済む。だからと言って大地を癒すには、まだ足らない。せいぜい熱と風を遮るのみの、小さな癒しであった。
だが、この季節、その時は違った。積もり積もったフンのじゅくじゅくしたところに、雫の糸が絡まった。
枯れた大地は、ようやく水を繋ぎ止めたのである。
死の大地には沼地が生まれた。死の大地にもわずかながら小さく小さく蠢いていた細菌や虫の数々はこれ幸いと潜り込み、生のかけらを貪った。フンはフンを呼び、その腐敗による悪臭と発熱で、もうもうと腐った湯気がたちのぼって大地を埋め尽くした。あまりに不潔、さながら地獄。太陽が熱線を浴びせかけ、より熱のこもったそれは真に凄惨な有様であった。
虫は互いを食い合い、静かなる死の大地は、これによって積極的に殺す沼へと変化した。
食い散らかされた細菌や虫の死体は、砂つぶよりもっと細かくちぎれて、食われて、化学物質になった。
鳥がフンをした。また来た。虫たちは集まる。フンは生の搾りかすだが、消化されなかったタネ、草のかけら、果実のかすなども砂の上では乾いて滅びるものの、沼の中では比較的新鮮さを保つ。
中でもタネのいくつかは、なんと芽を出した。ひょろりと伸びた、白い、細い、糸くずのような芽はすぐさま太陽の熱光線に焼かれる。発芽したそばから、それは虫の新しい餌になった。虫の死体もまた、新芽の栄養になった。小さな循環が生まれる。沼は相変わらずフンの水気で湿気ていた。
泥の中は育つには暑すぎるものの、栄養と水には事足りたのだった。
そして季節は巡り、雨が降った。何日も続く、激しいスコールだった。
草の芽は、耐えた。雨の重さに、泥の暑さに、溢れる水に、蠢く虫に、耐えて、耐えて、耐えた。
乾いた風。暑い太陽。もう空は暗くなかった。
芽は、一斉にその身を伸ばした。
沼地は、草原になった。
そのうち、木も生えた。
鳥はここに集まり、留まるようになった。
これがこの世界の始まりだった。
鳥は食べた。きのみを食べた。そして彼らは種を運んだ。
鳥は森を運んだのである。




