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第5話 「隣町からの挑戦状」

『伊瀬ちゃんをアイセ!』

第5話 「隣町からの挑戦状」

三重県アイドルフェスティバル、ついに開幕の日。会場は伊勢神宮外宮近くの特設ステージ。初夏の陽射しが照りつけ、観客席は地元住民と観光客で埋まっていた。Aブロック1回戦、おかげ☆ガールズの対戦相手は隣町・度会町の棚橋高校「ぐりーんティー♪」。お茶をテーマにした爽やか系少数精鋭グループだ。控え室で、舞理は巫女風の新衣装を整えながら深呼吸を繰り返す。「緊張する……でも、絶対勝つよ! 伊勢ちゃん、がんばるよ!」双実は腕を回して体をほぐし、クールに言う。「まぁ、やるなら本気でね。負ける気はないわ」深園は赤福を一つ頬張り、穏やかに微笑む。「ふわっとね……みんなで歌えば、きっと伝わるよ」ステージ袖から相手チームの姿が見えた。リーダーの大野木はショートカットで凛とした雰囲気の少女。緑を基調とした衣装が、お茶畑を思わせる。「よろしくね、岩渕高校さん。私たち、度会のお茶を全国に広めたいの」大野木の真っ直ぐな瞳に、舞理も負けじと笑顔を返す。「こっちこそ! 伊勢の魅力を届けに来たよ!」ライブバトルは交互パフォーマンス方式。観客投票で勝敗が決まる。先攻は「ぐりーんティー♪」。軽快なJ-POPに和風の笛の音を織り交ぜた楽曲。お茶摘みダンスがキレよく揃い、大野木の透き通ったボーカルが会場を魅了する。「度会の緑 香り高く~ 心を癒す 一服の茶~」観客から大きな拍手。序盤は完全に相手のペースだ。おかげ☆ガールズの3人はステージ袖で固唾を飲む。「すごい……揃ってるし、声も綺麗……」舞理が呟くと、双実が小さく舌打ち。「負けてられないわ」いよいよおかげ☆ガールズのターン。イントロは和太鼓の重厚な一打。舞理がセンターで巫女袖を翻す。「伊勢神宮 朝の光~ おかげ横丁 笑顔の輪~」「伊勢の風に乗って」アレンジ版からスタート。舞理の明るい歌声が会場を包み、双実のキレのあるダンスが観客の視線を奪う。深園の高音ハーモニーが神宮の空気を思わせる。続けて新曲「夫婦岩の約束」。「夫婦岩のように 離れていても繋がってる~」双実の即興ラップパートが炸裂。「波のように揺れても 絆は切れないよ

伊勢から度会へ 隣町だって仲間さ!」会場がどよめく。観客が手拍子を始め、子供たちが飛び跳ねる。「ぐりーんティー♪」のメンバーも、ステージ袖で驚いた顔で見つめている。交互の2巡目。「ぐりーんティー♪」はさらにレベルアップ。お茶を淹れる所作を取り入れた優雅なダンスと、爽やかなコーラスで攻めてくる。しかし、おかげ☆ガールズは負けない。ラストは3人で手を繋ぎ、観客に向かって歌う。「故郷を輝かせるのは 私たち!」巫女風の振り付けで大きくジャンプ。和太鼓のフィナーレが響き渡る。会場は割れんばかりの歓声。投票タイム。観客がスマホで投票し、結果がスクリーンに映し出される。――おかげ☆ガールズ、僅差で勝利!ステージ上で両チームが握手。大野木が少し悔しそうに、でも笑顔で言う。「負けたけど……すごく良かった。伊勢の伝統、かっこよかったよ」舞理が目を輝かせる。「ありがとう! ぐりーんティー♪のお茶ダンスも、めっちゃ爽やかで癒された!」双実が珍しく素直に褒める。「ダンスの揃い方、勉強になったわ」深園が赤福を差し出す。「ふわっとね……これ、食べて元気出して」大野木たちも笑って受け取る。「次は観客として応援するね!」ライブ後、会場はまだ興奮冷めやらぬ様子。SNSには両チームの写真が溢れ、「伊勢vs度会のバトル最高だった!」という投稿が広がる。控え室に戻った3人は、疲れ果てて床に座り込む。「勝った……勝ったよー!」舞理が飛び跳ねて喜ぶ。双実がクールに笑い、深園が優しく抱きつく。「これで2回戦進出だね。次は松阪の殿町高校……もっと強くなるよ」外では伊勢神宮の森が風に揺れている。隣町とのプライドをかけた戦いは、少女たちに新たな友情と自信を与えた。フェスティバルはまだ始まったばかり。地域を輝かせる夢が、一歩前進した。

(第5話 終わり)

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