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村長

 建物は村長の住居だった。

 こじんまりとした木造の建物で、大きさはアーリエの家と大差ない。

 アーリエがドアをノックして、「すいませ~ん」と呼ばわると、ちょうど在宅していたようで、本人がドアを開いた。村長は背の低い、腰が少し曲がった老人で、アーリエと似たような色の長袖の上着、七分丈のズボンを履いている。

「おやおや、アナタでしたか。どうなされましたかね?」

 アーリエは玄関口で、少しだけ搔い摘んだ事情を話した。村長はアーリエの話を聞き、後ろにいた俺を胡乱気(うろんげ)に見た。

「……とりあえず、中へお入りなさい」

 村長が家の中へと招き入れた。

 家の中の雰囲気は、アーリエの家とそんなに変わらない。真ん中辺りにあるテーブルの側の椅子に、3人で向かい合って座った。

 それからアーリエが、さっきより詳しい事情を話し始める。話を聞きながらも村長は、俺をジロジロと眺める視線を止めない。俺は村長と目を合わせられず、テーブルの表面をただジッと見詰めていた。

「……事情はわかりました。村の者達にこの人の事について、なにか知らないかを尋ねてみましょう。たぶん知っている者は、おらんと思われますが」

 『そりゃそうだろうな』と、心の中で呟いた。

 話が終わったので3人で表へ出て、広場にいた御婦人方に村長が声を掛け、俺の事を紹介し、なにか知っている事はないかと尋ねる。

 当たり前だがみんな、「知らない」と答えた。一応、家族や他の者にも聞いてはみるが、「知っている者はいないでしょう」と、村長と同じような事を言った。

 それから御婦人方や近くで遊んでいた子供たち、そして村長に俺の容姿や格好についていじられる。服の生地も無遠慮に触られまくった。スニーカーなども脱がされ、丹念に探られたり、臭いを嗅がれたりなどもした。

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