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翌日

 それから一日経った。

 翌日は彼女の手伝いをしながら過ごしていた。

 彼女は夜明けから起き出すと、朝食の準備や家畜の世話やらなどで、忙しく立ち働いてる。俺は彼女が働いてる後ろを、ウロウロと付いて回りながら、なにか手伝えることはないかと聞いて回っていた。特に手伝える事などないようで、なにかを代わりに取ったりだとか、そんな事ばかりしていた。近くの小川へ行き、桶への水の汲み方なども教えてもらったが、引きこもりだった俺の体力と筋力では、フラフラとし過ぎて、かなりみっともない格好で水を運ぶことになった。


 昼、アーリエは薬研でなにかの葉っぱを磨り潰していた。それは便秘によく効く葉っぱらしく、近くの村の人に頼まれたので、その為の薬を作っている最中らしい。アーリエはそういう知識が豊富らしく、よくそんな頼み事をされるのだとか。ちなみに今書いた近くの村とは(アーリエと初めて会ったときに、そこに行けばいいと言った例の村)、普通の人間達が暮らしている村であり、エルフ族なのはアーリエただ一人だと言う。アーリエがエルフなのかどうかは、ちゃんと本人に尋ねて「はい」と言ったので合っているはずだ。

 しかしアーリエの顔は、よくよく見ても整っている。鼻が少し高めで、目元は優しげ。口は小さめで、頬や顎のラインもスッキリしている。パーツ同士も美しく調和していた。年齢は聞いてはいないが、16、17歳ぐらいに見える。


 話は変わるが、こちらの世界に来てから、一番困った事と言えば食事だ。

 量は少ないし、俺の味覚では味も良いとは言えない。アーリエが初日の夕方に出してくれたのは、お饅頭のような型の、でかくて黒いパン(直径30cmぐらいで、厚さは5cmぐらい)を半分(もう半分はアーリエの分だった)、薄い塩味のよくわからない野菜切れが入ったスープだった。パンは固くて酸味があるが、慣れればそれなりに美味しく思えるかもしれない。

 次の日の朝は、昨日と同じパンと、家畜である山羊の乳が出た。なんの加工もされてない山羊の乳はかなり生臭く独特な味がするが、なんとか残さず飲み干した。


 そんな一日を送り早くも元の世界に戻りたくなってきていたのだが、それでもアーリエと一緒にいるのはなんだか楽しい。特になにかあった訳でもなくただ一緒にいるだけなのだが、同じ空間で同じ空気を吸っていると思うだけで、心が浮ついてくる。


 夕方になり日も暮れると、俺はこの家の屋根裏にある、藁を沢山入れた籠のようなベッドで眠り、アーリエは一階の隅っこに藁を敷いて眠っていた(本来の逆にするべきなんだろうが、勧められるままそうなっていた)。


 俺はアーリエにも、色々と素性を尋ねてみた。アーリエはこことはだいぶ離れた場所にあるエルフの村の出身で、この家には近くの村の人達から許可を貰い、一年程前から住んでいるらしい

 

 そういえば書いていなかったが、アーリエは俺の格好をまじまじと調べていた。眼鏡やTシャツ、デニムの長ズボンにスニーカー。こちらの世界にない技術や素材で作られた物が多いので、当たり前だが確かに珍しいだろう。アーリエはひとつひとつ手に取りながら(服を脱いだりすると俺が裸になるので、俺が着たまま生地を摘まんだりしながらだが)、感嘆の声を上げながら色々と考え込んでいた。

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