12/14
記憶
「……朧気ではありますが、アナタの『記憶』が観えました」
ファディールちゃんは杖に縋り、呼吸が落ち着くのを待ってからそう言った。
俺の額には、爪が食い込んでいた箇所に少し血が滲んでいる。
「アナタはどうやら、『この世界の者』ではないように思われます」
アーリエが息を飲む。俺も心の中で「すげぇ!」と、思った。
「ワタシが観れたのは、この世界とはまったく違う、別の世界の風景でした。アナタはこの世界へ、どうやってかはわかりませんが、流れ着いてきてしまった様なのです」
そこまでバレてしまうとは……。でも、すべての記憶が読めた訳ではない様なので、そこはなんとなく濁しておこう。
「これからどうするかは、アナタが決めることなのですが、ワタシは『王都』へ行って、『選定の儀』に臨まれることをお奨めいたします」
……なんだそれは?




