表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/39

チーム作り

 「何を驚いてるの。経優と二人でなら提携ていけいを結んでもやっていけそうだと、それだけよ。」


 彼女は ゆうに3人前の朝ごはんを食べきり舌鼓したづつみを打った後にルビに言った。


 「サファ、体調はいいのか?信じられない。これは本当に現実なのか?」



 そう言ったルビの目には大粒の涙が浮かんでいた。



 「…治った、と思う。ここ二日 眠気に襲われることがなくなったみたい。」


 「そうか。よかったな。本当によかった。」


 照れくさいのか目を逸らして答えたサファを ルビは少しうつむき 頷きながら本心を口にした。


 

 嬉しさのあまり 泣きださないように堪えているのがわかった。


 本当は 心の中では咽び泣く くらいに感極まっているのは分かっていた。



 「…だが、経優とだけ 提携ていけいを結ぶのは…難しいな。」



 先ほどまでの感激とは一変して、ルビはうなるように そういった。



 「えー、兄さまも入ればそれでいいんじゃないの?決まりとはいえ、ちょっと厳しすぎるわ。」


 「―すまないが、今俺が結んでいる提携を切ることは出来ん。俺には コランダムのおさとしての立場もある。」



 ルビは、とても悔しそうにしてサファのお願いを拒んだ


 

 …ルビ、僕には提携さっぱりで、話についていけないんだけど…これ、なんの話?


 ( 提携か、そうだな。行動を共にし、互いに分かち合って補い合う関係だな。


 うーん、つまりチームメイトになろうってことか。


 ( そうだな。様々な恵みを共有する仲になろうという話だな。)



 「じゃあさ、僕たち二人をルビのところに入れてもらうのはどう?そうすれば問題ないんじゃないかな。」


 「…それは遠慮したいわね。兄さんの提携相手はフロウとアンドルじゃない?それはちょっと辛いわ。」



 僕の提案に 彼女は目を逸らして言った。



 「アンドルも、フロウも、サファが気にしないのであれば 暖かく迎えてくれる。お前がそうしたなら 俺の方から言っておくが。」


 「アンドルはともかく、フロウはどうしても苦手なのよね。私は経優とルビじゃないと結びたくない。。」



 彼女は 苦い顔で 首を振りながら言った。



 「…せっかくのお前の意欲を無駄にしたくない。うーむどうしたものか…」



 ルビが、もどかしそうに頭を抱えていた ちょうどその時、僕の目は 大広間へ入ってくる人影を捉えた。



 「あれ、先客かよ。修練上にいないから、変だと思ってたぜ。」


 「し、失礼しました。スピネル、あ、あいさつ。忘れてるよ。」


 なんか見覚えのある子供たちだな。


 やんちゃな キレイな茶髪の少年に、ひかえめな深緑の髪をした少年。


 ( やんちゃはスピネル、ひかえめな方はマラカイトだ)


 ああ、そうだった。


 「おはよう、ルビの兄ちゃん。あ、自称ポラリスの使徒様もいるじゃねぇか。」


 「お、おはようございます。ルビに、経優さん。」 


 あいさつをすると彼らは少し離れたところに座った。


 「あ、あれ。そ、そちらにいるのは、サファ様ですか?は、初めましてですね。」


 マラカイトがサファに気づいて、あいさつをした。


 サファはというと、ルビの背中に隠れるようにして彼らを覗いていた。


 「…」


 「サファ…あいさつできるか。」


 しばらく、ルビの背で もぞもぞした後、彼女は前に出て自己紹介をした。


 「…サファよ。よろしく。」


 「よ、よろしくお願いします。ま、マラカイト•ヘルゼナ•コランダムです。」


 「お前、かしこまってるんじゃねぇよ。最初が肝心だぜ。あいさつってのはよ。」



 サファとマラカイトが、にじみ寄ろうとしてるのを遮ってスピネルは間に入った。


 「みとけ、マアラ。こういうのは初めで わからせるもんだ。」



 スピネルは、マラカイトにそういうと サファに自己紹介をした。


 「よお、眠り姫様。ようやく お目覚めですか。俺は スピネル• マグネ•コランダムだ。馴れ合いはしねえ主義だ。よ、ろ、し、く。」



 わー。めんどくさい子だなー。サファ、大丈夫かな。


 サファを見ると顔色ひとつかえていない。


 むしろ 彼を無視をするように部屋を見まわしたあとでこう言ったのだった。



 「あれー、どっかで クソガキがなんか言ってたけど、見当たらないわねー。あれー、チビすぎて見当たらないわー。」



 サファの予想外なあおりに一瞬 戸惑ったが、それと同様に彼女の気の強さに あんどした。


 (…ッ。くっ。サファ…)


 この感じだと、お兄さんの方は もっと複雑そうだ。



 「くっくそ!このやろう!」


 

 スピネル少年は、赤褐色の肌の上からでも分かるぐらい赤面して、彼女に殴りかかった。


 

 「鈍い!」



 サファは、蝶のように軽やかに こぶしを避けて後ろ蹴りを入れた。


 「ぐっ!」



 彼の みぞおちにクリーンヒットだった。


 「………くそっ!」



 スピネルはうずくまり。床を両手で叩きまくった。



 「ざまあみなさい。これに懲りたら女の子には優しくしなさい。」



 サファは そっぽを向いて腕を組み、勝ち誇るように言い放った。


 

 「…逆にわからされた訳か、かわいそうに少年よ。立てる?」



 相当、当たりどころが悪かったらしく。苦しそうだったので僕は 手を差し伸べた。



 「くそっ立てるわけ、ねーだろ!ちくしょう。」


 

 スピネルは、ダンゴムシのように身を丸めてしまった。



 「経優、言いすぎだ。大丈夫か。」



 ルビは 僕に注意して、彼を気遣った。


 「…兄弟揃って強すぎるだろ…」


 彼はそういうと、立ち上がりサファに頭を下げた。


 「悪かった。お前、すげー強いんだな。―覚えてろよ。」


 

 スピネル少年は 最後、場違いな事を言ったような気がしたが、負けを認めたようだ。



 「分かればいいのよ。私に勝つには 三年は早いわよ。」


 

 こうして、奇妙なケンカは幕を閉じたのだった…



 「…サファ、スピネル、お前たち、ケンカして謝るのは偉い、が、相手を愚弄ぐろうするのは悪いことだ。」


 ルビは二人の肩を掴んでいった。


 「サファ、4つも上だからよかったものの、そのうちやり返されるぞ。それにスピネル、初見で相手を測るな、お前の悪いくせだ よく見極めろ。」

 


 …最初の説教は分かるけど、後のやつはわからないぞ。


 ( サファは いずれ男のスピネルに力で負ける。スピネルは すぐに手を出す、一人前の戦士が戦うのは 真に相手の力量を測れてからだ。)


 うーん、凄い教育の仕方だね。


 

 「ふん。兄さんは 妹が危険な目にあいそうだったのにみてただけじゃないの。」


 「サファ、お前は強い。俺はお前を一人前の戦士として認めている。もう少し、優しくしてやってくれないか。」



 彼女は 深いため息をついた後に呟いた。



 「兄さんは 私のこと好きじゃないのかな。」



 それはそれは 小さい声で言ったのだった。


 

 「そんなこと、無いと思うよ。ルビなりに精一杯サファを労ってるんだと、僕は思う。」


 僕は たまらず彼女に言った。



 彼女は、頭をかいて また ため息を吐いてからルビに向き直っていった。


 

 「私はお姉さんよ。子供の言うことなんてわけないわ!」



 それを聞いてルビは うんうんと嬉しそうに頷いた。



 僕は やっと君のことが少し分かってきた気がするよ。



 サファに愛されてるね。



 ( …経優、本当にありがとうな。俺は 兄弟に恵まれている。)


 

 なんとなくしんみりとしている中で深緑の少年が手をげた。



 「す、すみません。ルビ、ぼ、僕たち 提案したいことがあって、」


 「?なんだ、マラカイト。言ってくれ。」


 彼が聞くとマラカイトくんは嬉しそうに言った。


 「ぼ、僕たちでよければ、て、提携ていけいを結んでくれませんか?」


 

 突然の申し出にルビは たいそう驚いた。

 

こんばんは、石乃岩緒止いしのいわおとです。

いつもご愛読ありがとうございます。


 何とかアイデアを捻り出せてよかった。いつも凄いドキドキしながら楽しく書かせて頂いて嬉しく思います。


 大まかなストーリーの道筋は決めているのですが、ライブ感を出したくて細かい装飾は書きながら広めていくので 慣れるまでは だいぶ時間がかかってしまって。

 自分はこだわりが強い所があるので、割り切って書いていきたいと思います。

多重世界の先々で〜〜を今後もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ