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迷走

 暗闇の中を走ってると、突き当たりまで来ていた。


 全力疾走しても、たちまち疲れが取れるが 精神はいつにも増して狂っている。



 「端まできたんだ。ここ、どこだ。」



 落ち着かない。部屋に戻りたいのに、


 さっきから、ルビは呼んでも返事が帰ってこない。



 「はぁ、空き部屋ばかりだ。ここでもいいか。」



 空き部屋といっても家具がちゃんとあるし、何処を使ったっていいはずだ。



 「それにしても、よく作られた部屋だ。考えてみれば 一人ずつ部屋を与えられるし、僕の部屋より広い。」



 晩餐会の集まりをみても、子供からお年寄り合わせて40人程度しかいなかったが 部屋数は2回だけでも50はくだらない。


 コロネルは人の手で掘って作られたというのが 信じられないな。


 突き当たりに掘られた跡がある。



 「過去、もっと増築しようとしたのか。うーん、謎だ。」



 外からみたコロネルは気の遠くなるくらい横に長いし、まだまだ部屋を増やせるだろう。


 昨日、サファと会ったコロネルの先端と呼ばれてた場所まではないものの、かなり走ったような。



 「よし、ここで休めよう。」



 くるりと きびすを返すと、サファがいた。



 「あ、サファ。どうしたの?こんなところで。」



 サファは なぜか心配そうにしていた。



 「こっちが聞きたいわよ。それよりも顔色がおかしいけど大丈夫?」


 「へ?何が?大丈夫、元気だから。部屋に戻りたいけど、もう ここでいいかってなって。」


 「大丈夫じゃないわね。私はこっちよ。」



 彼女は僕に肩を貸して、来た道に引き返し始めた。



 「大丈夫だよ、一人で歩ける。」


 「あなた、お酒の匂いはしないみたいだけど、酷く酔っているようね。そんな状態で一人で帰らせるとか、気が気じゃないわよ。」



 おかしなことを言うな。いつお酒を飲んだって?未成年だし、そもそも酔ってない。



 「ほら、こんなに頭が冴えてる。意識はしっかりしてるよ。」



 そう言った途端に足がもつれて尻餅をついた。



 「もう、完全に ふらふらじゃないの!大丈夫だから、体を預けて。」



 差し伸べてくる手が掴めない。おかしいな。



 「ごめん、なんか変だよね。おかしいよなぁ。」



 足が言うことを聞かない。頭も体もしっかりしていて こんな事になるのは初めてだ。


 「いいえ、あなたはおかしくないわ。これから私たちは交渉の材料に使われるようになるのよ。」


 

 それから、彼女は手を取って僕の肩を担いだ。



 「自分でやる事が一族の存亡に関わってくる、そんな状況にあって平然としていられる方が良くない。あなたもそう思わない?」


 彼女は歩いている時にふと聞いてきた。



 「それは誰のこと?お兄さんのことかな?」



 彼女は考えてから、頷き言った。



 「…それはそうよね。ルビもずっと背負ってきたことよね。そう思えれば悪い気はしないかも。」


 「?結局、お兄さんのことだよね。嬉しいなら何でもいいね。」


 「!わからない人ね。けど、やっと兄さんの役にたてるって事は嬉しいわ。」


 彼女は前を向き微笑んでいた。彼女は感性が豊かだ。それだけはよくわかった。


      

             ♢


 

 話をしながら歩いているうちに、僕たちは中央の踊り場に着いていた。


 サファはそこから僕の部屋まで送り届けてくれた。


 「ああ、ここ。もう大丈夫、ここまで送ってくれてありがとね。」


 「ええ、あなたを見かけて心配して ここまで付いてきちゃったけど。よかったわ。また、明日ね。」


 僕は手を振ってサファを見送ったあと、何とか部屋に入ってそのまま床に倒れこんだ。


 「うう、痛い。」



 ひざが立たずに崩れるようにして倒れたので全身に怪我をした。



 膝は割れたかもしれないな。



 仰向けになって折れた鼻を戻して思った。



 痛みはすぐにんで、何分かして傷や骨折が完治していった。



 ―眠れない。


 寝る必要はおそらくはない。


 ただ、眠ることができない。


 今まで、朝や昼に限界がくると2〜3時間は寝れていた。



 「はぁ、けど、頭を休めないと。ずっと稼働してるから興奮しすぎて酔っているのかな。」


 

 カフェインを大量に飲んだ時や、徹夜をしてる時みたくなってるんだ、きっと。



 ( …うう。経優…)


 ルビ!よかった。居なくなっちゃったのかと思ったよ。


 ( 大丈夫だ。ずっとここにいた。)


 

 ルビはそう言いながらも少し苦しそうだった。


 

 何がどうしたのさ。急に具合が悪くなるなんて、僕に出来ることは何かある?


 ( ああ、だが先ずは聞きたいことがある。サファは、サファは気を病んでしまってないか。)



 ルビは起きて早々にサファのことを心配した。



 そうだ、あの時だ。


 クオツがサファのことを悪く言われてから。


 そこから心の中のルビも"この世界にいる"ルビも心を乱し、理性を失いかけた。


 

 うん。さっきまで一緒にいたけど、特に変わりは無かった。君たちは本当に兄弟、仲がいいんだね。


 ( はぁ、そうか。よかった。)



 彼は安心したのか、先ほどまで伝わっていた心のざわめきが薄まっていった。


 

 ルビ、は どうしてサファのことになると、そこまで取り乱すの?


 ( そんなにおかったか。)


 …うん、短い付き合いだけど、ルビらしくなかったよ。



 もう一度、あの時のルビを思い出して考えてみてもそう思うのだった。


 それに、あの背筋がこおるような 殺気に似て非なるものはなんだったんだろうか。



 ( そうだな。お前はサファにあっても分け隔てなく付き合ってくれた。お前になら話せる。)


 ルビは、とても静かにサファの過去を話してくれた。


 ( 7年前、俺たちが両親を亡くして直ぐだった。


 突然、サファは深い眠りについたのだ。サファは当時9歳だった。


 三年もの間、一度も目を覚ますことが無かった。


 それだけではない。サファは病いにかかっていた。眠りに落ちた上に肌の色が抜けてしまう病気だった。


 三年のうちに病状が進行し、最終的に全身に回ってしまった。今は、フロウの手術によって良くなっているが…


 …それとこれも長い眠りの後遺症だと思うが、サファは15時間以上、寝てしまう体質になってしまった。


 ―当時の俺は、妹の手を取って握りしめてやることしか 出来なかった。



 …長い眠りから覚めたあと、サファは自分の親が死んでしまったことも"あの事件"も忘れていた。


 ―俺の口から、そのことを言うのは気が重かった。俺は妹の顔を見て話せなかった。


 事実を伝えることができなかった。サファには両親は、事故で死んだと伝えてある…


 すまない。今でも、当時の事件を思い出すのも言うのも辛い。


 ―サファは もっと辛いのに、俺は兄として 充分に支えてやれなかった。


 目が覚めた後も、あいつは自分の肌をみ嫌って年が近い者にも、誰とも 近寄ろうとしなくなった。


 元気だった頃は大勢の人に慕われ、いつも、ひとの輪の中にいたんだがな…


 すまない。お前にサファのことを頼ってしまって。


 こうして思い返してみれば、俺は兄としての資質はないのかもしれんな。)


 ―サファは肌のことがコンプレックスだったのか。


 ルビが心配症なのかと思っていたけど、そんな過酷な状態だったんだ…


 ルビ、君が何といおうと、妹思いのいいお兄さんだよ。


 ( ―そう言ってくれるのは嬉しいが、俺は妹に心配されるくらい頼りない男だ。)


 …僕も同い年だけど、兄弟がいてね。弟だけどしっかりしているんだ。


 両親を亡くした時、僕の背中をさすってくれた。


 なぜかは分からないけど、僕を兄としてみてくれてる。


 だからさ、ルビはそのままで充分過ぎるぐらい長男やってるんじゃない?


 ( …そうか、俺は今、お前の弟がお前の事をしたう気持ちがわかったぞ。)



 ルビは不思議な事を言うと、深呼吸した。


 

 ( 俺も、サファのことは言える立場ではないが自身が持てた。ありがとな、経優。)



 心の中がスッと軽くなるのが分かる。


 

 ( もう一つ、お前に頼みがある。やってもらいたいことだ。)


 うん?何かな?


 ( 瞑想だ。俺も教えるから、やるぞ。)


 え〜〜


こんばんはー石乃岩緒止いしのいわおとです。

 すみません、リアルの方で立て込んで今して、日が開いてしまって。それと、筆が進まないのもありますが。 来週から病院に通院するので体調が良くなってくると思いますので、治りしだいペースを戻していきたいと思っております。今後ともよろしくお願いします。

                    バイバイ。

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