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ep9 インスピレーションの天気予報

 「ふたりとも、そこまでにして、もう頭が覚めてるなら僕に自己紹介して欲しいんだ。」


 スピネルとクリスは言い合いをしてお互いに嫌気がさしてきたようだったので、僕が落とし所を用意してあげた。


 ( お前のそういう所はすごいと思う。)


 そうだろうか、子供相手だからかもしれないね。


 

 「―そうね、少しカッとなっちゃったわ。朝から無駄なことに労力を費やすこともなかった。」


 「へっ。こいつの分からず屋はクオツゆずりだな。全く散々だぜ。」


 彼らは夫婦なのだろうか。不思議とそんな風に思える、仲良くケンカしてる様にも見えるし。


 ( スピネルはクリスの事が好きなんだろう。)


 えー。分からないものだね。



 「経優様、まずは私から。クリス•スタル•コランダムです。よろしくお願いします。」


 「よろしくね。クリスで良いのかな。名前が二個あるんだね。」


 「はい。スタルは旧名です。16になれば名前を一新できるんですが、これは決まりなんですよね。」


 「へぇー。そうなんだね。」


 そういう文化なの?


 ( ああ、5才に名前を与えられる。成人するまでは古い名前を残しておく。)


 はぁ、何か不思議だ。


 「おい、兄ちゃん。名前聞くときは自分からだろうがよ」


 「す、スピネル、失礼だよ。僕たちの仲裁をしてくれたんだよ。そんなに挑発的な態度はよくないよ。」


 スピネルは深緑の少年を睨みつけた。


 「僕が悪かったよ、言えばいいんだね。経優 無神だよ。よろしくね。」


 「ふん。スピネル•マグネ•コランダム。出来んじゃねーか。兄ちゃん、いや。経優はどこの生まれだなんだ?」


 「生まれ…日本かな?知らないかもだけど。」

 

 「き、聞いたことがない。そんな部落ぶらくあったかな?」


 深緑の髪の少年は、えーと確か…


 ( マラカイトだ。経優。)


 ああ、そうだマラカイトくんか。


 「マラカイト。次はあなたの番よ、経優様 この子は考えたら自分の世界に行ってしまうんです。」


 ああ、わかる。そうなるのは凄いよくわかる。


 「はっ、す、すみません。ぼ、僕の名前。マラカイト•ヘルゼナ•コランダムです。」


 「マラカイトだね。よろしくね。そんなに緊張しなくても僕は無害だよ。」


 「は、はい。よろしくお願いします。」



 僕らは自己紹介を終えてから、解散した。


 クリスは眠りに自室へ戻り、スピネルとマラカイトは隣の部屋に行った。


 

 これから、どうすればいいんだろ。


 ( まずは俺のところに行くのがいい。)

 

 え、ああ。ルビのところに行けばいいんだね。何処に居るんだろうか。


 ( …おそらく、ずっと食べ終わるのを待っていたと思うぞ。入り口のところだ。)


 まじか、悪いからはやく行ってあげないと。


 

 直ぐに、コロネルの入り口へと向かった。一本道なので迷わず辿り着ける。


 「ルビ、ごめんね。サファは部屋で休んでるよ。僕はさっきまで朝食を子供達と食べてたんだよ。」


 壁に寄りかかり、空の様子を眺めているルビに話しかける。


 「今日は砂嵐が起きるな。経優、外に出ないほうがいい」


 「砂嵐?晴れてるけど、」


 外はカラッと晴れて青空が広がっている。


 (うむ。経優の中にいると分からんな。)


 心の中でルビは当惑とうわくしている様だった。


 分からないって何が?


 ( 俺は空気の力を肌で感じて、この先の天気を知ることができるんだ。)


 大気圧を感じとれる?


 「うそだろ。そんなこと分かるはずない…」


 「ん?分かるぞ。あの日以来ずっと天気を感じとれる。」


 ( …俺の経験によれば、こういうときは直ぐ砂嵐がくる。)


 「経優、今日はアンドルの手伝いに行ってくれるか。」


 え。ああ、淡いピンク髪のひとかぁ。


 「わかったよ。手伝う。」


 「あ、すまん。お前も寝てないよな、今すぐとは言わん。ゆっくり体を休めた方がいい。」


 そうだ、いわれてみれば寝てないや。


 「全然 眠くないし、平気だよ。」


 「…確かに顔色はいいが、とにかく無理は良くない。少し体を横にして休んでからにしろ。」


 僕が頑なに断ると、より一層ルビに心配させてしまったのか、何かあるなら相談にのると言わせてしまった。


 「とにかく、慣れないうちは無理するな。用事を済ませたら俺も寝に戻る。お前もそうしてくれ。」


 「うん。ルビがそこまで言うなら、そうさせてもらうよ。何も心配要らないから。」


 本当に大丈夫なんだけどなぁ。



 僕はルビに挨拶してから自分の部屋に向かった。


 ここって迷路みたいだよね。


 ( うむ、初めは皆迷う。段々、慣れてくる。)


 

 僕の部屋は、入り口の近くの玄関ホールから左階段で二階に上がって直ぐだ。


 もちろん、心の中でルビに道を教えてもらった。



 辿り着くまでに朝食を取りに下へ向かう人と挨拶したりもした。


 ついこの間まで ひきこもりだったことを考えれば凄い進歩だなと思った。



 ルビ、聞きたい事があるんだけど、


 ( 何だ。すまないが、コランダム族の過去を話すことは出来ないぞ。)

 

 

 部屋に戻ったはいいものの、寝れないのでルビと話すことにした。


 

 いや、関係ない話。コロネルの事で気になった事があって、これどうやって できたものなの?


 ( コロネルの生い立ちか。俺が生まれときからあったからな、聞いた話になるが。)

 

 うん、聞かせて。


 ( 初代コランダム族と当時 同盟を結んでいた二つの部族が掘って作ってと聞いている。)


 掘って!?やっぱり、人の手で出来たのか。


 ( ああ、この場所がハーラの民の原点だ。)


 ヒュー、ヒュー、


 

 コロネルは砂嵐で覆われて周囲が少し陰り始めた。



 ( 経優、この話はまた今度にしよう。この日もどうの日だったはずだ。そろそろ動き始めよう。)

 いつもご愛読ありがとうございます。

 私はこんなのを書くぐらいなので、異文化って凄い神秘的な部分と合理性とが混ざりあってるから異世界を感じちゃうんですよね。

 日本文化も海外の人からみたら 違う趣きがあるんだろうなぁ。

 今日は少し後書きがポエムになっちゃいましたね。それでは皆様お元気で、バイバイ

 

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