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ep3 コランダム族とハーラ

 コランダム族の人達はオオカミを狩り終えてルビさんの所へ集まってきていた。


 なんか悪いこと言っちゃったのかな。



 「いえ、全然。僕はコランダム族のみなさんに助けられてるし、そんなことないですよ。」


 「なんだ そうだったのか、悪かったな。俺、てっきりハーラを侮辱してるんかって思ってな。わりぃ、わりぃ。」



 ピンク髪の青年は僕の目を見みると元の口調で言い手を差し伸べる。


 彼と話しをしたことで、彼ら(コランダム族)との摩擦というか、危機が去っていくのを感じた。



 「俺はアンドルゼイドだ。アンドルでいい。お前は無神って名前だったか。」


 言われて今までファーストネイムが無神になっていた事に気づいた。


 そうだのよな、海外では名前、逆だった。



 ( …無神、言い直すのは辞めておけ。)


 え?何でさ。



 僕はアンドルさんの手を握りながら気になってルビさんに聞いてみた。


 ( それはな無神、キヨーユには―)


 「お前にはまだ、聞きたい事がある。」



 岩陰の方から声がかかる。


 びっくりした。岩の後ろに人がいたなんて気づかなかった。


 青、緑、黄色、紫。複数の色が混ざった髪をしている。20代半ばくらいの人だ。



 「何ですか。」


 「単純な話だ。お前はいったい何者かだ。」


 何を言ってるんだろうか。もう名乗った筈だが…


 「フロウ、もう良いんじゃないか?こいつが頭のイカれた野郎じゃないことぐらい、話せば分かるじゃんかよ。」


 僕が困惑していると、アルドルさんが割って入る。


 「ダメだ。身元も知れないやからをコロネルに入れる訳にはいかないだろ。」



 コロネル?


 ( 俺たちの住処すみかだ。すまない、アンドル、フロウはいいやつなんだが…心を痛めないでくれ。)



 ルビさんはそういって謝ってくれた。人の為に頭を下げるなんて、ルビさんってほんと聖人だな。



 「フロウさんでいいかな、僕はここに来たばかりで何も知らないんだ。」


 「…話の辻褄つじつまが合わないな。来たばかりといったが、俺は何者かを尋ねていたはず、」


 「フロウさん、僕は名前を名乗っただけで こんな大事みたいになってるか、さっぱりわからないんだけど。」


 フロウは空を見上げて星を見ていた。


 「音を伸ばす意味も知らない、か。これじゃ まるでポラリスの使者だな。」


 ポラリス、北極星のことだ。確かに僕は空から降ってきたから言い得てるな。


 「話は後だ、フロウ。無神と言ったか、俺達の住処に案内しよう。」


 「…ルビが そう判断したなら従おう。」


            ♢


 北へ進むと、巨体な横長の建物が月の光を受けてぼんやり青白く浮き出てきた。


 デカい。こんなに大きな建物は見た事がない。


 遠目で見たときは白一色のロールケーキのようだったが

近づく事に大きくなっていき、間近で見た時には壁にしか見えなくなった。



 近づいても近づいても大きく見えるのはそれだけ巨大だと言う事だろう。


 先ほどまでいた岩は近くまで来ても点でしか見えなかったので これは相当なデカさだということなんだろうな。


 

 「アンドル、フロウ、皆に帰還きかんを知らせてくれ。」


 ルビさんはそう言って彼らと目配めくばせをした。


 「ああ、わかった。俺から頑固婆さんに言っとくぜ。」


 「ルビ、後で話を付けよう。今がいいな、そいつを晩餐の前に連れてこい。」


 彼らは奥の通路へと消えていった。


 ルビさんは彼らを見届けたあと、話しかけてくれた。


 「改めて自己紹介をしよう。俺はルビ • コランダム。コランダム族の族長をやらせてもらっている。」


 「ん、ああ。そうだね。僕の名前なんだけど経優きょうゆう 無神なんだ。」


 ( …無神そのことなんだが…)


 「名前がキヨーユというのは本当なのか、」


 ルビさんはすごく驚いた顔をしている。そういえば僕の名前がどうとか、言っていたような。


 「キヨーユは神の名前だ。それも聞かぬ名のな。」


 ( …無神、音を伸ばして呼ぶのは大地の神か、

 その化身((人の姿をした神))、大精霊の名にしか使えな     いんだ。)


 僕は意図せずに神様の名前を口にした事になってたんだね。


 なら話が早いね、誤解を解こう。


 「ルビさん、ごめん。発音なんだけど、キョウ•ユウだよ。少し間を空けて呼んでくれないかな。」


 「きょう、ゆう。経優か、すまない聞き慣れない発音なのでな。」


 「よろしく、ルビさん。」


 「ああ、よろしく頼む…所で何故お前は名前の後ろにサンという音を入れるんだ?」

 

 僕は思わず口をポカンと空けた。


 ( それは俺も気になっていた。)


 …どうやら僕は異世界を甘く見ていたらしい。



 

 しばらくして、さんというのは目上の人に付けるもので、自分のきた所の文化という事を2ルビとルビに伝えた。


 彼らはあっさりとそういうものか、と理解してくれた。本当に飲み込むが早くて助かる。


 「うーむ。わかった。経優きょうゆうまずはお前の部屋を教える付いてきてくれ。」


 僕はルビの後についていく。


 ( うーむ、俺も経優と呼んでいいか。)


 もちろん、そっちの方が呼びやすいなら、僕もルビさんのことをルビって呼ぶことにするからさ。


 ( ああ、そうしてくれ)


 「ここがお前の部屋だ。」

 

 心の中のルビさんと話しているとすぐについた。


 僕は紹介された部屋に入ると息を呑んだ。


 これって本当に部屋なの?


 「経優、お前の歓迎する為に晩餐を開く、だが悪いがその前に話の決着をつけねばならん。」


 「それまで ここで体を休めておけ。少ししたら呼びに来る。」


 彼はそう言い残し、部屋から去っていった。


 僕は何も無い部屋の中で立ち尽くすと思わずため息をついた。


 「これから、どうなっていくんだろう。」


 部屋の中は月の光でかろうじて壁がみえるほど暗かった。


 胸の中は期待と不安で渦巻いていた。




いつもご愛読ありがとうございます。

次回もお楽しみに!

バイバイ

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