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26. 宿のスキル
「ストップーッ!」と、詳細を語るアルベルト様の口を塞ぐように、俺は両手を前に突き出して、むりやり話しを止めた。 「ここまで詳細を聞いておきながら申し訳ありませんが、皆様が飲まれました酒を買い取られるという事ならば、取引は成立出来ません」と、突如として取引を断る俺に、俺とアルベルト様の会話を聴いていた周囲は、「何ッ!」と、殺気を帯びてざわめき出した。 「何故ですかッ、ハルカさんッ!」と、俺が取引を断った理由を聞くオリオールさん(平静を装ってますが、貴方からも殺気を帯びてますよ…)に、「皆様が飲まれました酒は、俺のスキルからお出しした酒ではありません。この宿のスキルです。いつまでも、出続けるとは限りません。何度でも言います。宿のスキルなんです」と、ここまで何度も「宿のスキル」というキーワードを言う俺に、「あッ!そうか。ハルカさんはこの宿のスキルから出た酒だから、いつかは終わりがあるという事ですね?」と、誰よりも先に気が付いてくれました(流石はオリオールさん!)。