23. 呑んだくれ太郎第2試合です
「何だこりゃ!?」「これが魚!?」と、囲炉裏の五徳に載った鍋料理に、驚きの声があがる一方で、「酒に合う!」「はっはっはっ、酒が美味い!」と、アルベルト様とダテさんを筆頭に、二日酔い?三日酔い?も覚悟の上で、既に呑んだくれ太郎が出来あがってる…。 もちろん飲むのは、純米酒ど○(ふふふ…、ハマりやがったぜ)。 俺が愛飲している越○景○に、「お恥ずかしい事ですが、たった1杯飲んで、潰れてしまいましてね。ですがコチラは、果実酒のような飲みやすさ」と、オリオールさんはハマった様子です。 祖母は炉端で、蛤と海老を焼いている。 パカッと開いた蛤と紅く染まった海老に、祖母の匙加減で垂らした醤油が、赤々と燃える炭火にジュッと音を立て、大広間全体に広がる焦げた醤油の香りに、鼻をヒクヒク生唾ゴックンの呑んだくれ太郎。 蛤と海老を盛り付けた大皿を、囲炉裏と炉端の間を走り回る、給仕係の俺は今夜も大忙しです。 暫くして給仕が落ち着いた頃を見計らった俺は、オリオールさんの向かいに腰を下ろした。 オリオールさんの酌の相手をしながら、「さっき魚を見て声があがってたけど、魚はないの?」と言う俺に、「帝都から海まで、馬を走らせても3日は掛かるんだよ。魚が広まるのは、海に近い町や村がある領地だけなんだよ」と、オリオールさんは答えました。 更に続けて、「日持ちするように加工した海産物しか、帝都には届かない。更にココは、海とは真逆の内陸の奥になるから、魚を知らない者もいる。もしかしたら、一生知らないままかもしれない」と、かなり衝撃的な内容に…。