22. 安心して下さい、諦めてますから…
「剣士のクーガ様からお聞きましたが、ハルカ殿は異世界から来たとの事ですが…」と、アルベルト様のお付の文官さんから、声を掛けられました。 「はい。実はオアシスだと言いましたが…、ガッツリとした山々です」と言うと、「やっぱり山だよなぁ」や「オアシスにしては変だと思った」だとか聞こえました(はい!山です!)。 「元々は僻地の山奥にあった温泉宿なんですけども、つい最近になって、異世界から山ごと転移しました」と、包み隠さずに語りました。 飲兵衛対決していた彼等も、酒を止めて話しを聞いています。 「おそらくですが、俺も祖母も、元の世界には帰れないと覚悟してます」と語る俺に、「それは…、何と言って良いのか…」と戸惑う文官さんに、「大丈夫ですよ。何とかなりますよ」と、諦めの境地に達してる俺は、比較的に楽観視している。 右斜め上を見上げて、考える素振りを見せた俺は、「現実的に困窮するならば…、お金かな?」と、ぶっちゃけて答えた(だって、円は使えないでしょ…)。「申し遅れました。辺境伯様よりこの地を治める代官の、アルベルト様に仕えますオリオールといいます」と、初めて文官さんが自己紹介してくれました。 これがきっかけで、オリオールさんとは長く親交をしていく事にになりました。




