16. 奏多 side
異世界転移した俺と祖母と柴犬。 これは元の世界に残された、奏多の視点です。
父は中小企業の技術職の会社員。 母は父の勤める中小企業の託児所の保育士。 大都会の郊外に住む一般家庭で生まれ育ち、小・中・高と平均的に進学した大学2年生です。 母は大都会の下町で生まれ育ち、祖父母も健在。 父は地方の田舎の山奥で生まれ育ったが、半年前に祖父が他界した。 祖母はいつの頃からいなかったのか、記憶に無い…。 父母に聞いても、「あれ?」と、お互いに口を揃えて言う。 そして最近、俺の身の回りで、「あれ?」となる事が多い。 俺は1人っ子だ。 1人っ子のはずだ…。 それなのに、違和感しかない…。 父母に「俺は1人っ子だよね?」と聞いても、「お前は1人っ子だ」と、お互いに口を揃えて言うが、「1人っ子のはずだ…」と、お互いに口を揃えて言う…。 そう…、父母も俺と同じ違和感を感じている…。 母から産まれたのは俺だけのハズなのに…、特に母が「あら?」と違和感を口にする。 俺も父母も、何かを忘れたのかもしれない…。 もしかしたらこの違和感の正体は、永遠にわからないのかもしれない…。