13. 異世界の味に舌鼓②
アチラコチラからご飯のおかわりの大合唱に、コンセントを抜いた大型炊飯器を抱えて走る、給仕係の俺(仕事ガンバってる俺アピールです)。 炉端で焼けた肉を盛り付けた平皿を、祖母の手からひったくるように掴んで、盆の隙間に並べる流れ作業で、更に大忙しの給仕係の俺(仕事デキる俺アピールです)。 そんな合間に、アルベルト様の木製コップに、酌を注いでみました。 「ん?水か?ちょうどいい」と一口、口に含んだ瞬間。 「ん?甘い?…いや!何だコレは!?押し寄せてくる衝撃は!?」と、驚きの声をあげるアルベルト様に、一斉に彼等の注目を一身に浴びた(毒じゃないからッ!)。 「一口口に含んだ瞬間は、ほのかな甘味が広がりますが、後に押し寄せてくる辛口。コチラは今は亡き祖父が愛飲しました、当宿のお酒になります」と、亡き祖父が愛飲した『純米ど○』を勧めてみました(俺的にはフルーティーな甘味が広がる『越○景○』が好きなんだけどね…)。 するとアチラコチラから、木製コップを高々と上げる上げる。 両手に一升瓶を持って、酌を注ぎに走り回るハメになろうとは…。 盛り上がった宴席の隙に、炉端で肉を焼く祖母に、「爺ちゃんの蝮酒も出しちまおうよ」と、提案をしてみたところ、「あのまんまだど、納屋の肥料だで」と、祖母からの快諾を得た俺は、中身を取り出した一升瓶を、然りげ無く注ぎに走り回った(ちなみにこの蝮は、長靴に密かに潜んでいた蝮が、祖父の右足親指に噛み付いた。激怒した祖父は、噛み付いた蝮を蝮酒の刑で漬けたのが、コチラの蝮酒)。 しかしコチラの蝮酒も純米ど○も、辛口な酒豪揃いの御一行様の前では、あっという間の大盛況でした。