第二十三章 その四
「安國! 安國はいるか!」
それは信國の声だった。
「父上! ここにおります」
安國は隠し部屋から出てくると大声で返事をした。
「おおー、こんな所に部屋があったのか。とにかく無事でよかった! 部屋が荒らされていたから何事か起きたかと……」
信國の側であゆみも安心したように、何度も頷き喜んだ。
安國のあとから、定國、盛國に続き優奈と沙織もこわごわとした様子で出てきた。
「定國に盛國も一緒か! それに優奈殿に沙織殿も無事であったか!」
「はい、叔父様。でも大ババ様や母達がどこかに行ってしまって……」
「定國。どういうことだ?」
「はい、俺たちが着いてすぐに、黒い魔物が襲って来たのですが、俺達、四人は隠し部屋に行くように言われ…」
「そうか……。安國! ここに来る間に何か変わったことはなかったか?」
信國は心配そうな顔で安國に尋ねた。
「いいえ! 来る間には何も。俺が来た時は、もう誰も居なくて、部屋はすでに荒らされていた。しばらくしたら、さっきの隠し部屋から四人が出てきたんだ」
「定國、何か手がかりは?」
定國は下を向き頭を振った。
ふー。
信國が大きく息を一つ吐いた。ぴーんと張り詰めた空気が部屋の中に漂った。
その時、
「あ……」
「あゆみ様、どうかなさいましたか?」
信國があゆみの顔を見ると、あゆみは頭を上げ、高い天井を見つめていた。
「天井のあの窓はいつも開いているの?」
えっ?
あゆみの意外な言葉に、みんなは一斉に天井に取り付けられている大きな明り取りの窓に目をやった。
「あ、気が付かなかった! あの窓は守り人が光の術を使う時にしか開けないの」
沙織がハッとした顔で天井を見たまま呟くように言った。
「と言うことは……!」
あゆみと信國はその場で顔を見合わせた。と、その時だった。
ガラガラガラ。
またもや、玄関が開く音がした。全員がピクリとして身構えた。
「誰だ!」




