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魔魅ブギらんど  作者: わたなべみゆき
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第十三章 その三

「じゃあ、そろそろ三根の観音堂に出発しないと」

 あゆみは、あんじょと白ババに向かって言った。 

「あ、そう言えば信國はどこにいるのかなぁ」

 そう言ったあと、あゆみは何かをひらめいたような表情になり、

「いいわ、私が探しに行く! 龍太郎に乗って呼びにいくから」

 嬉しそうにそう言うと、すぐに龍太郎をよんだ。

「龍太郎! 信國のいる所を知ってる? 私を連れてって」

「あゆみ様、信國様の居場所は誰も知りません」

「えっ! 誰も知らなって、どういうこと?」

「信國様は修験道者です。どこにいるかなんてだれも知りません。私達、魔魅はいつも山や川や海を駆け巡っていますので、修験道者の方々とはそこでお会いしたりするくらいで……」

「あんじょ! 信國にはどうやって連絡つくの?」

「魔魅たちはそりゃぁ、すごい連絡網がありますからね」

 あんじょはそう言うと、ふぃーと口笛を鳴らした。

「はーい! おいらのこと呼びましたか?」

「葉太郎、修験道の信國さまを探しておくれ。あゆみ様が待っておられる」

「ほい!合点承知しました」

 そう言うと、葉太郎はピューと風に吹かれたように、どこかに飛んでいってしまった。

 しばらくすると急いで葉太郎が戻ってきた。

「信國様は小茂田にいらっしゃるとのこと。すぐにここに来るように言付けましたので、もうすぐやって来られるでしょう」

「葉太郎! ありがとう。すごいなぁ! 魔魅って団結してるね」

 あゆみは葉太郎を手の平に乗せてにこりと笑うと、葉太郎は照れたようにぽっと明るい色になった。

「でも、信國、なんで小茂田に行ってたんだろ?」

「小茂田と言えば、ガンゴにモッコがいましたな。長い間、顔を見らぬが、元気にしとるかの」

 白ババがぽつりと言った。

「ガンゴにモッコ!? それも魔魅の仲間なの?」

「そうでございます! ガンゴにモッコは可愛そうな運命をたどった魔魅でして……」

 白ババがまだしゃべり終わらないうちに、「あゆみ様、お待たせいたしてもうしわけございませぬ」と、信國が風のようにやってきた。定國と盛國も一緒だ。

 いつものように、片膝をつきあゆみの前で頭をさげた。

「さぁすが、早いなぁ!」

 あゆみが感心した様に言うと、定國たち二人が、嬉しそうににんまりと笑った。

「では、さっそく三根の観音堂へ向かいましょう!」

 あゆみの言葉に皆が大きくうなづき意気揚々とした顔を見せた。

「龍太郎には、あゆみ様と定國、盛國が乗って! 私はいたずら天狗の飛び傘で参ります」

 信國の言葉で、龍太郎は三人が背中に乗りやすいように態勢を低くしてくれた。

 龍太郎の背に三人が乗って空を飛び、その後ろを信國が飛び傘につかまり飛んでいる。かなりのスピードで飛んだのであろう。、四人は瞬く間に三根の観音堂へと到着した。

「ああ、三根の観音堂は同じ場所にあるのね! でも、あの頃と比べると寂しくなってる。周りの建物は何にも残ってないんだ」

 あゆみが独り言のようにぼそりとつぶやくのを聞いて、側にいた盛國が「えっ」という顔をした。

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