第六章 その一
あゆみは、白ババの住む豆酘崎の洞窟から家に戻った。
「ただいま。あんじょ、何も変わったことはない?」
「あゆみ様、よくお似合いです。祈祷の服も、日神の飾りも。
しかし、まだ小学生のあゆみ様がこのような……」
あんじょは不安げにあゆみを見た。
「あんじょ、今更何言ってんの! かあさまはずっと目が覚めないままだし、今は法師様もいない。私が闘うしかないんだから仕方ないじゃない。
そんな弱気なこと言わないで、魔魅たちの力も必要なんだから、あんじょもしっかりお願いね!」
「頼もしくなられましたな、あゆみ様」
あんじょは安心したように、にんまりと微笑むと、あゆみに言った。
「では、これからどうなさいますか? 北のほうでは魔魅たちもだいぶ苦しめられてるようです」
「法師様は、六観音すべてに結界を張られた。それなのになぜ、黒の法師が復活したのか…」
あゆみはじっと考えた。
「あんじょ、六観音は今どうなってるの?」
「今や、六観音は島の人々から忘れ去られ、ただ一部の人が参っておるだけとなっております。
三根と豆酘の観音像は、もうたいぶ前に火事で焼けて、現在残っているのは、四か所の観音様になります」
「やはり、そうか。観音様が火事で燃えたのも、おそらく悪の大魔王のさしがねだ。
長い時をかけて、復活の時を狙っていたんだ」
「ん? なんか、あゆみ様の話し方がお変わりになりましたな」
「そ、そう? つい法師様モードになっちゃうんだよね。ふふふ」
あゆみは、法師と過ごした日々を思い出した。
「あんじょ。明日から佐護に行こう! 急がないと、魔魅たちが苦しめられているのを見過ごしていたら、島の力が弱まってしまう」
「そう言えば、あゆみ様。あゆみ様が居ない間に、また学校の先生がいらっしゃいました」
ギョッとした顔であゆみがは叫んだ。
「えっ!? 先生が! あー、学校のこと忘れてた〜」




