第二十八章 その一
「では、我々もいくぞ!」
安國と顔を見合わせると確認し合うように「ん」と小さく頷きあった。
「龍太郎、敵陣が光の矢に気づいたら、すぐに飛んでくれ」
「はい! かしこまりました」
龍太郎は大きな青い目を更に大きく輝かせた。
シューッ。
光の矢が闇の召喚者達に向けて放たれた。
グワーッ。
大きなうめき声と共に、背中を向けていた闇の兵士達が後ろを振り返り、不気味に黒目で信國達をみると、すぐに襲いかかろうと走り出した。
「龍太郎! 行けー」
剣を振り上げた信國。龍太郎は、その声と同時に、ものすごいスピードで白嶽の方向へと飛んだ。
ゥヴオー! ウワー!
後ろから怒号と共に、追り来る闇の兵士達の動きが伝わってくる。
「龍太郎、思ったよりも速いぞ。大丈夫か⁉」
「まだまだ! このまま、こちらに引き付けて、その後、引き離します」
その言葉の通り、闇の兵士達は猛スピードで龍太郎を追って行った。
走って行く者もあり、馬に乗って追う者もいる。
龍太郎のすぐ後ろに迫った兵士は、モンゴル兵のような恰好をしていた。その隣にいるのは日本の侍である。おそらく元寇の時にむごい殺され方をして、恨みを抱え続けていた魂達なのであろう。矢が刺さったままの者もいる。顔や体にある傷から血が流れているのも生々しい。
龍太郎を追う姿は、怒りと憎しみのエネルギーに満ち、龍太郎や信國達に底知れない恐怖感を与えた。
「あゆみ様、どうか光の召喚をうまくやってください。俺ら達、命がけですよ~」
龍太郎は時おり、後ろを振り返りながら叫んだ。
「大丈夫だ! あゆみ様ならきっと、うまくやってくれる」
龍太郎の体をなでながら安國が口をきっと結んだ。
その頃、あゆみ達は首塚に向かって、神社の階段の東側の崖を木々の間を縫いながら登っていた。




