第二十七章 その二
「モッコにガンゴウ! ガンゴウ、大丈夫だったの? それに山気に川童に山童」
あゆみの顔が驚きと喜びに輝いた。山気はたくさん集まっていて、あゆみの周りをふわふわ飛んでいる。
「あゆみ様、俺ら達を一緒に連れて行って下さい。ここで死んだのは俺ら達と同じ国の人間です。これ以上、悪事を重ねさせたくないんだ!」
「モッコ……」
「あゆみ様、俺らは大魔王の操り人形になり、大事な阿連の里をめちゃくちゃにしてしまった。そして、今度は苦しんで死んでいった人達の恨みを利用するなんて、絶対に許せない」
ガンゴウは悔しそうに拳を震わせた。
「ガンゴウ……」
側にいた山気や川童や山童もうんうんと何度も頷き、あゆみの顔を見た。
「わかった! モッコとガンゴウは私と一緒に来て。山気と川童と山童は龍太郎と一緒に信國達の応援を頼んだわよ!」
「合点承知でございます!」
魔魅達は嬉しそうに声をそろえて返事した。
「じゃあ、信國。首塚からなるべく魔王達の目をそらすように、魔魅達と大魔城に近づいて、攪乱してちょうだい」
「はっ。かしこまりました」
「だけど、あんまり無理しないでね。奴らに掴まらないように、うまく引き付けてね。魔魅達も気をつけるんだよ! 魔王達は人間と違って、あなた達の姿が見えるんだからね」
「うん、憑依されたらヤバいからね! だけど俺ら達の森をめちゃくちゃにする奴らは許さないよ」
「では、あゆみ様。我々はできるだけ、首塚から離れた方から近づいて、奴らの気を引き付けます。あゆみ様もどうか、お気を付けて」
「うん。わかった! 信國、安國、お願いね」
信國と安國が龍太郎の背中にのると、龍太郎は「はーっ」と大きな息をして、大魔城の左の森の方へと飛び立った。その後を、山気につかまった川童と山童もふわふわと飛んで行った。
「山気達、大丈夫かなぁ」
少し心配そうに見送っていたあゆみだが、「んっ」と小さく声を出して口をきりりと結んだ。
「モッコにガンゴウ、私達も行くわよ!」
そう言うと、あゆみはタッタッタッと走り出した。モッコとガンゴウもあゆみのあとについて走った。首塚は正面の丘の上だ。周りを囲うように都合よく木々や草が茂っている。あゆみ達は首塚の右側に回り込むように、坂になった茂みの中を駆け上った。




