第二十七章 その一
「あゆみ様、やっと到着しました。遅くなって申し訳ございません」
「龍太郎~! 無事でよかった~」
あゆみは龍太郎に近寄り、首に手を回して頬ずりした。
「それで魔魅達はみんな避難したの?」
「樫根の観音堂の周辺は危険だから、離れるように伝えて参りましたが……」
「が? どういうこと?」
「みんな、あゆみ様を残して逃げられないって。自分達だけ、ここから離れられないって言うんです」
「えっ!」
「何かあったら、一緒に戦うのが仲間だからって言ってきかないんです。きっと、みんなこの周りで見守っていると思いますよ」
あゆみは泣き出しそうな顔をして、ふたたび龍太郎の首に抱きつくと、「魔魅達、ほんとに有難う。有難う」と何度も繰り返した。
「魔魅達のためにも頑張るからね。助国公の首塚に行って光の召喚を完成させないと」
あゆみは、そう言いながら首塚のある方向を見上げた。
「そうだ。龍太郎、お願いがあるの」
「何でしょう、あゆみ様」
「信國と安國を乗せて、茂みの方から大魔城へ近づいて欲しいの。魔王達の気を引いている間に私が、助国公の首塚へ行って召喚の儀式をするから」
「え、どういうことですか、あゆみ様」
龍太郎が大きな目を更に大きくした。
「あゆみ様、一人でお行きになるのは危険です」
側にいた信國がそう言った時。周りの茂みからなにやら飛び出してきた。
「大丈夫!! 俺ら達も一緒に行くから」




