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風使いの弟子

作者: スナドリ

森と共に生きる

風使いのお話です。

ボクは森を守る「風使い」の一番弟子♪

「風使い」とは、風袋を使って

いつも森に心地よい風を吹かせ

鳥や動物や木々たちを

しあわせな気持ちにしてあげる事♪


ボクに風の操り方を教えてくれるのは

ちょっと怖いおばあちゃん師匠。

でも本当は涙脆くて

やさしい人なのは知ってるけど。


ある夜、師匠が森を留守にするというので

代わりに風を見守るよう頼まれたんだ。


ちょうど日にちが変わる頃、突然森から

風が消え、音が消えた。

鳥や動物たちも気配の変化を敏感に感じたのか

ちょっと落ち着かない様子♪

すると、森全体を押し潰すような振動と共に、

8の字を描くような風が起こったかと思うと

それが渦巻く束となって森に襲いかかったんだ。


鳥や動物たちは風に吹き飛ばされないように、

みんなでカラダを寄せ合った!

木々もあまりの風の勢いに、折れてしまうものも・・・

風の方向が全く読めない!風袋をどう使えばいいんだ!

こんなに強くて厄介な風ははじめてだ!

ボクは無力感とともに、風の力に敗れたと思った。


その時、どこからともなく

師匠の声が聞こえたような気がした。

「風袋を信じるのじゃ」


そうか、ひとりじゃなかったんだ♪

心を込めて風袋を握り締め、

ボクは風袋の力を信じることに決めた。


風袋から青い光が広がる。

光の中には、遠い昔から

森を守り続けてきた「風使い」たちの魂が

宿っていることが分かった。

長い間、風袋の中で眠り続けていた

特別な力が呼び覚まされたのだ。


ボクは見えない角度からの激しい風の攻撃に

「どうする?」と自分に問いかけた。


すると「我にしっかりつかまりなされ」

頭の中に声が聞こえたかと思うと、

風袋はボクを乗せたまま真っ暗な空に

ロケットのように飛び立った。

地上を見下ろすと森が風袋に

スッポリと収まってしまうくらいの

大きさに見える。


「真上からだと見えなかった風も見えるじゃろ」

また頭の中で声が聞こえた。

ボクに語りかけてくれていたのは

風袋からのテレパシーだったんだ。

いつしかボクの周りは青い光に包まれていた。


ボクは森を揺るがす渦巻く風に向けて

\\鎮まれ!//と思いっきり念をぶつけた。

青い光がさらに強くなって

森をすっかり包み込んでいくのがわかる。

やがて激しい風の怒りがおさまって

森が静けさを取り戻していきます。


朝の陽射しが森いっぱいに広がる頃

師匠が帰って来た。


一晩中の出来事を一生懸命に伝えると

彼女は全てを見越していた様子で頷きなら聞いた後

一言「まだまだだね」と小さく呟いた。


でも「ゆっくりおやすみ」と

言ってくれた時に見せた

とっても嬉しそうな師匠の笑顔で

今回の任務が終了したのがわかった。


まだまだ続く風使いとしての修行の厳しさと

これからも師匠と共に歩める喜びが

ぷくぷく湧きあがってきた。


ボクをいっぱい助けてくれた風袋は

何事も無かったかのように

ボクの腰ひもにぶら下がって

ユラユラ揺れていた。


挿絵(By みてみん)

お読み頂きありがとうございました♪

夢日記をベースにしたショートストーリーが

他にもありますので、興味があればお読みくださいね♪

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