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第1話 書きたいモノを書けばいいじゃないの話
何気ない一言が人の心を抉ることがある。
悪意がないからこそ余計にツライ。
創作者にとって一番キツイと思うのが
少なくとも私にとって一番キツイのが
「書きたいモノを書けばいいじゃない」
だ。
書きたいモノが書けるならそりゃもうアガリじゃろうが
それができないから苦しんでいるんじゃろうが。
執筆とは、ドロドロと溶けていくチョコレートの彫刻のようなものだ。
心の中にあった確かで鮮明だったイメージが
筆を進めていくにつれ、曖昧模糊になり、見るも無残なシミュラクラになり果てる
なぜ創作者はエタるのだろうか
飽きたからじゃない
他にやりたいことができたからじゃない
時間がないというのもいいわけだ
書くという行為は理想から離れていくことだ。
頭の中の理想から稚拙な偽物をひねり出す行為だ。
それでも、それに意味があると信じて筆を進める。
体が重くなる 心が重くなる
泥にまみれた体がやがて動かなくなる
新たなるエターナルがそこに横たわっている
書きたいモノ を いつか書ける日が来るのだろうか