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40話 一触即発

 「譲渡? 生憎あいにくビルデは俺のものじゃなくてね。渡したくても渡せねえよ」


 俺はフェイに続きビルデも侮辱された怒りを必死に抑えて話す。横ではフェイがダービスに殺気を放っていた。


 「ふーん、ならしかたない。そこの悪魔。私と一緒に来ないか? そうすればこいつらには手を出さないと約束しよう」


 ビルデはダービスに話しかけられた瞬間ビクッと体を震わせた。完全に怖がっている。


 「……私が大人しく行けば、二人に危害はないんですね?」


 「までビルデ! そいつは俺達を殺そうとしてたんだぞ!」


 俺は慌ててビルデを説得しようとする。フェイは何故か黙ったままなので、俺だけでやるしかない。


 「分かってます。でも二人が助かるならそれで――」


 「駄目に決まってんだろ! おいダービス、何故ビルデを欲しがる?」 

  

 俺は食い気味にビルデの言葉を否定する。馬鹿を言うんじゃない、そんなので俺が助かってもちっとも嬉しくない。


 「答えるわけないと言いたいところだが、いいだろう、教えてやる。そいつはこの私が造った悪魔だからだ」


 「嘘をつくな。ビルデは生まれたとき周りに誰もいなかったと言っていたぞ」


 ダービスの唐突の私の子だ宣言に、俺は反論する。ダービスはそんな俺をせせら笑った。


 「失敗したと思ってたんだ。それで装置をダンジョンに捨てたんだが、まさか造られていたとは思ってもみなかった」


 「あなたが……私のお父さん?」


 ビルデは困惑した表情でダービスの方を見ている。

 まずい、完全に奴のペースに乗せられてる。このままじゃ本当にビルデがついていっちまう。

  

 「待て。生みの親なら尚更何故ビルデを殺そうとしていた? お前、連れ帰った後ビルデを殺す気だろ!」


 「……そんなことしないさ。丁重に保護する予定さ」


 今、分かりやすい間があったな。間違いなく殺す気だ。失敗したと思ってたって言ってたし殺しとかないとまずい事情があるんだろうな。


 「なぜ、私を造ったんですか? 嘘はバレますよ」


 ゆっくりと、だがはっきりとした口調でビルデがダービスに質問する。


 「……お前を造ったのはドラゴンをも殺す怪物を造りたかったからだ。それで国を転覆させたり、そこのドラゴンを殺そうと考えていた」


 「そう、ですか。どうやって造りました?」


 ビルデの声が震えてきた。顔は青ざめ、チラチラとフェイの方を見ている。

 一方フェイはまったく反応がなかった。本当に彼女は先程から何をしているのか分からない。


 「優秀な人間の魂を集めて再構築し、新たな魂を造ったんだ。そこに俺の用意した肉体に入れて製造した。中々目覚めなかったから捨てたがね」


 「なるほど。マグリスさん、こういう理由みたいです」


 ビルデは俺の方を向くと、一言俺にそう告げた。ビルデの顔は涙で溢れていて、同時に笑っていた。その笑顔は空っぽで、何も詰まっていなかった。


 「今までありがとうございました、マグリスさん、フェイさん。ほんの少しの間でしたが本当に楽しかった――」


  次の瞬間、俺のげんこつがビルデに炸裂した。ビルデは痛そうに頭を擦ると、俺を睨んだ。

  

 「頭を冷やせ。言っただろ、俺がお前の親になるって。お前が生まれた理由は俺達と出会うためだ。お前が生まれた方法は運命だ。運命がお前を造り出したんだ」


 「マ、マグリスさん……」


 ビルデは俺の顔をじっと見つめる。その表情は笑顔ではなかったが、少し安らぎが戻っていた。


 「はぁ、つまらん茶番を見せつけてくれるな。交渉決裂だ、さっさと死ね!」


 ダービスはポケットから何かを取り出すと、一体の悪魔を目の前に召喚した。


 「やれ、ウォーロック!」


 ダービスの掛け声と共にウォーロックは無言で俺達に謎の魔法を放ってきた。俺は咄嗟にビルデを庇ったが、魔法が飛んでくることはなかった。


 「ようやく自分にかけたデバフが解除できたわ。二人とも、あたしだけじゃこいつ倒せないから協力して!」


 フェイがドラゴンになって俺達の目の前に立ち、奴の魔法を跳ね返していたからだった。


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