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31話 ドラゴンの恐怖

 俺達はスキルを駆使し、夕方に例の砂浜へとたどり着いた。そこは山に囲まれている砂浜で、俺の予想通り人はまったくいなかった。


 「よし、人はいないですね。それじゃ早速――」


 ビルデはスキル「花創作」を使い、一瞬にしてテントを建てる。更に周りに花のツルを敷き詰めるように広げて、巨大なツルの結界を張った。


 「ふぅ、できました。続きは休んだ後にしますね」


 ビルデはそう言って作ったベッドに倒れ込む。俺はビルデにそっと毛布をかけてやると、俺も防御魔法を海の一部分までにかける。


 もし人が来る可能性があるとするならば、間違いなく海からだ。陸からは早々ここには来れない。


 続けて俺はフェイに頼んで認識阻害魔法を周りにかけてもらった。今回の件といいモンスターの件といい最近はきな臭いことが多すぎる。


 「ありがとうフェイ。お前も休んでてくれ」


 「そうね。モンスターの件も犯人特定もまだしばらくかかるから、ゆっくりするとしましょう」


 フェイは突然服を脱ぎ捨てると、体を変化させてドラゴンの姿になる。金色に輝くその姿は眩しく、威圧感があった。


 「ああ、ここなら本当の姿に戻れるのか。でも突然はやめてくれ、心臓に悪い」


 「悪いね。中々戻れないからつい急いじゃった」


 フェイは低くドスの利いた声で答える。口調はいつもと同じだが、俺はその姿に思わず恐怖を抱いてしまった。


 「……怖がってるわね。無理もないわ、本能だもの。でもそのうち馴れてくれると助かるわ」


 フェイは俺の心を見透かしたのか、少し寂しそうな声でそう言ってきた。

 

 あぁ……フェイに相当気を使わせちまったな。言葉を選んでくれているが、かなり傷ついてるのが一目で分かる。


 「ごめん、フェイ。すぐ馴れてみせるから一日だけ待ってくれ」


 「いや、本当にいいのよ。そもそも正体を明かしても一緒にいてくれた人の方が稀だったから」


 フェイはそう言って尻尾を丸めてそっぽを向き、目を閉じた。これ以上話をする気はないらしい。


 俺は仕方なくテントに戻り、やるせない気持ちで椅子に座った。


 フェイの正体は知っていた。知っていたはずだった。だけどいざあの姿を見たとき、全身に寒気が走ってしまった。


 「マグリスさん、そんなとこで何してるんですか? 何か辛いことでも思い出しちゃいました?」


 俺がうなだれていると、ビルデが心配して話しかけてきた。

 ビルデは髪をボサボサにしてベッドに寝転がっていて、服もだらしなく垂れ下がっている。


 「実はフェイが今ドラゴンの姿になってるんだが、それに恐怖を抱いちまってな。そのせいでフェイを傷つけてしまったんだ」


 「え、今フェイさんドラゴンなんですか!? 見に行――いや、まずはマグリスさんのお話ですね」


 ビルデは一瞬目を輝かせて外に飛び出そうとしていた。彼女にとってはドラゴンは恐怖でもなんでもないらしい。


 「うーん、私ならフェイさんと一緒に触れ合って恐怖を薄めますけど」


 「あー、まあそうだろうな。結局少しずつ馴れるしかないか」


 「そうですね。きっとフェイさんも気長に待ってくれますよ」


 ビルデはそう言ってほがらかに笑う。この子はきっと外観を気にしていないのだろう。 


 「それじゃ早速、一緒にフェイさんのところ、行きましょう?」 


 ビルデはベッドから起き上がると、俺のことを引っ張っていった。

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