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1話 裏切りと出会い

  ああ……これで俺も終わりか。悪くはなかったが、嫌な死に方だな。


 俺、マグリスは今死にかけている。もう魔力も残っていない。食料も底を尽きている。


 周りにはモンスターの死骸が散乱していて、嫌な臭いがここを支配している。


 俺はパーティーの仲間に裏切られた。理由はおそらく、今回のダンジョン攻略に反対したからだろう。


 今回のダンジョンの難易度は俺達では攻略できるものではなかった。だから反対したのだが、パーティーメンバーはそれに腹が立ったのだろう。


 実際、こうして俺だけを置き去りにして、仲間はとっくの昔に撤退している。俺は囮にされたのだ。


「本当は老衰でくたばりたかったが、仕方ねぇな」


 俺がそう呟くと、突然頭上から幻聴が聞こえてきた。


 「あ、あの! ち、力が欲しいですか!?」


 悪魔の常套句だな、でも口調が悪魔じゃない。一体どんな幻聴だ、設定がいくらなんでも酷すぎるぞ。


 「き、聞こえてますか? その……魂をくれる代わりに私と契約して欲しいんですけど」


 まずいな、幻影まで見え始めたぞ。小さな女の子がなんか俺のことを見下ろしてる。

 

 まあよく分からないが……返事でもしてみるか。


 「嫌だね、俺の魂は俺のものだ。悪魔に取られるぐらいなら死んでやる」


 「えっ……そ、それじゃあ魂も要らないから私と契約してください、早く!」


 ん? もしかしてこれ、現実か? なんか幻覚が自我を持ち始めたんだが。ちょっと頬つねってみるか。うん、痛い!


 「え、俺はいいけどお前それでいいの?」


 これが現実だと気づいた俺は疑問点を口にする。魂を取らない悪魔なんて聞いたことがない。


 「よくはないですが……実を言うと、今すぐ契約しないと私も餓死しちゃうんですよ。つまりお互い大ピンチってことですね」


 「なるほど。でもちょっと罪悪感あるな、何か他に要求はないか?」


 「そうですね……それでは私と一緒に旅をしてくれませんか? 私は一人だとこのダンジョンから動けないんです」 


 「よし分かった、それで契約しよう!」


 俺がそう叫ぶと、みるみるうちに俺の傷は治った。体は軽く、来たときより元気になっている気がする。


 「ご契約頂きありがとうございます! おかげでなんとか死なずに済みました!」


 俺は体を起こすと、契約した子の姿をはっきりと確認する。見た目は六歳ぐらいの幼女で、赤く長い髪がとても目立っている。


 「……色々聞きたいことはあるけど助かった、サンキューな。ところでお前、名前は? 俺はマグリスだ」


 「ビルデです。これからよろしくお願いします!」


 「おう、こちらこそよろしく!」

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