第九話 「ステータス」
「やっぱりステータスの情報は広がってなかったか……」
改めて、確信した。
ほとんどの人は『ステータス』を知らない。
まあ、それも仕方がないかも知れない。<識術>は思ったよりも使い勝手が悪い。
基本的に自分の『ステータス』しか見えないようになってるし、他人の『ステータス』を見ようと思ったら、事前に許可を得ないといけないからだ。それに、その許可もどうやって判別しているかわからないがある程度の親密度が必要なようだった。
検証した時に、家族はいけたが、近所に住んでる小学生くらいの男の子に許可をとっても『ステータス』を見れなかったからだ。
「お前もゲームくらいやったことあるだろ? あのステータスだよ」
「いや、ステータスのことはわかりますけど……そんなことが本当に可能なんですか?」
それが可能なんだよな。俺も未だに意味わからないけど。
「とりあえずステータスを見るのには許可が必要なんだ。見てもいいだろ?」
「スリーサイズとか体重は見えないんですよね?」
見えない見えないと適当に返し、許可を貰ったので天音の『ステータス』を見てみる。
天音夕
Lv32
STR 35
CON 48
DEX 41
INT 67
POW 50
point:16
<技能>
錬棒術:5
錬理術:3
錬気術:2
錬投術:2
錬拳術:1
<術>
水術:3
地術:4
<耐性>
物理耐性:2
<特殊技能>
幸運:3
……良くこれで守護者に挑んだものだな。これじゃミノタウロスだって厳しそうなのだがな。
後衛でレベルが上がりにくいとは言っても、そこそこ上がっているってことは止めを刺すのは平等にでもしていたのか。そのせいでパーティーが壊滅したとしたら皮肉な話だな。
ただ、<特殊技能>持ちか。今のところ俺以外の<特殊技能>持ちを見たのはこいつだけだな。<幸運>と表示されてる通り、効果も<幸運>をもたらすモノなんだろうな。
後、pointが異様に低いのも気になるな。大方基礎値に勝手に振り込まれたんだろうがな。
そうすると、俺の<極点>は基礎値や成長点に補正を掛けるということで合ってそうだ。ということは、俺の場合は普通なら基礎値にpointを振らなければいけない所を<技能>や<術>に振れるということか。大きな強みだ。
「で、どうでした? 私のステータスは?」
「……ひどいな。今まで死んでなかったのが不思議なくらいだ」
「え、えっ!? そこまでですか?」
「ああ、今スマホで見せてやるから待ってろ」
そうして、メモ帳アプリを開いて先ほど見たステータスを書き起こす。
「うーん。これのどこがひどいんですか?」
「全部だ」
「いや、ちゃんと説明してくださいよ!」
そう言うので、俺のステータスを見せてやる。
朱雀公平
Lv 58 (+2)
STR 307
CON 338
DEX 291
INT 306
POW 340
point:6 (+6)
<技能>
範剣術:7
教槍術:3
教気術:7 (+1)
教理術:5
教投術:2
教拳術:2
錬銃術:2
錬弓術:4
錬双術:3
錬刀術:5
錬鎌術:2
錬棒術:7
<術>
識術:6 (+1)
空術:2
火術:7
水導:3
地導:4
<耐性>
物理耐性:5 (+2)
毒物耐性:1
<特殊技能>
神術:2
極点:10
再生:1
俺の今のステータスはこんな感じだ。守護者を倒したおかげでレベルが二つ上がった。それに守護者討伐の特典か<特殊技能>で鬼が持っていたであろう<再生>を新たに得た。
「へぇ。朱雀公平って名前なんだ。うわっ、すご。これはいくらなんでも色々すごすぎないですか?」
「確かに俺のステータスは人とは違って少しばかり高いかも知れないが、お前もレベルが上がるに連れてそれなりのステータスになるはずだ」
俺の体感ではレベルが上がるにつれて、必要経験値も多くなるが、その分上がり幅も大きくなるからだ。
「いやいやいや、ステータスは上がるかもしれないけど、こんなに<技能>や<術>は取れないじゃないですか。それに<特殊技能>なんて見るからにやばそうな代物だし、もしかして朱雀ってすごい人?」
そう言われると罪悪感が少しあるな。この大量の<技能>や<術>は『ガチャ』のおかげだからだ。
「まあ、そうかもしれないな。ただ、<技能>や<術>は大量にあればいいってわけじゃない。一部を極めればそれだけで十分強い。守護者の時だって俺は剣しか使ってなかったろ?」
「……確かに」
「だろ? 器用貧乏が一番使えないってことだ。だから気にしなくていい」
あの時は<範剣術>だけじゃなく、<教気術>や<教理術>を使ってんだが誤魔化せたし、いいだろう。
「よし! ステータスを把握したしお前のレベルを上げに行くぞ!目標は50だ。それまではダンジョンから出れないと思っておけよ」
「えええええ!!!」
「早くいくぞ!」
天音の手を取って無理やりダンジョンに連れていく。
俺は一刻も早くあの守護者の先のダンジョンへ挑みたいと考えている。そのためにも天音にはさっさと死なないくらいの力は身に着けてもらわないといけない。俺は今からの計画を頭の中で立て、これからの展望に口を歪めてにやにやと笑った。
「やっぱり、この人の仲間になるの間違えたかも……」
横で天音が何か言った気がするが聞こえないふりをする。
諦めてもらおう。もう俺の秘密を知ってしまった以上仲間にしないという選択肢はない。残念だったな。
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