第五話 「一か月後」
初めてこんな早くに投稿できたかもしれない...!
あの日、ガチャを引いた日から一か月が経った。
あの夜の後、すなわち朝から世間は大騒ぎになった。
空間の亀裂としか言いようがない所から魔物が大量に生み出され、大勢の人間が死んだ。
日本だけじゃなく、全世界で起こっている現象らしいが、一か月も経った今では、インフラが死んでいるせいか、殆どの情報が入ってこないためどうなっているかわからない。
幸いというべきか、人口が多い地域では魔物が弱い傾向にあり、逆に人口が少ない地域では強力な魔物が跋扈しているという。そのせいか、田舎の人口が少ない地域はただでさえ老人が多く、動ける人がすくないために生存は絶望的だろうと言われ、政府も完全に支援を打ち切っている。
今、政府は人口密集地域に人を集めるように声を掛けている。政府の狙い目としては人口が多く魔物が弱い東京、神奈川、大阪、愛知、北海道、福岡辺りに人を集め、何かしらの防護壁やバリケードを作りたいのだろうが、遅々として進んでいない。
それどころか、魔物が弱い地域に住んでいる人たちは自分たちが住んでいる場所から動きたくないからか、市単位で自らバリケードを組もうとしている所さえ存在している。
そして、そんな俺の住んでいる所は大阪と京都の間あたりにある所謂都会田舎の町であり、それなりに田舎であるにも関わらず出現している魔物が弱いせいか危機感が余りなく、かといって他の市の様に自ら率先して動くこともない日和見の姿勢を取っている。
まあ、中学生だけでも倒せるような魔物しか出てこない地域に危機感を持てという方が逆に難しいのかもしれないが、それでも限度というものがあるだろうとは思う。
それに防護壁やバリケードって一体なにで守るつもりなんだという政府に対する疑問もある。噂には政府と首都にある大学の研究機関が協力し開発した新素材で、魔物のドロップアイテムと鉱石を組み合した、軽く丈夫であり、なおかつ魔物が近寄らないという優れモノらしいが真相はわからない。個人的にはそんな都合の良いものがここ一か月で見つかるなんて余りにも出来レースじみていると勘ぐってしまいそうになる。
しかし、そんな弱い魔物しか出ない我が市ではあるが、その代わりと言っては何だが、山の麓に魔物が出る洞窟。所謂ダンジョンと呼ばれるモノがあり、こちらは深くまで潜ると強力な魔物も出現してくる。
また、ここに出現する魔物は何かしらの力を持った道具。魔道具と呼んでいるモノを用いて攻撃してくる魔物も存在し、魔物を倒した暁にはその道具を落とすために非常に重宝している。
そして、今俺が何をしているかと言うと、ここのダンジョンを絶賛攻略中というわけだ。
ギンッ
鉄と鉄が激しくぶつかり合う音が薄暗いダンジョンのなかで響く。
ダンジョンには壁にダンジョン固有と思わしき苔のようなものが植生しており、その苔が鈍く光っているお陰で最低限の光量は確保されている。高さも横幅もそれなりにあるが、むやみやたらに走り回れる程はない。
そんな環境の中で俺は戦っていた。
戦う相手は推定で三メートルを少し超えるくらい。筋骨隆々であり、顔は如何にも化け物という感じで厳つく角も生えている。ラノベに詳しい人。いや、ちょっとくらい神話を齧っている人ならその魔物がミノタウロスみたいであると気づくだろう。
そのミノタウロスの一撃は少しレベルが上がった成人男性ですら一撃で粉々にするくらいの力があり、さらに鈍重ではなく素早くタフである。このダンジョンでもこのミノタウロスに殺された者は多いだろう。
そして、そんな相手に挑んでいる俺はと言えば、特に何も考えていなかった。
ミノタウロスの初撃こそ自分の剣を使い片手で受け止めたが、その次はそこらへんを散歩するかのような気軽さでミノタウロスの横を通り過ぎ、そのまま胴体を真っ二つにへし斬った。
「やっとか! やっとミノタウロスが使ってた剣がドロップした! ここまで粘ったかいがあったな」
今使っている大剣。ミノタウロスからすれば普通の剣かもしれないが。ここのダンジョンでミノタウロスが落としたものであり、特別な効果はないがただひたすらに頑丈ということで重宝している。できればスペアが欲しいと思い粘っていたのだ。まあ、このドロップする剣は普通のミノタウロスが使う剣と殆ど遜色がなく見分けがつきにくいという点で再度ドロップさせるまで地獄だったのは言うまでもない。
「やっとドロップしたし、そろそろミノタウロスでレベル上げするのもおしまいかな。弱さのわりにそこそこ経験値貰えてたんだけど、ここまで弱くなっちゃ違うやつを狩った方が効率いいかな」
この一か月、あの夜の後からひたすらに自分を強化し続けていた俺はもはやミノタウロス如きは袖振り一色といっても過言ではない程強くなっていた。
更にいえば、初めの頃はダンジョンで戦うのも暗くて環境が悪く戦いにくかったのも、今じゃ基礎値が上がり、身体のスペックが向上したのと、単純にこの環境に慣れたおかげか全く苦にも思わなくなってきた。
世間では、ある程度光量があるとは言え、洞窟のような閉鎖的で暗い空間で何時間も戦闘をするような気が張るようなことは、拷問に近いとまで一部では言われているようだが、俺にとって薄暗いことと閉鎖的なことはむしろ普段から近しい存在であったために、そんなことをそんなに気にする奴がいたのかと驚いたものだった。
「とりあえず今日はスペアの剣がドロップしたことだし帰るとするか」
元来た道を引き返す。
ここのダンジョンはゲームの様に明確に何階層であるというわけではなく、本当にただの地下深くまで掘られている洞窟という感じだ。そのせいか帰ることができなくなった行方不明者も多数存在している。
ただ俺にとってはあまり関係ない話だった。
所々で<地導>の術を使い目印を打っているからだ。
帰りはそれなりに時間をかけながらも俺は悠々と地上へと出た。
「はー。なんだかんだダンジョンから出るとほっとするな」
今まで薄暗い所を何時間も歩いていたからか、お日様に当たると余計にそんな思考になる。
いくら慣れていたからといって命のやり取りをしている。自分が死ぬ可能性だって決して零ではない。そのせいからかやはり体が少し強張っていたのが解れていくのを感じる。
「さすがに命のやり取りだけは一か月程度じゃ完全に無視できる程にはならないか……」
本来ならこれを無くせるようになる方がいいのだろうが、魔物とはいえ生き物を殺すのに完全に慣れきるというのは倫理的に見ると良くないことかもしれないな。なんて思いながら、ダンジョン入り口にあるバーケードを避けて、近くにある木の切り株に座った。
俺の市にあるダンジョンは基本的にバーケードが張ってあるだけで特に何もしていない。最初の頃はそれこそ監視役がいたり、それなりの人で賑わったりしていたが、洞窟から出てくる魔物は弱くバーケードを張らなくても十分対処可能なものであったことと、ダンジョンで人が亡くなったり行方不明になったりすることが多発してからは、山の麓という立地のせいもあるからか、めっきり人が寄り付かなくなってしまった。
まあ、そのおかげで自由にやらせてもらってありがたいことこの上ない。ある市ではダンジョンが一部の者しか使えなかったり、占拠されていて入れなかったり、ダンジョンで得た物を強制的に剥奪するような所もあるらしいと数少ないダンジョンに潜っている同業者から話を聞いたからな。
「さてと、今日はどれくらいレベルが上がったかなと」
一応周りに人がいない事を確認してから、ステータスを見ることにしている。
以前に、人が居ないと思ったところででステータスを見ていたら人が居てたいそう怪訝な顔をされたし、だからといって、ダンジョン内で見ていたら魔物に不意を打たれて痛い目を見たからだ。
それからというものはダンジョンを出てから、周りに人が居ないことをしっかり確認してからステータスを見ることにしている。
そして、今の俺のステータスはこんな感じだ。
なんか慣れないことをしたせいか目が疲れたので早めに寝ることにします
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