第二話 「ガチャ」
次話はなるべく早くに投稿したいと思います
「もしかしてこのガチャは”本物”なのか・・・?」
そう思わずにはいられなかった。いや、そう思わされた。
何故なら、目の前には今日日まで生きていてありえなかった非日常が広がっていて、視覚はそれを明確に訴えているからだ。
っ……
誰もいない自室で思わず身震いした。
こんなことが自分の身に降りかかったという事実と、非日常的な事が徐々に現実味を帯びていき興奮を湧き立たせてくる。
いてもたってもいられずにいた俺は、何かに急かされるかのように画面を連打していた。
<5pt>
<地術>
<水術>
<3pt>
<錬槍術>
<錬剣術>
<3pt>
<地導>
<3pt>
<教槍術>
と、10回回すと出ており、便宜上ステータスと呼んでいるものには回した数のスキルが載っていた。
朱雀公平
Lv 1
STR 12
CON 15
DEX 11
INT 11
POW 15
point:19
<技能>
教槍術:1
錬剣術:1
<術>
識術:1
火術:1
水術:1
地導:1
<耐性>
毒物耐性:1
「…なるほど」
いくつか腑に落ちない点はあるものの大体の法則性は理解した。
恐らく、ステータスに書かれている技能や術、今はまだわからないが耐性にも段階があるのだろう。
その証拠に、初めに引いた錬槍術が教槍術というものに変化している。
「どれくらいの違いがあるのかはわからないが、教槍術は錬槍術1が統合されたと考えても1も上がらないほどか」
まあ、錬槍術と教槍術の段階、レベルの差が錬槍術を10まで上げなければ会得できない仕様だったりすると考えると当たり前か...
とりあえず一旦このことは置いといて他のを見てみるとするか。
「このpointというものはなんだ? 一体どうやって使うものなんだ?」
多くのゲームやラノベ、ファンタジー小説を嗜んできた身としてはこれが恐らくステータスの値を上げるもの。もしくは、スキルの段階といった所謂レベルを上げるものではないかと推測した。
とりあえずステータスを押してみるかと思い、はた目には(夜遅い時間帯で自分の部屋だから誰かに見られる心配は殆どないのだが)空中に向かって何故か人差し指を伸ばしている滑稽な仕草をした。
そのような仕草を行いつつも、指はしっかりと教槍術1の所に持っていかれた。
空中であるにも関わらず、指先にはしっかりと何かを押した感覚があり、押した後の教槍術1の横に0と書かれた数字が現れた。
ここを押せばいいのか?
0と書かれた場所を更に押すと、一つタップするごとに一つずつ数字が足されていった。
試しに19回タップすると19と表示がされ、それより先はいくらタップしても数字は変わらなかった。
「あっ、てかこれどうやって決定したり戻したりできるんだ? もしかしてやらかしたか」
少し焦ったが、とりあえず画面を適当にタップすると戻ることはできた。しかし、決定するのはどうやるのかがわからなかった。
「とりあえずもう一度pointの操作をしてみて、数字を1振ってから次は教槍術の名前の所をタップしてみるか」
そう思い実行してみると、ステータスに表示されていたpointの19という数字が18に変化しておりきちんとpointが消費されたことが分かった。
ただ、自分が思っていたこととは別の事象が起こった。
「いや、ちょっと待てよ。pointが消費されてるっというのに何にも変わってないじゃないか」
誰もいない部屋で一人呟く。
いや、よくよく考えてみると、教槍術は恐らく錬術系の上位に当たる技能だ。上位に上がるに連れてこういったシステムだとpointの消費が重くなるのはあるあるだ。
そこで俺はその考えを実行するべく、もう一度教槍術にpointを1割り振ってみた。
朱雀公平
Lv 1
STR 12
CON 15
DEX 11
INT 11
POW 15
point:17
<技能>
教槍術:2
錬剣術:1
<術>
識術:1
火術:1
水術:1
地導:1
<耐性>
毒物耐性:1
そうすると次はしっかりと教槍術の恐らくレベルを指し示す部分が2へと上がっていた。
とりあえずは安堵した。俺はこういうpointを使って自分のステータスやスキルを上げていく系のゲームでは無駄なpointを殆ど使いたくない程の効率厨気味であるからだ。
まあ、真の効率厨であるならばガチャの途中で重要な要素でありそうなpointをわざわざふらないだろうが、俺はもはやこれは現実だと思っている。
目の前に現れるステータスや先ほどから感じる今までには感じたこともなかったエネルギーを体で実感しているからだ。
だとすれば、多少のpointの犠牲は付き物にしても、このステータスのシステムをなるべくはやくに解明すべきだと考えた。
「とりあえず、俺が予想している機能の面でのシステムは把握したし、残りのガチャを引くとするか」
そう考え、俺は高揚を抑えながらもガチャを引こうとする。
そこにはガチャを引く前の現実に苛立っていた俺の姿はなく、これからの未来が今までのような鬱屈としたものではなく、薔薇色になるにちがいないと根拠もなく思い込んでいる自分の姿だけがあった。
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