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光の魔力の保持者

 マリーさんの家で休憩をしていると、ドアからコンコンと音が鳴り響いた。

「多分輝夜ね。悪いんだけど入れてあげて」

「わかりました」

 そう言って俺は扉を開けた。するとそこには先ほど会った黒髪の少女輝夜が立っていた。

「お邪魔するわよ」

「どうぞどうぞ」

 そして広間へ集まり、輝夜にお茶を出す。

「早速だけど本題ね。輝夜、悪いんだけどこの筆に貴女の魔力を注いでもらえないかしら?」

「良いけど、どれくらい?」



「およそ千年くらいは効果が残るくらい」


「干乾びるわよ。頭沸いたの?」



 輝夜さんやい? 言葉きつくね?


 と、そこへシャルロットが颯爽と登場。

「お願いします輝夜さん。干乾びても良いから魔力をわけてください」

「干乾びるの私なんだけど! え、おかしいでしょ!」



 シャルロットがぐいぐいと顔を近づけて交渉。


「くっ、音の魔力が通用しなかったか……」

「シャルロットはとりあえずそこに座ろうか。出会い頭で強行手段を取ったからミルダさん抱き着きの刑ね」

「待ってください。ミルダの抱き着きってもはや罰なのですか!?」

「ついでにパムレットの刑も追加で」

「……パムレットの刑って人間じゃなくするんだけど、良いの?」

 ここに母さんもいたら『ただ苦いだけを追求した特製ジュースの刑』も追加していたところだ。うむ、三大魔術師による三大魔術師の刑。ある意味ミルダ大陸で究極の刑じゃね?

「っと、とりあえず俺から概要を説明させて。この折れた『蛍光の筆』を修復もしくは新しく作りたいんだ」

「蛍光の筆……なるほど。見たところヒルメの魔力でも付与されてた筆かしら」

 見ただけでわかるんだ。

「はっきり言うとこれと同等の物は作れないけど、十年くらい魔力が残るものだったら作ることは可能ね」

「おお!」

 一筋の光が見えた!

「もしくは私から一つ提案があるの」

「提案?」

 そこで輝夜はマリーさんを見た。

「ねえマリー。私達もミルダ大陸に行くって言うのはどうかしら?」

「なっ!」

 それは……予想してないぞ?

「正直私も困っているのよ。地球の時間が過去に戻ってしまい、その時住んでいた家が何とか使えたから良かったけれど、微妙にずれが生じているのよ」

「ズレ?」

「若干の文明の進化に違いが出ているのよ。私の知るこの時代の地球はもっと技術が進歩していて、人工的に人間が作れる時代になっているはず。でもそうではない。だから私達がここにいるよりはいっそのことミルダ大陸とやらに行くのが手っ取り早いと思うのよね」

「相変わらず奇想天外の発想ね。でもワタクシも同じことを思っていたわ」

 おお。それは正直嬉しい誤算だ。蛍光の筆が壊れた以上代替の品が必要だったけど、保持者が居れば問題は無くなるだろう。

 

「問題はどうやってミルダ大陸に行くかよねパムレット」


 と、ここでパムレットの刑とミルダさんの刑に処されているシャルロットが話始めた。というか本当にパムレットの刑にあっているし。

「パムレのすげー魔力でミルダ大陸に転移とかできない?」

「……やっぱり最近リエンはパムレの扱い雑だよね。待遇の改善を要求」

 ふむ。確かに最近ちょっと疲れ気味だったからパムレに対してちょっと雑だったかもしれないな。



「家に帰ったら俺の自作パムレットごちそうするよ」

「……願いを叶えよう」



 ちょろくね?

「……とは言った物の、ミルダ大陸というのは正直わからない事だらけで、転移魔術を使っても位置特定ができない」

「え、待って。その子って転移魔術使えるの?」

 マリーさんが驚いているけど俺はもう驚かないぞ。だってパムレは凄いんだもんね!

「ちなみにパムレちゃん、位置特定方法ってどういう事をすればできるのパムレット?」

 そして未だパムレットの刑の後遺症が残っているシャルロット。なんだかだんだん可哀そうに見えてきた。

「……んー、ミルダ大陸内だったらゴルド剣を使ってガナリと話しができたら位置特定はできる」

 だからガラン王国の秘宝の短剣を『ゴルド剣』って言うのはやめようよ。最近慣れつつあるけど!

「そう……リエン、試しに床に刺してみたら?」

「え、人の家だけど」

「それくらいいいわよ。可能性があるなら試してみるのが研究者という物ヨ」

 うわー。マリーさんも言った物の完全にあてにしてないじゃん。どうするんだよこれで万が一ガナリとのお話が成功しちゃったら。いや、成功して欲しいんだけどね。

 とりあえず床にゴルド剣……こほん。ガラン王国の秘宝の短剣を刺してみた。

 そこへシャルロットが『もしもーし』と呼び掛けてみた。



『この鬼店主! 儂に攻撃が当たるじゃろうて!』

『すみませんすみませんすみません! リエンが心配なあまり、もう世界を壊そうと思ってしまい、まずは手ごろなフブキ様を倒そうかとすら思ってました』

『切るぞ! まずは目の前の悪魔を何とかせい! ほれ、氷と火も応戦せよ!』

『やっとるのじゃが、悪魔二人に囲まれては力がのう……』

『むりー。お腹空いたー。契約切れて疲れたー』

『なんちゅうだらしなさよ。時の女神は腕一本持ってかれたのに頑張って攻撃を防いでおるぞ?』

『時の女神の腕一本はちょっとやばいですね。別の世界で異変とか起きてないといいですけど、まあ大丈夫だと思いますが』



 ……。


 …………。



「つながったよ! え、今おおよそ皆の声聞こえたよね!?」


『む!? 今の声はリエン?』

『アホフーリエ! リエンが今ここにいるわけないでしょ!』

『だーらっしゃい(黙ってください)! シャムロエ様の声のせいでリエンの声がかき消されたでしょう!』

『えー、ガナリが細くしますが多分リエンの声を精霊の鐘が拾ってます。多分地球で父様の剣を地面に刺したんでしょう』

『そうなのですね! ほーらワタチの言った通りです! ガラン王国の元女王も大したこと無いですね!』

『認めるから! あーあー、リエン、聞こえるのかしら?』



「ようやくまともな会話ができそうで何よりですねシャムロエ様! あと母さんはもう少し大人になってね!」



『……え、ワタチなんで初手で怒られてるのですか? ワタチ結構頑張っているんですよ? はんこうきってやつですか? あ、涙が……』



「良いから! 後で肩たたきしてあげるから状況をパッと説明するから!」

 そして俺はパムレを見た。そこにはすでに魔力を一か所に固めて待機し、首を縦に振る姿の『三大魔術師マオ』の姿があった。



「今からそっちに行くよ!」

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