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44 オークの値段

「レイン、まずオークロード出してくれ」


「うん」


 ギルドで聞き取り調査があるエリンちゃんを残して倉庫に移動するとウィルに言われた通り氷付けのオークロードを出す。逆さ吊りで捕まった時を思い出してちょっと背筋がゾクリとした。


「本当にオークロードだな」


「ウィル、これは私がアイテムボックスの中で解体すれば良いのかな?」


 お肉をお持ち帰りならアイテムボックスの中で解体して素材だけ渡せば良いと思うんだけど、どうなのかな?


「お嬢ちゃん!特殊な能力持ちならギルドで働かないか?」


「レインは俺のだからダメ」 


 倉庫のおじさんの身を乗り出した熱烈な勧誘にシオンは渡さないとばかりに後ろからガッチリと抱き締めてくる。……ただギルドで働かないかって言ってるだけで誰もとったりしないから。シオンの"俺の"はかなり恥ずかしいけどわたしを捕まえてたオークにも言ってたし通常仕様(デフォルト)と諦める。


「まぁ、解体するのにもそこそこ時間がかかるかし丸ごと買取じゃなく肉を持ち帰るんなら解体費用がかかるからお嬢ちゃんが解体出来るならした方が良いだろうな」


 違うおじさんがそう言ったので、オークロードとオークジェネラル三匹は解体して素材だけ買取してもらう事にしよう。


「じゃあ、オークロードしまってオークジェネラル六匹だすね」


 わたしが六匹順番に出すと解体する倉庫はけっこう手狭になる。


「確かにオークジェネラルだな……」


「これも三匹はお肉お持ち帰りだから三匹しまって解体してから素材だけ買取して貰うね」


 オークジェネラル三匹はそのままおじさん達にお任せする。


「レイン、オークとハイオークは何匹かわかるか?」


「ちょ、ちょっと待って……えーと、うーんと、全部でオークが三百二十九匹でハイオークが百三匹だよ。ここに出して良いのかな?」


 実はウィルの食べるお肉にと思って三匹は解体しちゃったので、この中に入っていない。まだ数百キロはあるからお肉は暫くこれで持つんじゃないかな?このオークが食べ終わったら上位種のお肉を出そう。ゴブリンとコボルトの買取は食べられないから今度にした方が良さそうかな。


「待ってくれっ!そんなに一度に解体出来ねぇから!!!ギルマスっ、各ギルドにマジックバッグ持って転移してくるように緊急招集かけてくれ」


「そうだな、肉も供給できるし各ギルドに招集かけりゃ捌けるな……つーかどんなアイテムボックスしてんだよお嬢ちゃん」


 なんかギルドマスターが得体の知れない化け物とかを見るような目をしてジッとわたしを見るから、普通だって訂正しておかないと。


「ギルドマスターさん、あのね。わたし魔力は魔法六十連発とか出来るくらいあるんだけど、体力……HPが100しかないの……」


「100……HP100って普通に暮らしてたってその歳なら最低でもその五倍はあるぞ」


 ギルドマスターは顎が外れそうなくらい口をあんぐりあけて分かりやすくわたしの紙装甲さに唖然としてるけど、それも良く分かる。わたしもあれだけ苦労してレベル上げたのにHP100だから……


「とりあえず招集かけるからちょっと待ってくれ」


 何のことか分からないわたしにシオンが、ギルドには魔力を充填して使う転移装置があって、双方の同意があれば人間一人くらいなら簡単に移動させられる事を教えてくれた。ただ、ギルドの品物を転送する時や緊急時しか使えないらしい。これがあるからどこのギルドも冒険者の為の品揃えは豊富なんだとか。


***


 続々と各ギルドの人がアイテムバッグを(たずさ)えてやってくるので買取を希望する数のオークとハイオークを渡す。横でギルドの職員さんが渡した数をチェックしている。


オーク・・・・・・小金貨   四枚銀貨五枚

ハイオーク・・・・小金貨  十三枚銀貨五枚

オークジェネラル・小金貨  四十枚銀貨五枚

オークロード・・・小金貨百二十一枚銀貨五枚


ちなみに一体あたりお肉込みのお値段を教えて貰った。


「オークが三百二十九匹で大金貨十四枚金貨八枚銀貨五枚、オーク三匹の素材だけで小金貨九枚、ハイオークが百三匹で大金貨十三枚金貨九枚銀貨五枚、オークジェネラルが三匹で大金貨一枚金貨二枚銀貨五枚、オークジェネラル三匹の素材だけで金貨八枚小金貨一枚、オークロードの素材だけで金貨八枚小金貨一枚……とりあえずこれで大金貨三十一枚金貨六枚小金貨三枚銀貨五枚」


 既に呪文みたいで何を言っているのか分からなくなってきているけど、おじさんは何やら紙を見て計算しながら金額を読み上げていく。

 なんか途方も無い値段になっているような気がするんだけど……それだけオークの上位種や群れは危険視されているんだって。そりゃそうだよね。まさしくわたしの敵というか女の敵だもん。


「あとは集落討伐の報酬が大金貨五枚、オークロードの魔石が大金貨二枚、オークジェネラルの魔石が一個金貨五枚だから大金貨で三枚……締めて大金貨四十枚金貨六枚小金貨三枚銀貨五枚になる」


 上位種や変異種になると体内に魔石を持ってたりするんだって教えてもらった。多分これが魔導なんちゃらとかに加工されるんだろうな。


「けっこう大金だし、どうすっかな」


「パーティーでギルドに口座を作れば良い」


「おお、そいつは助かる。お前さん達だとギルドカードとは別が良さそうだから口座のカード別に用意する。三人のサインと血を一滴づつ、それに冒険者のランクが上がるからギルドカードも出してくれ」


「あっ、その前にそこからお家の金貨五枚分をシオンに返して、端数の残りはご飯の材料買うのに小金貨十三枚銀貨五枚で細かくして欲しいな」


 前の魔物の討伐報酬で金貨五枚分はお家の一ヶ月分の支払いになっている。残り小金貨十一枚と小銀貨六枚がシーツとかタオルとか雑貨を買ったり、実は大半が食費になって既に消えている。まぁその分買い置きもアイテムボックスにたくさん入っているんだけど、その食費が結構高いから二人には魔物を討伐していっぱい稼いで貰おう。


 この世界、冒険者は駆け出しでも採取とかから始めてホーンラビットやコボルト、ゴブリンなんかを退治して日々暮らして行くには困らない。もちろん怪我とかすれば一気に困窮するだろうけど、強くなればそれだけお金が稼げる。装備や消耗品、老後の事とかを考えると命懸けの割りにはどうなんだろうか、とわたしは思うけど。物価は輸送費の関係で産地じゃないと高めかな。


「じゃあ大金貨四十枚分は口座に入れて貰うか」


 つまり白金貨四枚分だから四千万円……もう少し貯めるとこの世界でお家が買えたりしちゃう?!






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