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38 どうしてこうなった?!

「レイン、俺と結婚して」


「へ?」


 お姫様抱っこされながら何故か求婚されたよわたし?!

 よく確認しないで走って行ってオークに捕まったし、パニックで魔法も使えなかったから絶対怒られると思ったのに、熱っぽい目で見詰めながらシオンは愛おしそうにわたしに微笑む。

 ……なんでこうなった?!


「シオン、なんでいきなり求婚なんだよっ!」


「もう誰にも渡したくない。それにお父さん扱いも嫌」


 それってあの凍ってるオークに渡さないって事で、魔物相手に支離滅裂すぎじゃないかな?

 それにお父さん扱いって……そんなのしたっけ?確かに言動が一般的な娘に対するお父さんみたいではあるけど。

 あっ、何か悪いものでも食べたのかもしれない。今朝はサンドイッチとおにぎり。ウィルのリクエストでオークの焼き肉に生姜焼き。それにエルが採ってきてくれたキノコでスープ……きっとそれだね!


「ウィル、シオンがなんか変なもの食べたみたい!スープのキノコ毒キノコだったのかな?そうだ、毒消しポーション今出すから……」


「レイン現実逃避し過ぎ……あれだけ主張して嫉妬して牽制しまくってただろ!」


「えっ、何を?!」


 ウィルに助けを求めてみるけど、よく分からない事を言いながら呆れていて助けてはくれなさそうで……キノコじゃなきゃ一体何が原因なの?!


『だから言ったの~、レイン鈍感~、ちょっとやそっとじゃ気づかないの~』


「エル、シオンが変だよ!スープのキノコ毒キノコだったのかな?」


 オークの死体だらけの中でしかもいきなり結婚を申し込むとか、どうやっても何か毒物とか変な幻覚見てるとか、まさか惚れ薬的キノコとか?……そのキノコ、高く売れそう。


『レインひどいの~、僕の採ってきたキノコは食用~、森の妖精さんがそれ間違えたらおかしいの~』


「シオン、まず求婚を撤回しろ。いきなりそれは一般的には重過ぎだから。それで定番はお友達からか普通に付き合って下さいだな」


「ウィルごめん、わたし何が何だかワケが分からないよ」


「レイン、俺と付き合ってくれる?……結婚前提で」


「だから、それっ!」


「シオン、もしかして熱があるのかな?とりあえず降ろしてくれた「嫌だ」」


「へ?降ろして「ダメ」」


 頭の中はさっきよりパニックで、いたって普通のわたしのどこをキラキラの王子様みたいなイケメンのシオンが好きになるの?

 ……まさかウィルの冗談の通り幼女趣味とか?!わたしこっちでは年齢より小さく見えるみたいだし、これも着痩せに入るのか服着るとほぼペタンコというかペタンコだし……それかー?!


「シオン、無理……離して」


 幼女趣味の人はいくらイケメンでもちょっと無理だよ……だってどうやってもただの変態さんだもん。いくら顔が良くても切なげに目尻を下げても誤魔化されないんだから。


「……ウィルの方が好き?それとも別に好き「そうじゃなくて!……よ、幼女趣味の、変態は無理……」」


 わたしが言葉を遮ってそう言うと、ウィルの方を見たシオンの顔からスッと表情が消えた。ひえっ、冷たい。なんか冷たいよ!イケメンの真顔ってこの至近距離で見たら超絶怖いから。






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