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37 オーク討伐

 緊張を和らげようと深く深呼吸をする。少し離れた所から見ると、オークの群れは三百匹以上いそうでわたしは冷や汗が出てきたけど、ぎゅっと杖を握り締めると、また深呼吸して呼吸を一瞬だけ止めた。


「いっけ~、サンダーボールにライトニングブラスト(×10)」


「うわ~」


「もういっちょ、サンダーボールにライトニングブラスト~!(×10)


「これはレインだから枯渇しないで魔力が持つ」


「これで最後っ!サンダーボールっ!ライトニングブラストーっ!!!(×10)」


 戦いの狼煙はわたしの魔法の雨。杖を使うとさっきより威力倍増、オークにとって死の雷雨が降る。


「オークは全滅、ハイオークは瀕死って所で流石にジェネラルは軽傷だな」


「上位種はジェネラルだけか?」


 魔法攻撃終了でどうやらオークは殲滅できたみたいだけど、ハイオークは瀕死とは言え辛うじて生きてるし、シオンがジェネラルって言ったオークはまだまだ平気そうだ。魔法六十連発で使ったMPは一万ちょっと。サンダーボールはファイヤーボールより使用MPが少し多いくらいだから、今使った魔法はそこまで強くないんだと思う。


「レインは下がってろよ?」


「うん、もう少し数が減ったら助けに行っても良い?」


「オークジェネラルを倒してからにして欲しい」


「分かったよ。二人ともがんばってね」


 それにしてもオーク二百匹くらいは倒したはずなのにレベルはまったく上がらない。お腹は空いてきたし、わたしの燃費はどうなってるんだろ。

 戦っている二人から少し離れた所でハイオークに止どめを差しつつアイテムボックスに回収する。わたしのアイテムボックスは今や倒したオークでいっぱいだ。


「アイシクル、アイスニードル」


 オークを回収しつつシオンに教えて貰った氷魔法でハイオークを倒すんだけど、これキリがない。ほんとどれだけいるの?

 たまに掘っ建て小屋から出てきたのか魔法が当たらなかったオークやハイオークも倒す。


 そういえばオークは上位種になるほど美味しいらしくてウィルがお肉の階級を教えてくれた……って、お肉の階級ってウィルらしいけどさ。

 オーク→ハイオーク→オークジェネラル→オークロード→オークキング


 オークジェネラル単体なら一人でも楽勝で、オークロードだと少し頑張らないといけなくて二人なら大丈夫、オークキングは二人でももう一人くらい手が欲しいらしい。多分それって普通じゃないよね?駆け出し冒険者はオークで手子摺(てこず)るらしいから二人は強い。わたしは遠距離なら魔法連発でなんとかなるけど、近距離だと確実に死ぬ。


「……飽きてきた」


『レイン贅沢なの~』


 うん、分かってはいるけど作業になってきていて、でもお肉回収しないとウィルが煩そうだから頑張る。これだと毎日お肉でも一生食費がかからないね。


 オークジェネラルが六匹。ウィルとシオンはこっちにオークジェネラルが来ないように上手く誘導しながら戦ってくれている。

 しかも二人とも剣で戦う姿が綺麗なんだよね、まるで軽やかに舞っているようで、いつもより二割増くらいでカッコよく見えるよ。

 魔法剣とかどんだけファンタジーなんだろう。そうするとこの杖も水とか出ないかな?……ってそれじゃ大道芸だよ。


「レイン終わった」


「後で良いから肉、じゃなくてジェネラル回収してくれ!」


 わたしが遠巻きにオークとハイオークを回収してる間にジェネラルオーク六体が綺麗に片付いていた。てか、肉って!ウィルらしいけどさ。


「じゃ、わたし助けに行くね!」


 杖をアイテムボックスにしまうと掘っ建て小屋みたいな粗末な建物らしき所に走って向かう。オーク建設だからかどこも粗末な掘っ建て小屋で、これじゃ耐震性に問題ありだね。


「おい、待てっ!」


「ん?うぎゃあぅ!」


 オーク、オークがまだいる!小屋の中?影?から出て来たのはすごく大きい鼻息荒いオークで、Uターンして逃げようとしたわたしのしっぽを捕まえる。


「痛っ、痛いっ!嫌っ離して、離せ~!」


 髪の毛が(むし)られそうになって逃げようと足掻いているうちに足を掴まれあっと言う間にわたしは逆さ吊り。ヒリヒリと頭が痛いしミシミシと足首が折れそうになり恐る恐るオークを見ると、あっ、目が合った。オークと目が……涎、涎拭いてっ、血走った目でわたしを見ながら舌なめずりしないでーっ!!!


 パニックになったわたしはジタバタするしか出来ない。わたしここで死ぬの?よく分からないうちに死んで、ここで生きて行く事になって……まだ死にたくない。

 そこは魔法の無い国出身のわたしだもん。このピンチにもちろん魔法が使える事なんてどこ吹く風か頭の隅というより外。


「俺のレインに触るなっ!」


「シオンっ?!レイン魔法、魔法使えって!」


 今、俺のって、俺のって何ー?!魔法、そうだ魔法!既にパニックになりすぎて何の魔法をどうやって使えば良いのかもわからない。


「うぎゃっ!」


 その瞬間わたしは逆吊りのままでオークの身体が氷に貫かれ氷漬けになった。手だけ凍ってないのは凄い、わたしにこんな細かい氷魔法の制御は出来ない。


「ウィル」


「あいよ」


 阿吽の呼吸でウィルがオークの手首を切り落とし、落ちるわたしをシオンがキャッチするから凄い。でも、でも、そのお姫様抱っこは正直耐性ないので勘弁してくださいっ!!!

 そして、多分メチャクチャ怒ってるよね、これ。






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