32 討伐というか……
「どうしてこの二人、死にかけてたんだろ?」
それは討伐というか……うん、殲滅とか蹂躙とかいう方が正解。森を進み魔物と出会う度に、目の前でオークやゴブリンの首が飛ぶは飛ぶは……
わたしの記憶が正しければ三週間前のこの二人、身体に穴はあいているし毒は回ってるは血液は足りないはで死にかけていた。その状態でウィルは意識の無いシオンを庇いながらオークとゴブリンと戦っていたっけ。その時はこんなに強いと思わなかったよ。
「よし、ラストっ!」
「……オークが多いな」
ウィルの使う炎を纏った剣にシオンの使う氷を纏った剣って、一体全体どんな仕組みなんだろう?しかもその剣で首を一刀両断してるから魔物からさっぱり血が出ていない。……でも前ウィルは使ってなかったような。
「レイン、こいつらしまってくれ」
「は~い」
ウィルに頼まれてオークとゴブリンをアイテムボックスにしまう。
「ねぇ、ウィルとシオンの剣ってどんな仕組みなの?」
「それは……シオン、説明」
あ、投げた。丸投げだ。ウィルって面倒な説明とか小難しい話とかシオンに投げる節がある。
「休憩がてら説明する」
「じゃあ、スポーツドリンク出すね」
汗とか全然かいてなさそうだけど運動(?)した後は熱い紅茶よりは良さそう。久し振りに麦茶が飲みたいけどアイテムボックスにあったかな?後で探してみよう。
「あの冷たくて甘いなんか酸っぱいヤツか?」
「多分冷たくて甘い酸っぱいヤツかな?」
ウィルの質問に質問で答えちゃったけどあの味に慣れてるわたしにはスポーツドリンク味とかグレープフルーツっぽい味としか言えない。あれは経口補水液よりかなり甘くて柑橘系の果汁とかで風味つけて飲みやすくしたんだっけ?
スポーツドリンクの飲みすぎは糖分の取り過ぎになるし、経口補水液の方が電解質濃度が高く糖濃度が低いから熱がある人とかには口当たり的にも経口補水液の方が良さそう。経口補水液を作るには1リットルの水に食塩2グラム(ティースプーン半分くらい)と砂糖をお好みで作れる。飲みやすいように風味付けにレモンやグレープフルーツなどの果汁を足しても良い。
冷えたスポーツドリンクをガラスのコップに注ぐと二人に渡した。
「俺とウィルの剣はミスリルにオリハルコンやアダマントを合金した魔力を流すと核の石と同じ属性の性質を纏う一般的に言うと魔法剣だ。核は魔石に属性付与したものではなく精霊石を使っているから各段に性能が良い」
「まぁ、魔力を流さなければ普通の剣だけどな」
「そっか、ウィルに初めて会った時そんな炎なんて出てなかったからびっくりしちゃった」
「あん時は魔力もほぼスッカラカンだったから使えなかったし。普通の剣として魔物を倒すと血の臭いで魔物が次々湧いて悪循環つーか、段々目が霞んできて正直もうダメかもって状態だったからな」
「それ毒が回って……ってその状態でよく動けてたね」
ウィルとシオンの毒は確かに同じ毒だったと思うんだけど、片や意識不明で片や辛うじてでも剣を振り回せていたから、効き方が全然違っていた。
「俺ってかなり異常耐性があるから毒だけじゃなく本気で腐ってないくらいの食べ物までは平気だ」
「そ、それはやめておこう」
本気で腐ってないって……どんな食べ物なんだろう。少しでも痛んでたら普通お腹壊すよね?
「さて、また奴らのお出ましだぜ」
「レイン、下がってて」
エレノワールの森に入ってから本当にオークが多い。しかもわたしが弱いのが分かるのか一目散にこっちに向かって来るし……。まぁ、オークはお肉になるからゴブリンよりは良いのかな?
『レイン~、地図を見るの~』
「地図?」
エルに言われて地図を開くとエレノワールの森の奥の方が真っ赤っかでびっくりした。
「エル……これって」
『オークが集落を作ってるの~、拙いの~』
「この地図ってウィルとシオンに見せられる?」
『ここに来る前にパーティー組んだの~、地図をオープンにすれば見られるの~』
ふとウィルとシオンの方を見ると既にオークの群れを殲滅していた。ほんと二人共強いんだよね……
「ウィル、シオン、あのね……地図オープン」
「おおっ?!」
「?!」
わたしのそばに戻ってきた二人にエレノワールの森の奥が赤く染まる地図を広げて見せた。突然目の前に現れた地図に驚いているみたいだけど二人に見えていたので一安心。
前話にて10,000PV↑となりました。ご覧いただきましてありがとうございます♪
御礼SSなどにつきましては近々活動報告にてお知らせ致します。ただ通常仕様で書きたいものがR18相当なので多分ムーンライトの方で裏話か余所で裏話かになります←えっ
ちゃんと普通のも書きます故に……多分✧ ヽ( °∀° )ノ ✧ウヘヘ




