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22 裏話 ギルド受付嬢アイラside①

 私はコバルトの街ギルド受付嬢アイラ。週五日ギルドの受付として仕事をしている。

 "あと六人だ"なんて言いながらぴょこぴょこと列から顔を出すのはとびきりの美少女!ああ、なんて可愛いのかしら。


「今日はどのようなご用件でしょうか?」


 あまりの可愛さにじゅるりと涎が垂れそうに、あらいけない。看板受付嬢が美少女に弱いなんて悟られてはいけない。

 ようやく目の前に来たとびきりの美少女とお話ができると思いきや話すのは黒髪の男の子だけ。


「ギルドカードを作りたい」


「入場証は統一しますか?」


「ああ、頼む」


「ではこちらを記入してください。代筆は必要ですか?」


 そう言うと黒髪の男の子が可愛らしい女の子を一瞬見る。まるで"大丈夫"と言うように小さく頷いてから首を振った。はうっ、可愛らしすぎ。


「大丈夫だ」


 大丈夫なのか……残念。手取り足取りお姉さんが教えてあげるのに。但し女の子限定。


「レインは攻撃魔法と回復魔法だけ書けば良い、書けたら入場証と一緒に受付に渡せば手続きできる」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

レイン 


攻撃魔法(火・風) 回復魔法(ヒール)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あら、レインちゃんって言うの?美少女のお名前いただきましたぁああ!!!


「これ、お願いします」


「では、こちらに血を一滴お願いします」


「……なんか痛そう」


 書いた紙を恐る恐る受付に持ってくるレインちゃん。お姉さんは怖くないよ?渡された針にちょっぴり泣きそうな顔して、何それもう御馳走様です、はぁはぁ。

 すぐさま小さく回復魔法(ヒール)を唱えるのも可愛すぎですからっ!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

レイン 15歳

Lv:1 


冒険者:F

職 人:F

商 人:F


攻撃魔法(火・風) 回復魔法(ヒール)



アルケミニア王国:コバルト

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「虚偽は無いようですね。今回は通行証の返還金にて銀貨一枚にてギルドカードを発行させていただきます。紛失された場合の再発行は金貨一枚と高額になりますのでご注意ください」


 ギルド受付嬢は個人情報は漏らしません。けど、レインちゃんは十五歳なのね、と心に刻んでおく。


「ウィルとシオンは?」


 二人の男の子にどうだったのかを聞いて背伸びしてギルドカードを見せて貰っている姿は可愛すぎる。

 一体どんな関係なのかしら?恋人、幼なじみ、うーん気になる。いけない、仕事しなくちゃ。


「説明は必要ですか?」


「お願いします!」


 説明が必要かを聞くとレインちゃんが瞳をキラキラさせて私を見るから、なにこれもう控え目に言っても最の高!

 鼻から赤い水が出ないように気をつけなくっちゃ。


「以上になりますが、何かございますか?」


「た、多分、大丈夫だと思います」


 説明を終えると心配そうな顔をしているからもう堪らない。ああ、お姉さんがいつでもレインちゃんに教えてあげるから。うふふ。


「こちらをお渡ししておりますので、分からない事があれば読んでみて下さい。それでも分からない事があったら聞きに来て大丈夫よ」


 ギルド発行の冊子を渡しながら素早く自己紹介。レインちゃんって呼んでも良い?って聞くとふにゃりと微笑みながら良いって返事をするとか君は天使か妖精かっ!


「すまない、あと兄妹で住める家をさがしたいんだが」


 いけない、いけない。危うく美少女を前にして不審者になる所だった。

 な、なんと兄妹となっ!よくよく見ると美形兄妹がいたものね。レインちゃんのお兄さんだと思えばカッコよく見えてきたからあら不思議。


「レインちゃんのお兄さんでしたか……今日はもう時間が遅いので明日の午前中でしたら何軒か家を見る手配はできますが」


「では頼む」


 お兄さんも美形は美形なんだけど鑑賞するのはやっぱり女の子限定よね。ああ、お膝に乗せて頭撫で撫でしたい……


「あとさ、お勧めの宿とかあれば教えてくれると助かるんだけど」


「ねぇウィル。あのね、お風呂に入りたい」


 お兄さんその二に甘えるようにお強請りする姿に悶えつつ、受付嬢としての仕事を全うしますよ!


「レインちゃんはお風呂が好きなの?だったら小金貨一枚で少し高いけどクレストって宿がお勧めよ」


 お風呂が好きな美少女……はぁ、一緒に入って洗ってあげたい。


「アイラお姉さん、ありがとう」


 ぁああ゛、レインちゃんにはアイラお姉ちゃんって呼ばれたい。美少女は正義!

 手を振ると振り返してくれる可愛さに悶絶してると、この気分に水を差すのが無粋な冒険者。確かに私はそこそこの容姿だろうけど美少女と比べたらその辺の石ころね。あのスラッとした手足、膨らみかけた希望の詰まったしなやかな身体、あどけなさの残る顔、すべすべの肌、ああ、もう堪らない。


「アイラさん、これ依頼の達成報告」


「はい、確認しますね」


「アイラさん、終わったら飯でも」


「今回の報酬は小金貨十枚になります」


 にっこり報酬を渡しお引き取りいただく。美少女以外の無粋な冒険者はお呼びじゃないのよ。







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