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14 旅の同行者

「なぁ、レインはこれからどうするんだ?」


 今は食後のティータイム。ギフトで貰った紅茶の葉はあったけど色々と面倒なので買い置きのティーパックを使う。ゴミはもちろん収納の中にとりあえず入れた。ただ生ゴミまでそのまま入れてるアイテムボックスの中がそろそろ心配になってきた。


「んー、近くの街まで行ってそれから決めるカンジかな」


「この近くの街だとコバルトだな」


「へぇ~、そうなんだ。それよりウィルとシオンさん身体はもう大丈夫なの?」


「シオンで良い」


 ああ、無視(スルー)したいけど、これ絶対諦めなさそう……すごく良い微笑みで敬称略を要求してくる。


「レインのお陰でもう傷一つ無いぜ」


「身体に穴があいて血塗(ちまみ)れだったし、揚げ句に二人とも毒状態だったからさ」


 ただ、ウィルの毒症状はそれ程酷くなさそうだったのにシオンの毒はかなり強力だったような……


「……そうか」


 何かを考え込むシオンに、なんか訳ありっぽいし詮索するのもなんなので、そろそろ別れて近くの街に移動しようとレインは思っていた。


「うん、だから大丈夫ならそろそ「あ゛ーっ、」」


「ウィル、どうかしたの?!」


「レインさえ良ければコバルトの街まで一緒に行かねぇか?ここからだいたい二日かかるし、街で回復とかポーションの礼もさせてくれっ!」


「う~ん、」


『レイン、そうするの~』


 何となく面倒なので断ろうとしたレインだが、何故かエルが二人との同行を促す。


(もしかしてエル、地図で辿り着かないとか、思ってるんじゃ……)


「エルもそう言ってるだろ、な」


「ちなみに野営をした事はあるか?」


「……無い」


 シオンに野営をした事はあるかと聞かれて、二日かかるのなら外で二回寝なきゃいけない事実にレインは漸く気付く。もしかするとレインだと二日よりかかるかもしれない。


「だったら決まりだなっ!」


「じゃあ、街までよろしくお願いします」


 レインが同行を決めると何か考え事をしていた様子のシオンが口を開いた。


「ウィル、外套はあるか?」


「あるにはあるけど、髪とかどうすっかな……」


(……髪?)


 ウィルの髪は燃えるような赤で、シオンは黄色味の強いブロンド、無難に黒を選んだレインだが奇抜な色を選んでも何の問題もなかったみたいだ。


「偽装の腕輪とか持ってねぇしな」


「コバルトで染め粉を買うか」


「あれ水で取れるし、しかもクリーン間違えると水使わなくても一発だしな」


「……二人は、変装が必要なの?」


 変装が必要とかあの大怪我……一体どんな理由で何をしたのか、まさか何か犯罪とかマズイことに足を突っ込んでいるとか、レインは途端に不安になる。顔色が悪くなるレインにウィルが少し困ったような顔をした。


「シオン説明」


「……俺はまったく継ぐ気はないんだが異母兄(あに)と跡継ぎ問題で揉めている。そんな家から離れる為にシルフォード帝国内よりはアルケミニア王国が良いだろうと母の祖国を勧められ遊学に立つ日、移動中後方から攻撃された。簡単に言うと暗殺か?」


 シオンと言えば、なかなかにヘビーな話を淡々と語る。あのままだったらウィルもシオンも確実に死んでいただろう。ある意味その暗殺はレインがいなければ確実に成功するはずだったのだ。


「シオンが正妻の子供で、兄貴の方が側室の子供だから色々あってな……まぁそんなんで暫くは変装とかしとくに限るってわけだ」


「そんな……ひどい……」


 実の、半分でも血の繋がった兄弟でそんな風に争うなんて、しかも命まで狙うなんて……


「染め……あ、二日あれば二人分ヘアカラーは用意できるから安心してっ!」


「「ヘアカラー?」」


 スキルでドラッグストアの棚にあるヘアカラーと同じものを創造すれば良い。友達の染めるのと戻すのを手伝った事があるからやり方と中身は分かる。そして不謹慎だとは思うものの何色にしようかと少しうきうきしながらレインは二人を見比べた。






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